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WATERFALL Integrated量産候補品

Integratedの開発情報です。シルク、アルマイトを含めた最終試作品が出来ました。測定特性も安定しており、熱の問題もクリア出来ましたのでほぼ最終版といえる仕上がりです。ロータリエンコーダの感触のみ修正の必要がありそうです。あとはこれより動作に不具合がないかテストを十分に行った後に量産へと入りたいと思います。

これ一台でパワーアンプ、DAC、ヘッドフォンアンプ、が入っています。ヘッドフォンアンプはパワーアンプと共通のUCDクラスDアンプでヘッドフォンを接続すると自動で切り替えます。更にアナログ入出力もあるのでお手持ちの機材と組み合わせもOKです(スペースの関係でフォノは非搭載ですが…)。DAC単体としてもかなり頑張って作っているので十分な性能があります。

逢瀬のノウハウをこのサイズにほとんどすべて投入した自信作です。よろしくお願いいたします!

 

 

WATERFALL Integratedのケース加工

秋の正式発表に向けてIntegratedの開発を続けています。発注していたケースですが、本日加工品が上がって来ました。シルクを印刷すると一気にそれらしくなると感じています。これから組み上げて実験です。

ちなみに↑は写真ですが、製品情報にある↓のIntegratedの画像は3Dグラフィックで作成したものです。

製品デザインをするにあたって都度加工して組み上げて仕上げをチェックするという方法ではどうしてもやり直しの時間、コストも共にかかってしまいますが、このように3Dで事前にデザインの検討を行うことで大幅な効率化が可能でした。現代のツールに大変助けられていると感じます。とはいえ細部はやはり実際に作ってみないとわからない部分もあります。

今回仕上げを白アルマイトと梨地の2パターン依頼しましたが新製品のIntegratedは個人的には梨地が良さそうに感じています。梨地の上に印刷されたシルク文字が梨地のゆらぎがほどよく組み合わさり良い感じの質感を演出していると思いました。

Integratedの基板は先月に最終候補の版を発注済みなので、最終テストで期待した性能を出すことが出来ればそのまま量産へ入る予定です。順調ならば秋、冬ごろには発売できるように準備中です。よろしくお願いいたします。

測定環境のアップデート(Integrated開発機の特性を測定)

以前の測定ではノイズフロアや歪率について正確かどうかはっきりしなかったので、測定環境をアップデートしました。とはいえ本格的な測定器は非常に高額なので、現実的な価格帯でありながら史上最高峰の測定特性と噂されるLynx Hiloを導入しました。

早速ですがWATERFALL Integratedの試作品で測定データをとってみましたのでアップします。測定機材のアップグレードによりノイズフロアが大幅に下がり、DACの真のS/Nがある程度見えてくるだけでも価値がありました。

J-testの結果です。ピークは-6dBに合わせてあります。特別目立つノイズもなく素直な応答ですのでジッターは殆ど無いと推測出来ます。特にノイズフロアが-150dBを下回っているのでS/Nは非常に良好と思われます(これでも既に測定器の限界です)。特にS/Nとジッターによる音質差は音の濁りや分離の悪さに直結しやすいため歪率よりも重要と感じています。

続いて歪率ですが、100Hz以降に乗っている微細なリップルノイズは接続ケーブル起因によるものであることがわかっています。もっとケーブル長を短くするかシールドを強化しなければ除去は困難ですが、現状では間に合わせのため申し訳ないですがこのようなところが限界です。(もちろん将来的に改善したいです)

また歪率そのものについては特別悪くはありませんが現代においてはこのレベルなら特別優れているというわけでは無いでしょう。それよりも個体差、ばらつき等が結構あるので安定した数字を達成するには部品の精度を更に上げるしかないでしょうか。しかも微妙な歪率の差による音質劣化はほとんど感じられないので、機材としてはこのあたりの数字を達成していれば特別問題はないと考えています。

19kHz+20kHz、IMD混変調歪です。

最後にこれは16bitと24bitの-90dBレベルの信号をそれぞれWATERFALL Integrated 内蔵DACにデジタル入力し、アナログの出力波形を観測したものです。上が24bit、下が16bitの1kサイン波形(-90dB)です。これも海外のオーディオサイトの測定でよく使用されているデータですので掲載してみました。

