逢瀬では、先日ご紹介したオリジナルスピーカFuji(仮)との組み合わせとして、表題のアンプの用意もあります。準備がしっかりできてきたら逢瀬の試聴室として使えるようにすることも検討しております。今のところWATERFALL Integrated、未発表パワーアンプ、オリジナルスピーカFuji(仮)、そしてこのEAR V12です。

EAR社は個人的に一つの道を極めた凄さを感じるメーカーだと思っていて、私自身も開発者のひとりではありますが、芸術性を感じる音に非常に感銘を受けております。

ほとんど全てのオーディオメーカーにとって、目指す究極の目的は同じ(無色透明、色付けのないサウンド)かもしれませんが、開発者の経験と感性によってその目的へ至るまでの道のりが全く異なることはよくあることだと感じています。

EARの音は透明でありながらコクがある音で、アンプはまるで音楽の旨味を知っているようです。クラシックをシビアに聞くと、逢瀬のアンプのほうが弱音は綺麗で切れもあり、対してEARでは聞こえにくい音もあるのですが、それ以上にEARによる「音楽のエッセンスの選別」は見事だとしか言いようがありません。

まるでコンプレッサーをうまくかけたような音、ビンテージエフェクタのような、必要な音が前に出てくる、うるさい音が引っ込む、このような特徴があります。大変音楽的だと思います。腕の良いマスタリングエンジニアにマスタリングを依頼したような音だと思っています。EARが音楽制作現場で認められるのはこのようなところだと思います。

EAR社のパラヴィチーニ氏は真空管+トランスという方法論を使っています。逢瀬は現在のところクラスDアンプや特性重視の方向性なのでそのアプローチはまさに対極と言ってもよいかもしれません。それでも出てくる音については共感が出来、良さについて認めざるを得ません。

このように全く違う方法論であっても、それが究極の高みに達していればその音にはハッキリとした説得力があります。それは音楽に絶対の答えがないということと無関係ではないはずです。綺麗なだけではない、汚すことも時には音楽のニュアンスを助けることは制作現場の人間にとっては何ら不思議なことではありません。

逢瀬のアンプはEARとは全く方向性が違いますので得意な音のイメージも異なります。EARは前に出てくる音、弱音をうるさくなく強調し明瞭にしてくれます。やわらかくやさしい音なので雰囲気に浸る楽曲に向いていると思います。古い録音との相性も良いです。

対して逢瀬のアンプはレンジが広く低音のスピードやキレがあり、音の前後が明瞭です。EARより音が遠く感じる方もいるかもしれませんが、メリハリがその分あり弱音は弱音、強音は強音として聞こえます。なのでこのような傾向を重視する方や現代的録音に向いているかと思います。