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NU-DDCについて重要なご報告事項
初期試作はほぼすべての機能が予定通り動作中です。ですがいくつか重要な事前にお伝えするべき情報がわかってきましたので、それについてご連絡いたします。
最終製品ページにもこの内容は記載する予定ですが、購入予定の方は必ず以下をお読みいただくようにお願いいたします。
USBでのRoon対応は同一ハードウェアでも別モデルに分割します
このようになった原因はXMOSのドライバ関連です。
実際のところIntegrated 250やAK4499特注DACのXMOS USB基板はRoonでも認識が出来ていたと思います。これは最も簡単な対応方法でした。ですがNU-DDCでは音質の根本的な改善の為、XMOS基板を独自で開発していますので、今後はこれが簡単に出来なくなるということです。
今までの製品では既成のUSB-DDC基板を購入していたため、ドライバと認証の詳細についてはこちらで考慮する必要がありませんでした(実際のところ踏み込んだ設定や動作はサポート外でした)。ですが自社開発の基板に移行する場合このあたりも自社の責任となります。
XMOSを使ってUSB機能を提供する場合の選択肢はおもに2つです。
- XMOS標準のドライバとIDを搭載すること。こちらはライセンス料がかかりませんが標準ドライバのみのサポートとなりRoon非対応になります。
- もう一つは新たに自社用のデバイスIDを取得することで、ドライバもライセンス契約が必要です。その上でRoonの動作テストをして貰う必要があります。これはいずれも追加でかなりの費用と期間がかかる見込みです。
当社は常にできる限り低価格で製品をリリースしようとしていますが、RoonとXMOSの正式対応を含めますと低価格での提供は不可能になります。USBでのRoon対応は明らかに全員が必要とする必須機能ではない以上、現時点での判断は価格と機能を分割した2つのモデルに分割することを考えています。
- Roon非対応のXMOS標準ドライバモデルを先行で販売します。価格はできるだけ抑えます。(互換ドライバーは非サポート)
- 後ほどRoon+正式なXMOSドライバ対応版を販売します。間違いなくDDCとしてやや高額になります。
いずれにせよハイエンドDACまでには2の機能は必須となりますのでRoon対応モデルは制作しますが、販売時期はだいぶ後となり、価格も相応に上がります。
ハードウェアは完全に同一なのでソフトウェア面のみでの価格差となりますが、こちらの努力ではどうにもならない部分ですのでご理解をよろしくお願いいたします。
ネットワーク関連機能の安定性や互換性について
NU-DDCで採用するのはLinkplay社のモジュールです。ほかにもネットワーク基板は数社検討したのですがモジュールの基本的な音質がLinkplay社が圧倒的に優秀だったこと、各種ライセンス料も比較にならないくらい安いことが理由でこちらを選びました。
最近ですとWiimシリーズが同じチップを使っています。比較検証のためにWiim proを購入し各種テストを行っていますが、同じメーカーのモジュールでも色々と重要な違いがありますのでそれについてお伝えします。
- ネットワークの帯域が安定していない場合に音切れが発生しやすい(Wiim proでは問題なし)
- Alexaに非対応のためAmazon music標準アプリからは再生できない、HD再生も非対応(Wiim proでは可能)
現時点で重要な違いは上記のとおりです。
基本的な機能は概ね共通しておりWiim homeアプリからもデバイスは認識されWiimと同時に使うことも可能です。ただし音質面を除く機能面や安定性は総じてWiimが優秀なのが現状です。他にも細かい違いはあります。
再生の安定性については最大の懸念です。今後の新ファームウェアで更新されるという話もありますが具体的な提供時期は不明です。こちらとしては発売までには改善して欲しいところですが、少なくともハードウェアはWiimと同じなのでファーム更新でこれは改善できるはずです。
残念ながら既製品を購入しているだけの当社では、これについてできることがないので更新を待つしかない状態です。なおファームの更新はアプリから行えます。
Wiimとの音質面での比較ですが、Wiimからの光接続をNU-DDCでリクロックするよりモジュールから直接I2Sを引き出すことができるNU-DDC内蔵のネットワーク機能のほうが大幅に優位と感じます。ですので安定性さえ改善すれば内蔵ネットワーク機能を推奨したいところです。
もし安定性の問題が発売までに改善できない場合、わかっている問題については事前にすべてお伝えします。また再生が安定しやすい再生環境の構築方法や改善についての情報を、モジュールメーカー側からの情報提供を含め集めます。
ネットワークでのRoon対応について
Linkplay社のモジュールはAirPlayには対応しておりますので、上記Roon非対応モデルであってもネットワーク経由で簡易的にRoonから再生自体は行うことが可能です。ですがAirPlay2ではレートが24bit 48kHzに制約されるためハイレゾ音源は非対応となります。
192kを超える超ハイレゾ対応かつRoon対応のネットワークモジュールも色々あるのですが、各種ライセンス料がかなりかかるのが実態です。NU-DDCでネットワーク端子側がRoon非対応になったのもこれが大きく関係しています。