逢瀬がクラスDアンプを選んだ理由

WATERFALLシリーズであるWATERFALL Compact、WATERFALL Integratedのパワーアンプ部には共通してD級=クラスDアンプを採用しています。国内では通称としてデジタルアンプと呼ばれることもある方式です。国内では一時期のブームがあったものの最近では落ち着いてきた印象があります。

まずクラスDアンプの音質の特徴を言えばアナログアンプと比べて量感は少なめで中低域があっさりしており、分離が良い、透明感があるというような感じでしょうか。スイッチング電源と組み合わされることも多く、駆動力があると評価されることも多いです。逆に高域はアナログアンプに比べて良い特性、質感を出すのが難しく荒さが目立ちやすい方式だと思います。

一時期のブームを考えると今更クラスDアンプ?と思われるのも無理がないかと思うのですが、個人的にはこのアナログアンプとは異なる音質を持つクラスDアンプの音、省電力、省スペースが可能な先進性、これらの特徴に可能性を感じていました。そしてやはりその音質に惹かれたから、というのが逢瀬のラインナップでクラスDアンプを中心に据える主な原動力となりました。もちろんアナログアンプで省電力を目指すのも良いと思いますが逢瀬はクラスDアンプの可能性に注目しました。上記のような弱点さえ克服出来れば従来達成できなかったような理想のアンプが出来上がるはずだと思ったわけです。

先日歪率が音質において最重要ではないという記事を書きましたが、個人的な経験的ではクラスDアンプの場合は歪率特性の良さと高域の綺麗さにおいてアナログアンプよりも強い相関関係があると感じました。一事が万事ではない、耳で判断しなければわからない、このようなことはオーディオでは日常茶飯事です。いままでの比較結果からはクラスDアンプの場合は歪率が優秀なアンプのほうが音が綺麗である可能性が高いということだけです。

クラスDアンプにおいて歪率はアナログアンプよりも強く音質に影響を与えているか、高周波領域において歪率が悪いアンプは歪率以外の要因で劣化をしている可能性があると考えています。(もちろんそれだけが絶対に正しいとは言い切れないですが)

例えばクラスDアンプでは高周波をカットするために通常は出力にフィルタ回路がありますが、それによってスピーカインピーダンスによる影響を受け、実際にスピーカから出力される周波数特性は通常大きく変動してしまいます。参考までに次のような測定データがあります。メーカは伏せますがクラスDアンプにおいて周波数が変動している様子がわかるかと思います。左上がアナログアンプ、それ以外は全てクラスD方式です。

この表の中で右上にあるHypex社のUcdと左下のアンプのみが周波数特性の変動を押さえたクラスDアンプだといえると思います。しかしこのようなクラスDアンプの欠点をうまく処理しているアンプを0から探すのはなかなか大変でした。なれない英語を使って海外から各種取り寄せて組み立てて比較。そのような日々がしばらく続きました。

そして現在逢瀬のメインで使用しているパワーアンプ部、Ucd=Universal Class Dと呼ばれるHypex社による独特の方式のアンプに出会いました。国内ではほとんど知名度がありませんが海外ではそれなりに知られたパワーアンプモジュールです。このUcdアンプは全てディスクリート、アナログ回路で作られておりデジタル制御ではありません。ですので厳密にはデジタルアンプという呼び方は正しくありません。アナログ回路によるMOSFETスイッチングアンプでしょうか。

またUcdモジュールは周波数特性の変動がないだけではなく、クラスDアンプとして非常に優れた高域特性を持っており、低域と高域で歪率特性がほとんど一定です。このような歪率特性を持つクラスDアンプは非常に稀であり、このような特性を実現することはほとんど類を見ない事例です。

実際にはほかにも一部で近い特性のアンプも見つけましたが動作の安定性や入手性などから、逢瀬の最初のラインナップではUcdを採用することとなりました。Ucdモジュールはそのままでも十分優秀な音質を持っていますが、逢瀬ではそれに独自の対策を施し更なる滑らかさと音の分離を持つ製品として仕上げました。

類まれな特性によって生じるクラスDアンプとは思えないような滑らかな高域、それとクラスDアンプそのものの音質である高い分離の良さと透明感、この奇跡のような両立がついに可能となったのです。もし機会がありましたらば、是非ともこの理想のクラスDアンプの音質を体験していただきたいと思います。

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