Network & USB Digital to Digital Converter / メインストリームモデル
2024年発売 / 定価180,000円(税抜)
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NU-DDCの開発経緯と目的
NU-DDCはトランスポート問題の緩和(注意:解決ではない)を行う製品であり、単なる高音質トランスポートの提案にとどまらない新時代コンセプトのDDC製品です。
近年トランスポートの音質はシステムにおいて最も支配的であり、いかなるDACであってもトランスポート側の影響から逃れられないという事実が多くのハイエンドユーザーの定説となりました。逢瀬でもできる範囲でトランスポートの検証を数年間行いましたが、確かにその主張には一定の説得力があると認識しています。
しかしながらトランスポートの改善には多大な労力や金銭的な負担や多角的な対策が現状避けられません。最終回答となりえる現行のハイエンド製品群はますますその金額と規模が拡大しており、そのような金銭的負担は誰もができるわけではありません。
そこで逢瀬は誰もが購入できる金額かつ手軽なトランスポート問題への改善提案をいたします。それがNU-DDCです。逢瀬が数年間をかけて多角的な測定と音質比較を経たトランスポート問題対策の集大成がこの小さな筐体に凝縮されています。
いつもお伝えしているように、逢瀬は音質の達成度で価格を決定していません。製品の原価で価格を決めています。既存のオーディオ業界の音質価格ヒエラルキーとは無縁です。
(以前発表したデジタルリコンストラクター、通称デジリコは発展途中の製品でした。NU-DDCはデジリコより広範な課題への特効薬であり、デジリコの発展型です)
NU-DDCの特長、代表的な機能
2024-04-29 Windows10でUSB接続からのRoonの動作を確認しました
NU-DDCは既存の同クラス製品の常識を超える基礎性能と、便利な各種機能性、接続性をカバーしています。
- 新世代クロックエンジン搭載。既存レートに追従しながら0.001Hzからの周波数精度と低周波位相雑音の改善が可能(初期ファームでは0.1Hzに設定)
- トランスポートの音質改善機能(制約条件あり、詳細はマニュアル参照)
- 高精度10MHzリファレンスを内蔵。より高精度な外部10MHzリファレンスにも対応
- 他社トランスポート、オーディオインターフェース、DACへの高精度ワードクロック供給機能
- 各種ネットワークストリーミングへの対応(Wiim homeアプリ互換、4streamアプリ対応)
- HDMI-I2Sの入出力、USB入力はハイレート対応(PCM768k、DoP256、DSD512)
- SPDIF入出力とそれぞれDoPとフォーマット自動認識に対応
- PCM/DSD相互コンバーター、任意のPCMとDSDの相互レート変換機能(初期ファームでは制限あり)
- PCM/DSDフォーマットとサンプルレートの自動制約コンバート機能。48/96k制限の古い製品との接続を想定
- ファームウェア対応で任意クロックレート出力も可能(22.5792/24.576MHz、45.1584/49.152MHz、90.3168/98.304MHz、等)
- 多角的な接続性と機能によって、あらゆるシステムとの適合、設置、運用、音質対策の可能性を提供
- 付属の汎用スイッチングACアダプターでも十分な実力を発揮できる多重ノイズ対策電源回路
背面レイアウトと電源
入力
- 角形コネクタ SPDIF Optical入力2系統 。Dop64、PCM176.4kHzまで対応
- HDMIコネクタ I2S入力。PCM768k、DoP256、DSD512対応。MCLK不要、DSDフラグ不要、フォーマット自動認識
- RJ45コネクタ ネットワーク入力。詳しくは別項目参照
- USB Type Aコネクタ USB入力。XMOS使用、
Integrated 250、AK4499特注DACとデバイスID互換。標準ドライバのみサポート - BNC50Ωコネクタ 10MHz入力。矩形波、サイン波両対応。低周波位相雑音、周波数精度リファレンスとして使用
出力
- RCAコネクタ SPDIF Coaxial出力。DoP128、PCM384k対応(例:Integrated 250で対応。AK4499特注DACは非対応)
- BNC75Ωコネクタ Clock出力 3.3V。再生レート連動型のワードクロック、またはスーパークロック出力(将来的に任意クロックレート出力にも対応)
- HDMIコネクタ I2S出力。PCM768k、DoP256、DSD512対応。位相LR反転とDSDフラグ再付与機能