たとえばRoon正式対応の他社モジュールを選んだ場合の結果ですが、当社の現状の販売規模だと製品価格がこの機能のために概ね原価5-10万程度上がってしまいます。こうなると製品価格はそれ以上に上がります。ただでさえこの種類の製品としてはだいぶ後発なので既製品と勝負はできません。
そのうえでLinkplayモジュールは基礎音質面でも圧倒的に優れていますので、これ以外を選ぶ理由はありませんでした。これらの条件と比較するとRoon対応やハイレゾ対応はさほど重要とは思えなかったということです。
結局ネットワークでもUSBでも、Roonに対応しようとすると高額なソフトウェア費用がかかってきます。全員が使うと限らない機能のために製品価格が大幅に上がることは正当な理由とは思えなかったため、今回はモデル分割という判断になりました。
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- 開発
貸出サービスと身分証ご提示のお願い
こちらで現在はパワーアンプの貸出を行っておりますが、雑誌掲載があって以来は貸出をお申し込み頂いても、身分証はご提示頂けない=貸出を中止するしかない事例が連続しております。
ご理解いただきたい点があります。身分証ご提示をお願いしているのは万が一の対応に必要と考えているためです。
当社も一度だけですが貸出機を中古ショップに売却され、それを見つけた別のお客様から連絡がありその事実を知ったということがあります。その際も住所をもとに該当の方へ必要な連絡を行い、その後の対応を行ったことがあります。
ですので提出率が悪くても、今後も身分証のご提示はお願いするつもりです。
雑誌掲載後に身分証の提出率が著しく悪化した一つの理由は、おそらくですが雑誌という紙面媒体経由で知っていただいたお客様が、メールでの画像添付の方法が不明なことではないかと考えています。
これに対する対応としましては、以前は書類送付は万が一の手段として案内しておりましたが、今後は用紙での提出については自動返信メールに住所を明示し、正式な手段として対応する形に変更します。
もう一つは申込みページからの自動返信メールが迷惑メールなどに入ってしまっていることが原因かもしれません。最近は迷惑メールの数量が以前よりも増えていて悪質さを増している印象があり、当社も同様に通常のメールが迷惑メールに振り分けられてしまうことが増えてきました。
もし迷惑メールに振り分けられてしまっている場合はこちらでは対処方法がありませんので、貸出ページに迷惑メールに自動振り分けされいないかについて注意喚起いたします。
お手数ですが、以前貸出が中断となってしまった方もぜひ、再検討お願いいたします。
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WF-P502Lの在庫復活、WF-P952の量産予定
大変おまたせしました。せっかく雑誌掲載の機会があったのですが怪我で長期在庫なしが続いておりましたが、本日在庫を補充しました。当面の在庫はこれで大丈夫かと思います。
WF-P952のほうですが前後パネルの文字色の関係でアルミ加工からやり直しになってしまい大幅に遅れてしまいました。来週に部材がようやく揃う予定でこれから組み立ても少しずつスタートします。こちらもまた続報がありましたら告知します。
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- お知らせ
Hypex DIYpreamplifierの取り扱い開始と、製品についての印象
Nilai500と合わせて少量取り寄せました。こちらはNilai500とは違い即納でしたので、すでにキット製品の取り扱いをショップで開始しています。仕様やスペックや価格はショップページにて転載していますので必要な場合はご覧ください。
より詳細な実測データはこちらに最新レビューが掲載されています。
https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/hypex-diy-preamplifier-kit-review.43492/
プリアンプ部は測定で見る限り現代最高峰クラスと言える仕上がりです。ヘッドフォンアンプは最大出力がやや低いので、大出力が必要な音量またはそのようなヘッドフォンを使うかどうかが適合の分かれ目となりそうです。
ただ測定でわかる項目は製品の全てではありません。先日こちらで試しに製品を組み立てて概ね音の印象について理解ができましたので、それについて書きます。
DIY preamplifierの音の特徴
比較用にいくつか他のプリアンプとテストしています。Hypex社と同じMolaMola社の製品以外は具体的な社名やモデルの掲載は控えます。
- 基本的な性格は、駆動の癖が少なく、立ち上がりが早く、透明感もDAC直結比でほぼ失われない、よく出来た忠実系プリアンプです。
- 一部の高特性中華プリアンプと傾向は似ていますが、そこまで腰高でもなく、駆動のピーク感も少なく、立ち上がりが遅くもありません。よりバランス良く長く聞ける音です。
- MolaMola makuaとの違いは余裕やスケール感です。低域に一番差があります。音の傾向やキャラクターは概ね似ていますが価格なりの差はあります。
- あえて細かいところを指摘すると、中高域に少しハリがあります。また最低域の伸びと余裕はどうしても弱いと感じます。(DAC直結からの変化から推測)
- ヘッドフォンアンプも基本的には同じ傾向ですが、おまけとしては非常によくできています。やや駆動が重いヘッドフォンでもそこまで遅い、乱れた音になりません。本格的なヘッドフォンアンプと比べても意外なほど安定した駆動性能だと感じます。
- ヘッドフォンのバランス出力側は端子はバランス出力ですが、本格的な機器よりクロストーク性能が少し弱い印象です。
以上です。
低域については予想でしかないですが電源が弱すぎるか、プリアンプ基板のコンデンサ容量が少なすぎるかもしれません。電源とプリアンプ基板の配線が長すぎる割にプリアンプ側には小さいコンデンサしかないため、この配線の影響で電流的な余裕が失われている可能性があります。
DIY向けですのでネジ穴とスペースが開いている場所に中継基板を作り、そこでコンデンサの容量を補うなどすると一気に改善する可能性があります。もしこの点が治れば良い実力のプリアンプになりそうです。このあたりのテストがもしできたら結果を報告します。
気になった点
念のためこれも予めお伝えしておきます。
- 最大入出力レベルが低めです。コンシューマ製品ではまず問題がありませんが、業務機レベルと接続する場合はそのままでは入力レベルオーバーか、出力レベル不足となります。
- XLR入力が一つしかありません。XLRを複数入力したい場合には用途が合わない可能性があります。拡張部にXLR入力を自力で増設することはできそうですが標準ではできません。
- RCA出力がありません。こちらもXLRのホット+GNDからRCAへ変換ができると思いますが標準ではできません。
2023/04/15 コンデンサの容量追加テスト
後付のコネクタで+-15V電源のコンデンサ容量を追加するテストを行いました。コネクタ式なので着脱して効果の比較ができるようになりました。
追加の結果ですがこれは予想以上に有効です。低音の伸びと余裕が改善し中高域のハリも大人しくなります。試したコンデンサではやや低域がやわらかいと感じましたが、このあたりは並列で使うコンデンサを変更することでもう少しチューニングもできそうです。改造後の音はプリアンプとしてなかなかの実力だと感じます。
今のところプリアンプについてはほぼ反響がありませんが、もし興味があればこの追加用の電源基板もきちんとケースに合うように設計を行いましてショップに置きたいと思います。
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- 製品情報
デジタル製品の開発状況と今後の予定
まだ右手が万全ではない状況ですが、PC操作関係は大分支障なくできるようになってきました。最近はNilai500関連を除きますと、開発と在集を進めています。そこで一旦現在の最新情報、今後の見込みについてご報告したいと思います。
仮称NU-DDCについて(NU=Network&USB)
半導体不足で開発中断となったデジリコの実質的な後継製品でコンセプト変更版になります。実際の機能や性能は当時の構想時より大きく改善されていますが名称は完全変更となりました。理由は当初のコンセプトが実現困難のためで、より現実的でわかりやすく妥当な名称になりました。
必要な部材が概ね集められそうな状況となりましたので正式に部材を集めて量産の準備と設計を進めている段階です。残念ながらデジリコ開発時よりも電子部品類の価格が大幅に高くなってしまっていますが、できる限り音質&性能を維持しながらコストを維持できるように設計と部品選定を進めています。
この製品のメインターゲットはMutec MC3+USBやSingxer SU-2のような製品をお使いの方になります。この帯域の製品から音的または機能的なアップグレードの提供とできるように努力いたします。
現在は筐体レイアウトデザイン、基板設計、重要部材の取寄を順次進めています。怪我の前に最初期の試作機も完成しており現在はリストアップしている80%程度の機能はすでに実現済です。
そこに以前の記事のコメントで頂いた要望を再度整理し、機能や端子をスペースの限界まで追加したものが次の最終候補の設計になります。
主な接続能力
- USB機能 XMOS 768kHz/DSD512/DoP256対応(RoonはUSBで対応可能)
- 10M外部クロック機能 50ΩBNC端子 低周波位相雑音&周波数精度リファレンスとして使用
- HDMI-I2Sの入出力対応 入出力ともにPS audio/Gustard互換切替、768kHz/DSD512/DoP256対応
- ネットワーク対応 AirPlay2/DLNA/UPnP/Amazon music(非HD)/Qubuz HD/Spotify/Tidal Hifi/Deezer
- 動作レート自動追従の高精度ワードクロック/22-24MHzクロック出力機能 75ΩBNC端子
- SPDIF出力機能 RCA端子 DoP出力対応
- ファームアップ用USB端子が背面端子となり従来のようなケースの開封が不要に
特徴的な機能
- SPDIF含め、すべての入力に対するリクロック。マスタークロックの周波数精度を10Mクロック基準へ改善
- PCM768k/DSD512を上限に任意のレートへのDSD、PCM相互変換機能
- 上記機能を生かした、DSDtoPCM変換+自動上限レート制限機能(古いDACへの対応やSPDIF伝送への最適化)
- 入力側はDSDFlagピン不要でHDMI-I2S入力のDSD/DoP自動認識、HDMI-I2S出力へのDSD-Flag付与