電源
- 2.1/5.5mmジャック DC入力 センター6V。付属ACアダプタは2.8A。変更の場合定格2A以上推奨。自動電圧検出、約10V以上で自動シャットダウン
NU-DDCの実測データ
NU-DDCがDACの出力周波数精度を改善する事例を紹介します。測定評価には同じDACを使ってできる限り接続条件も揃えています。その状態でDDCのみ変更するとDAC出力周波数の変動パターン自体が変わります。
このグラフは縦軸の変動が少ないほど実際のDAC出力が安定していることになります。間接的なDACの低周波位相雑音性能を示しています。この結果はDDCやDACの内蔵クロックのスペックだけで決まるものではなく、伝送系や実装などすべて含めたトータル性能で結果が変わることもわかっています。DDCだけでなく出力ケーブルやGNDの影響で周波数の変動パターンも変化します。
これがトランスポート問題の重要な一端です。横軸は0.1s単位、縦軸は周波数Hzです。
NU-DDCのSPDIF出力から高級DACへ接続(NU-DDCはPCとUSB接続)
PCから高級DACへUSB接続(DAC内蔵クロック)
他社DDCまたはトランスポートから高級DACへSPDIF接続(数万円から数十万円の製品を使用)
既存の測定指標にはこのような測定評価方法が存在しないため、市販価格とこの測定性能には相関性がほとんどありませんでした。高額で悪い製品も安くて良い製品もあります。しかしながら測定値と実際の音の印象は既存のJ-testなどのジッター性能テストよりも相関性が高いと感じます。
サイズと重量
- 211 x 168 x 55mm 本体のみ
- 245 x 168 x 56mm 突起部含む
- 1.2kg
ネットワーク関連の補足情報
本体をネットワーク入力に設定すると既存のネットワークプレイヤーのようにリモートアプリ(下記プロトコル対応アプリ含む)から再生可能になります。このとき必要な条件は本体電源の投入とRJ45ネットワークケーブルでのオンライン接続です。
いずれかの対応アプリから音楽を再生すると本体の画面には現在再生しているサンプリング周波数が表示されます。このときHDMI-I2Sからは内部リクロックされたMCLKとリクロックされていないI2S信号が出力されます。ワードクロック端子からはリクロックされた再生周波数連動の出力が得られます。SPDIF出力はリクロックの対象にはなりません。
対応ストリーミングプロトコル | AirPlay 2 DLNA UPnP Spotify Connect Tidal Connect Qplay |
対応サンプルレート | PCM up to 24bit 192kHz |
対応再生ファイルフォーマット | FLAC, MP3, AAC, AAC+, ALAC, WAV |
対応ストリーミングサービス | Tidal HiFi Qobuz HD Spotify Deezer Amazon Music (not HD) TuneIn Napster iHeartRadio QQFM |
Roon(ネットワーク経由)とAmazon Music HDは対応していませんのでご注意ください
再生環境について
Spotify ConnectおよびTidal Connectプロトコルにも対応しています。これにより、4Streamなどのアプリケーションを使用することなく、これらのサービスから直接音楽をストリーミングすることができます。
その他に多くの音楽ストリーミング・サービスに対応しています。Qobuz HD、Tidal HiFi、Spotify、Deezer、Amazon Music、Napsterだけでなく、多くのウェブラジオもご利用いただけます。
補足:ストリーミング・サービスの対応とは、下記アプリからの直接再生対応のことを指します。プロトコルとは使用アプリが違います。
無料の4Streamモバイル・アプリでNU-DDCのネットワーク機能をリモート・コントロールできます(再生のみ、本体の操作は不可)。いずれもAndroidとiOSに対応しており、音楽再生の管理、プレイリストへのアクセス、アラームの設定も可能です。
このほかWiim Homeからもデバイスを認識します。Wiimシリーズ、Up2Streamシリーズとも互換性があるので、これらの製品と組み合わせてマルチルーム環境を構築することも可能です。
メルコシンクレッツ様からの動作確認レポート
製品を貸出し動作検証していただきました。ありがとうございます。他のメーカー様も動作検証の依頼があれば貸出をしてこちらに動作確認結果を掲載いたします。
簡単まとめ
DSD512と16fsのPCM(705/768kHz)についてはやや不安定なところがありますが、それ以外の動作は概ね問題ないようです。Audo SRCを入れることで安定度と再生対応フォーマットの幅が広がりますのでDELAとの接続ではAuto SRCの8fsをOnにすることを推奨いたします。
NU-DDCとDELAミュージックライブラリーとのUSB>SPDIF接続
N1-S38-JからUSB-DACにSoulnote D-2や、Accuphase DP-750を使用し、SPDIF(同軸)出力においてSoulnote D-2とAccuphase DP-750を使用して検証を行いました。(同軸ケーブルはSAECデジタルケーブル(0.6m)を使用)
まずNU-DDCの設定で、Auto SRC、Auto DSD to PCM共にOFFの状態で両機ともPCM 192kHzまでの動作を確認いたしました。D-2に関しては、同軸入力のカタログスペックは最大192kHz (PCM) / 2.8MHz (DSD64 DoP v1.1)となっておりますが、PCM 384kHzと、DoPによるDSD128までの動作を確認いたしました。※条件は不明ですが、プツプツとノイズが乗る場合があり
次にAuto DSD to PCMをONに変更してDSD64(→44.1kHz)からDSD512(→352.8kHz)までの動作をD-2において確認いたしました。※こちらも352.8kHz時にはノイズが乗る場合あり
次にAuto DSD to PCMをOFF、Auto SRCを4fsとした場合、全てのDSDフォーマット(64-512)がPCM176.4kHzで出力され、再生動作を確認いたしました。そしてこの状態で、768kHzの音源を再生したところ、両DAC共大きなノイズが発生しております。この事象はAuto SRCが2fsでも発生いたしました。
(追記:Interated 250との接続ではPCM8fsとDoP128でノイズが乗らないことは確認しています。SPDIFで16fsは同様に正常再生はできません)
NU-DDCとDELAミュージックライブラリーとのUSB>I2S接続
M2TECH Young MkIVにてI2S接続での動作を確認いたしました。(HDMIケーブルとしてPanasonic製ハイスピードHDMIケーブル(1.0m)を使用)
I2S関連の設定は両機とも初期値、Auto SRC、Auto DSD to PCM共にOFFの状態でPCM384kHzでの動作を確認いたしました。PCM768kHzはDAC側は認識しますが、大きな歪んだ音とノイズとなってしまいます。(両機のI2S関連の設定を変更しても変化なし)
DSDについては、初期設定では大音量のノイズとなってしまいますが、Young MkIVの設定でINPUT MCLKの値を1:1に変更すると(マスタークロックをそのまま伝送と記載)DSD256までの正常な再生を確認いたしました。
(追記:Interated 250と同等の開発機のI2S接続ではPCMの16fsも即ノイズとはなりませんでした)
DELAのメディアサーバー機能とNU-DDCのネットワーク再生
DELAのメディアサーバーとして標準のTwonkyServerと、切り替えて使用可能なMinimserver2共に4streamアプリからNU-DDCの設定を変更し、Max 192kHz/24bitへ変更した状態で問題無く再生動作を確認したしました。操作にはmconnect HDを使用しましたが、操作に不安な点も無く、ギャップレス再生も正しく動作しておりました。
NU-DDC側が原因と思われる未知の問題
48kHz系の楽曲から続けてDSDフォーマットの楽曲へ再生を行うとノイズが発生します44.1kHz系からDSDフォーマットへ再生を行うと問題ありません。DSD512についてはNU-DDC側でNoLockと表示されてしまい、正しく再生ができませんでした。※SPDIF出力時に気が付きましたが、SRCやPCM変換をONにしないとDSD512ではNoLockとなってしまう様です
PCM352.8kHzと384kHzの楽曲を相互に切り替えると、NU-DDC側のfs認識が切り替わらず、ノイズやテンポのずれとなる場合がある(一度低レートの再生を挟むと問題無し)
2024-05-27 更新
次の内容はDELA環境とは無関係に発生する問題でしたので対策を行いました。出荷後の更新が難しいXMOSは全数出荷前に対応を行います。
- 352.8kHzと384kHzの相互再生時のノイズ問題は本体ファーム側の問題。修正済
- PCM768kHzで確率的にノイズになる問題を修正。XMOSファームが原因。修正済
- PCM705kHzは上記対策後もノイズ混じりとなる可能性があり仕様とします。DoP256は問題なし