- 入出力で異なるHDMI-I2S接続設定に対応。HDMI-I2S接続の相性問題の改善
ご要望があればファーム変更によって以下のような機能も実現可能です。
- ワードクロック端子から特殊な周波数の同期クロック出力機能
- 10MHz以外のリファレンスクロック周波数への対応
本機は内蔵外部どちらも10Mクロックが全ての入力に対して有効ですが、特徴的なのはこの10Mクロックは全帯域の位相雑音リファレンスではなく、あくまで絶対周波数精度と低周波位相雑音のリファレンスとして機能する点です。
このようにした理由は入手しやすい価格帯の高精度OCXOやルビジウムクロックは精度は優秀でも10kHz以上の位相雑音性能はさほど優れていないことが多いためです。その帯域はいわゆるフェムトクロックが得意な領域で逆にフェムトクロックは周波数精度が悪いのが一般的です。従来この両立は非常に高価格なクロックが必要でした。
しかしこの製品では内蔵の低位相雑音クロックと10M高精度クロックの良いところを組み合わせる設計になっており、さらに外部に低価格な10Mクロックを追加しても出力される最終的な広帯域位相雑音性能は低下しません。オーディオでより重要とされるのは精度と低周波位相雑音ですが、広帯域位相雑音性能と精度の両立を狙いやすい設計です。
DAC関連の今後の展開、展望について
おまたせしております。AK4499EXの検証を含めまして少しずつ開発は進めております。
実のところ次世代のDAC開発でもっとも重要なアップデートは上記DDC部の性能です。最終音質面での従来の重要なボトルネックの一つです。先にDDCを出す理由もまさにそこで、デジタル受けやクロッキングの改善は直接DACの音質と関係しているためです。
従来比でデジタルクロッキング技術を大幅強化すれば、その結果DACも大きく進歩します。DDCでのノウハウをそのまま、または更に強化させてDACに搭載する、これが次世代DAC製品群の最低限クリアするべき基準だと考えています。新しい音質基準を達成するためのステップです。
またDDCの設計性能コンセプトはハイエンドDACに限らずすべての製品に今後維持継承されます。当社のDAC搭載のすべての製品で今後この高度なクロッキング機能を前提にラインナップ展開される予定です。
今の時点では具体的にお伝えできる情報は少ないのですが、DAC関連の長期的な展望は次のとおりです。順番は開発予定順ですが販売予定順ではありません。
- ハイエンド志向のDAC製品。フルサイズでAK4499EXを使ったもの。筐体デザインを更新。デジタルや特性面での多角的かつ安定的な性能を確保しつつ、アナログ領域のチューニング要素を搭載する。チューニングとは安易な音作りではなく、環境への最適化が目的。
- AK4499特注DACとIntegrated 250のアップグレード。どちらも1の開発ノウハウを投入し、DAC基板は完全交換となる見込み。性能面で根本的に一新される予定。AK4499特注DACの微小ディレイ問題も解決。
- Hypex社DIYプリアンプキット向けのDAC基板。ただしHypex社のDAC製品の内容次第。
- 廉価DAC製品。DDCと共通サイズ共通デザイン。旧AK4499を搭載。ACアダプター駆動で専用のヘッドフォン出力も搭載。
2以降はあくまで今の時点での構想です。予定は変更となる可能性があります。
怪我の状況報告と、無線と実験誌へのWF-P502L掲載について
トップに告知させていただいた通り右手に怪我をしまして先日まで入院していました。現在は退院しましたが右手はほとんど使えない状態です。完治まで3ヶ月ほどかかる見込みです。ただ途中である程度右手を使えるようになるはずです。
ご不便をおかけしますが当面の業務は以下のように対応できる内容に絞って行います。
- 貸出機の対応
- 簡単なメールやフォーラムでの対応
- 交換修理
- 完成品の出荷
- Nilai500グループバイ関連
以下は制限があります。ですが緊急性の高い内容の場合はできる範囲で対応の努力はいたします。
- 長文での返答全般
- はんだ付け作業、調査や分解を伴う修理
- 量産、開発作業全般(DDC、P952は遅れてしまう見込みです)
無線と実験 MJ 4月号
こちらは良い報告です。こちらに当社のWATERFALL Power 502Lが掲載されました。会社の簡単な紹介、製品の技術的要点、音についてのレビューがあります。音については価格を考慮の上ではありますが大変高い評価を頂いていると思います。また今回ありがたく雑誌掲載をいただきましたのでDDCのリリース時には広告も載せてみたいと考えています。新しいお客様への告知も少しずつ検討していきたいところです。
https://www.seibundo-shinkosha.net/magazine/hobby/78894/
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Hypex Nilai500 GroupBuy計画
2023/03/21 グループバイ1次申込み、締切となりました。追加での希望がある場合はコメントにてお知らせください。一定数量が集まりましたら追加で取り寄せします。
グループバイを行うのはNilai500のモノアンプキット(Nilai500DIY 500W mono kit)になります。プリアンプキットについてもご要望あれば検討いたします。ステレオアンプキットについては出力が大幅に低下することとコストメリットが少ないので現在は検討していません。
価格についてです。モノアンプ2台の予想価格は送料込で約25.5万円です。金額ベースはオンライン見積もりですので、最終的な台数、為替変動、送料によって上下が予想されます。あくまで目安です。
本国定価は820ユーロ、2台で1640ユーロです。現在ユーロは141円ですが、決済手数料2.5%、為替手数料約2円、送料72ユーロ、国内消費税+10%が加算されます。概算しますと個人輸入の場合は約27.5万円です。
最新報告 2023/03/28更新
最新:Hypex社から送金受理の報告がありました。
注文内容ですが、モノアンプ26ペア、プリアンプ5台発注しました。モノアンプの追加3セットは交換用部材兼非予約社向けの一般販売用です。DIYプリアンプも同様になります。
DIYプリアンプは現状1台しか希望者がいませんので販売用の3台は当面の在庫となる覚悟ですが、1台はこちらで組み立てを行い音質レポートは別途行います。2023年中にDIYプリアンプ用のオプションのDAC(MolaMolaと同様のディスクリートDACに期待)やフォノのリリースが予定されています。
グループバイ最終リクエスト結果ですが、モノアンプの注文リクエスト23名、DIYプリアンプが1台です。パワーアンプは納期6月になりました。遅くなりますがよろしくお願いいたします。
よくあるQ&Aはページ下部へ移動しました。こちらは今後台数と予定のみ記載いたします。
Nilai500までのUcD方式アンプの歩み
以下今回はじめての方向けの参考情報です。
Nilai500の始祖はBruno氏がPhilipsに在籍していた時代の特許製品UM10155が発端です。画期的な発明ではありましたがPhilipsから本格的な製品が発売されることはなく、有名になったのはオランダHypex社に在籍していた時代のUcDモジュール以降です。Nilai500も実質はUcDの改良版です。
このUcD方式は最もシンプルなフルアナログ式PWMアンプで動作はデジタルではありません。LCフィルターを含めたフィードバックを実現し、2000年代中盤以降UcDが初登場した当時唯一負荷インピーダンスに完全に左右されないフラットな周波数特性を実現しました。当時としては従来型D級アンプの複数の問題を同時に解決した方式です。しかしながら初期のUcDはD級としての問題をうまくクリアしたものの、まだよくできたアナログアンプに匹敵するほどの性能ではなく完全にアナログアンプと同等と言えるほどの性能は実現できていませんでした。
2012年にBruno氏は新世代のNcoreを発表します。UcDと比較してほとんどすべての測定指標で一桁(20dB前後)上回る数値を達成し、ついに大半のアナログアンプとの格差を解消します。このNcoreはコストパフォーマンスでは新世代モジュールに対して優位性があり、当社も現行でエントリークラスのパワーアンプ製品としてこのNcoreを搭載した製品を販売しています。
ここまではHypex社単独によるものでした。しかし現在Ncoreのさらなる発展技術は2つの企業が保持しています。
1つ目はデンマークのPurifiです。UcD特許発明者であるBruno氏はHypex社をやめ別の企業Purifiに移籍しましたが、その後2019年に新世代となる1ET400Aというアンプモジュールを発表します。これはUcDとNcoreほどの巨大な格差はありませんでしたが着実に性能を向上させたものでオープンループゲインが約20dB向上、実測特性でNcoreを総合的に上回る内容でした。
2021年にPurifi社は1ET400Aの大出力版となる1ET7040SAを発売しました。こちらは1ET400Aの性能をできる限り維持しより大出力でよりハイエンド志向を目指した製品です。現在量産手配中の当社のWF-P952に採用するのもこちらの1ET7040SAモジュールになります。測定性能そのものは1ET400Aよりわずかに落ちるのですが、それでも従来のNcoreより高い水準にまとまっています。Ncore発展系で最大出力を追求する場合にはこれが現在唯一の選択肢です。
そして2022年に長い間沈黙をしていたHypex社からPurifiに対抗する最新型のモジュールが発表されました。UcDからPurifiまでの進歩はすべて発明者のBruno氏によるものでしたが、NilaiはBruno氏ではなく残されたHypex社の技術スタッフが改善を行いました(技術の継承含め、大変な仕事だったと予想します)。またNilai500の発表性能はPurifiの1ET400Aの性能を上回るもので、最大出力を度外視すれば現行最高特性のD級アンプと言える内容です。
以下にNilai500のTHD+Nと同方式アンプの性能を比較したグラフをASRから転載します。
グラフの見方としては、低いほどノイズと歪が少ないということです。低出力時の数字が低いほどノイズが少なく、大出力時の数値が低いほど大音量時でも歪まず高い性能を維持しているといえます。Nilai500の性能は180W以内であればほぼすべての条件でNilai500が優秀です。
唯一Nilai500より上回っているのはNCx500の7W以内の性能ですが、これは前段バッファーを含まない数値ですので参考程度です。実際に製品として組み込まれる場合にはここからノイズ性能がある程度犠牲になりますので、結局はNilai500と同等になる可能性が高いです。
また1ET7040SAが最大出力で伸び悩んでいるのは4Ω負荷で電源電圧によるスイング制限が原因です。1ET7040SAは2Ω時に950Wまで最大出力が伸びますがNilai500は2Ωでは500Wから伸びません。一部のスピーカなどに該当する非常に重い負荷を駆動する場合には1ET7040SAが適切になります。
グループバイについて
グループバイのメリットはまとめて購入することで個別でオランダから輸入していただくよりも低価格で購入できるチャンスを提供できると考えています。以前目安として10人としていましたがこちらのミスでモノアンプ2台が5セット以上(10ユニット以上)の希望者が集まれば割引購入ができました。ただし10人未満の場合は単価が10人以上と比較して多少高くなるかもしれません。
当社を通すメリットはいくつかあります。
- 本国から直接個人で買うより関税、送料、為替手数料を含めると安くできる可能性があること
- 日本語サポートを提供できること
- 組み立てにコツが必要な箇所の情報を予め提供できること
- 初期不良や故障の際の交換対応を代行できること(余剰在庫があれば在庫品と交換するのでおまたせしません)
もちろん当社を通すことに抵抗がある方は個別で本国から購入頂いても構いません。そこは制限はありませんし自由です。ですがその場合はサイト表示の定価+為替手数料+決済手数料+送料+消費税がかかりますので表示金額より追加費用がかかりますのでご注意ください。Hypex社の表記価格はこれら手数料を含まない価格なので手元に届く頃には17%程度割増です。
グループバイの利点は送料と送金手数料を大幅に削減できること+当社がHypex社と法人契約のため仕入れや数量割引が適用できる点にあります。これを適用すれば本国で個人購入するトータル金額比で同等か安い価格で上記サポートや販売対応もできるということです。ですので実売に近い価格でも赤字にならずペイできる見込みです。
なお大事な注意点ですが完成品ではなくケースと全ての部品と内部配線ケーブルを含む自作キットなことに注意が必要です。決して難しい内容ではありませんが買ってすぐに使える完成品ではないことは予めご理解をお願いいたします。参考までに中身はこのようになっています。
Nilai500DIY 500W mono kit Hypex社公式情報
(Hypex社の商品ページを翻訳した内容です。)
商品説明/Nilai® Class Dテクノロジー登場!
Nilai500DIYは、好評を博したNC400の待望の後継機です。その洗練された輝きを放つ外観は、中身がどうなっているのかを如実に表しています。エンジンルームには新開発のコントロールループ・トポロジーを搭載し、パフォーマンスを一段と向上させました。Ncoreの10倍以上の性能を誇ります。
このモジュールは、NC400と同様に、完全ディスクリートのバッファー段とオンボードの電圧レギュレーターを備えています。Nilai500DIYは、厳選された高品位な部品と相まって、これまでで最高のサウンドのアンプとなりました。私たちは、ハイエンドオーディオの新たなベンチマークとなる真に特別な技術を生み出し、私たちDIYコミュニティにとって真にユニークなアンプモジュールとなりました。
Nilai500DIYとPS500DIYを組み合わせることで、最高のDIY体験を実現することができます!簡単な手順で、ハイエンドのパワーアンプをわずかなコストで、しかも30~60分で完成させることができます。DIYclassD PreAmplifierキットと組み合わせることで、素晴らしいサウンドの機器一式を作成することができます。
用意するものは、この箱といくつかの工具だけです。
- ワイヤーカッター(またはペンチ)
- 5.5mm六角ナットドライバー(またはペンチ)
- 7mm六角ナットドライバー(またはペンチ)
- 3.5mmマイナスドライバー
保証期間:5年/20.000h
主な特徴
超低歪み
超低アイドルパワー
超低ノイズ
超低出力インピーダンス
オーディオファイルコンポーネント搭載
仕様
入力端子
1 x バランスXLR
1 x トリガー12V
出力端子
1 x 金メッキバインディングポスト・セット
(バナナプラグ、スペードプラグまたは裸線)
このキットには以下のものが含まれています。
- DIYclassD Nilai500DIYモノケース(マットブラック)
- 完全な内部ケーブルハーネス
- PS500DIY電源。
- Nilai500DIYのアンプモジュール。
- 入力ボードとフロントボード。
- 必要なすべての取り付け材料。
- 組立説明書
- 1.5mm六角レンチ
- 2.5mm六角レンチ
- TX-10 トルクスキー
- TX-20トルクスキー
組み立て動画
空気録音による音質比較、Nilai500の参考評価記事
Q&A 質問と回答
こちらお客さまからの質問と回答の事例になります。青字はHypexからの公式回答です。
- BTL接続は可能ですか? はい、可能です。
- BTL は UCD モジュールと同じ方法ですか? はい、UCDと同じです。
- ACインレットをフィルター式に変更することに妥当性はありますか? ほとんどの場合、効果があると思います。お客様ご自身でお試しください。
- 保証について DIY製品なので、最終的なエンドユーザーには5年保証が付きます。そのため、グループ購入に参加される方全員が、弊社に直接5年保証を請求することができます。
Q:8Ω負荷でUcDアンプが出力できる倍以上のパワーが必要です。例えばUcD400を2台ブリッジする方法はありますか?
入力信号のマイナス側とプラス側を入れ替えるだけで、片方のモジュールが180度位相がずれて駆動します。ラウドスピーカーをアンプの両方のプラス側ラウドスピーカー出力 の間に接続し、アンプ側のラウドスピーカーターミナルに 100n/200V のコンデンサを接続します。各アンプは、8 オームの負荷が接続された 4 オームを「見て」いるので、この設定は 8 オーム負荷に最も適しています。4オームの負荷では電流保護が作動し、期待したほどのパワーが得られない可能性があります。
- ACインレットフィルターのおすすめはありますか?
これはこちらで回答いたします。Nilai500の付属アンプケースのインレットは以下のような構造になっています。
この部分の固定にかなりの力が必要なのでフィルターインレットタイプは無加工の適合品がないかもしれません。ケースの追加工が必要になる可能性が高いです。予めそのつもりで選定をお願いいたします。
そのうえで推奨品の回答ですがSchaffner社のものが高品質です。そして電流定格はできるだけ大きいものが良いです。定格が低いもののほうががノイズ抑圧スペックが高いことが多いですが、低い定格のものを使うと力感が低下することがあります。こちらで似たタイプを探しましたが固定金具が金属でしたのでそのままではつかない可能性が高いです。またヒューズ対応のものは高額です。
- SP出力端子のおすすめはありますか?
高品質なのはWBT社のものになると思います。定価自体がコネクタとしてかなり高額ですので費用対効果はあまりよくありませんが、一般グレードのものと比較するとそれなりの無視できない違いはあると感じます。ですが個人的には同じ費用をまずはケーブルとケースのインシュレータ類に投資したほうが効率は良いと思います。
- 支払い方法はどのようになりますか?
次のショップページリンクにNilai500の項目を追加します。銀行振込、Paypalを選択できます。クレジットカードはPaypal経由で利用可能です。
- Nilai500用に逢瀬のレタリングシートがほしいです
ありがとうございます。ですが今回のキットは逢瀬の製品ではなくHypex社の製品ですのでそのような対応は考えていません。パワーアンプはP952ももうすぐ発売になりますので、こちらをかわりにご検討いただければありがたいです。
- 背面に12Vのトリガー入力があり、電源のオン/オフが可能です。 トリガーコントロールの場合、前面のプッシュボタンの状態は関係ありません。 これは正しいです?
12v トリガーは、プッシュ ボタンを無効にします。
- AVアンプの12Vトリガー出力に接続した場合、AVアンプの電源ONと同時に本機の電源がONになりますか?
Nilai500 mono kit が 12V トリガー信号を受信するとすぐに、スイッチがオンになります。 12vトリガーを送信するときのAVプリアンプによって異なります。 一部のブランドは少し遅れて構築されます。 また、当社の DIY プリアンプは 12V トリガーの遅延が非常に小さいです。
- 一定時間入力がない場合、スタンバイに戻る機能はありますか?
Nilai500 キットにはシグナル検出機能はありません。 したがって、12V トリガーを使用すると、それにのみ反応します。 12V トリガーがない場合は、前面のプッシュ ボタンを使用して手動でスタンバイに切り替える必要があります。
- 連続使用した時の消費電力や発熱について実測値はありますか?
現在測定作業ができませんが似たスペックのP502Lでの実測データがありますので参考にしてください。同じではありませんが直系アンプですので結果が大幅に違うことはないと思われます。
無信号アイドル時:0.15A
矩形波駆動、アンプが歪み始める最大出力、4Ωダミーロード:2ch合計平均約12A
サイン波駆動、アンプの最大出力、4Ωダミーロード:2ch合計平均約8A
これを音楽信号にだいぶ近いエネルギーバランスだと思われるピンクノイズ波形に変更しますとボリューム位置が同じでも合計で2A以内まで下がります。筐体温度はさほど高くありません。冬場なら少し暖かい程度です。これが空調のない夏場や周囲に熱源のある設置状況では大幅に過酷になるかと思われます。
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Nilai500とその他Purifi、Ncore系パワーアンプの空気録音比較
以前に予告しておりましたが、Hypexの新型Nilai500のグループバイに当たってオンラインで試聴ができるソースを用意いたしました。
注意点
- 録音環境は同一(スピーカやDACやマイクは固定)ですが録音ゲインは多少の誤差があります。100V系の録音が200Vより1-2dBほど高いですが録音全体の誤差は最大でも2dB以内です。録音時のゲイン誤差は編集で0.1dB程度まで補正済みですが、もともとの録音ゲインの違いによって多少の影響があります。そこは厳密な比較ではなく、参考程度としてください。
- 使用音源はフリーでダウンロードが可能な2Lの2L-056_04_stereo_96kHz.flacを使っています。他にも検証用として複数の楽曲の録音をしていますがこちらにすべてアップはしません。(若干わかりにくくすみません)
- 200VのWF-P952のみ環境ノイズがやや大きいですがアンプによるものではなく空調と録音レベルの影響です。総合的には問題ないと判断し掲載しています。
空気録音データ
100V環境 Nilai500
100V環境 WF-P502L 1ET400A
100V環境 WF-P952 1ET7040SA
200V環境 Nilai500
200V環境 WF-P502L 1ET400A
200V環境 NC1200
200V環境 WF-P952 1ET7040SA
今後の予定
Nilai500グループバイの受付スタートは2月までに準備し案内予定です。次回はトップから特設ページへのリンクを新しく作成し、今回の録音データや過去記事に掲載した内容のまとめなどもそちらに掲載する予定です。事前のお申し込みもそちらからショップに移動していただき行う流れを予定しています。
録音について参考コメント
以下必要な方のみお読みください。
上記録音のみではわかりにくい現場で聞いた印象、掲載できなかった別の楽曲の録音結果と合わせまして、当方のコメントを追記しておきます。基本的には録音を聞いて各自でご判断いただくのが最適です。
Nilai500について
まず今回の注目であるNilai500は背景の静寂感や透明感ではすべての中で最も優秀だと思います。これは測定上でもSNが最優秀なので現場で聞きますとこれらが非常に優れていることがわかります。ですのでNilai500自体は繊細で丁寧な方向性のアンプと言う印象です。
またNilai500はP502の半分の電源容量で最も小さい電源のため駆動力の低下が心配でしたが100V環境では駆動力面でも十分健闘していると思います。おそらくですが従来モデルの電源よりも容量は小さくてもエネルギーを効率よく取り出せる設計になっているようです。
NC400 mono kitの位置づけについて
今回Nilai500に注目している方のうち現状でNC400 mono kitをお使いの方もいるかと思いますが、録音でNC400の基準とすべきはNC1200の高域+Nilai500かP502の低域です。この特徴を合わせた結果がNC400に近いです。Nilai500にアップグレードすることで低域や駆動力面で大きな向上はないと思いますが、背景音や中高域の精細な描写力は向上する可能性が高いでしょう。
高域について
NC1200とNilai500はフィルター非搭載なためか少しだけ付帯音を感じます。エージングでも初期の高域付帯音の印象を完全に払拭はできませんでした。比較によれば原因は帯域外ノイズを対策しているかどうかのようで、P952とP502はアンプ側に帯域外ノイズを取るフィルターがありますのでより素直な質感でした。
高域付帯音とは別の要素でもそれぞれに違いがあり、音像がシャープで細かい描写が得意なのはNilai500とP952で、P502は全体的にやや丸め、NC1200は少し雑なところがありそうです。あわせますと開発者としてはP952>P502≒Nilai500>NC1200という順番ですが、このあたりは何を重視するかによって順位や意見が分かれるところかもしれません。Nilai500やP952のような傾向は環境によってはシステムの問題をさらけ出し良い結果とならない、むしろP502のような方向性が合うこともあります。
200Vと100Vで傾向が変わる点に注意
今回比較して強く感じたのはアンプ以上に100Vと200Vの差が大きいことです。電源電圧は駆動力と切り離しては考えらないようで、200Vと比較すると100Vは全般的に立ち上がりが遅く、音が遠く、低音のグリップが弱いです。
参考情報として今回使用電源ユニットは3グループに分類されます。
- NC1200とWF-P952はSMPS3Kという3000Wクラスの電源を使用
- WF-P502LがSMPS1200でこれは1200Wクラスの電源
- Nilai500は専用の500W電源
正直100V環境ではSMPS3K搭載モデルの真の実力は発揮できていないようです。100VでのP952は低域の下の方に重い帯域があります(全体的に立ち上がりが早く余裕もありますが…)。P502ではそういう傾向はなく100Vでも帯域バランスの良い音です。Nilai500も傾向はP502とにてますが若干P502のほうが踏ん張りの効く音でしょうか。ですが200Vと比較すると大きい差ではありません。
これらの傾向は200Vでだいぶ変わるように感じました。200VではNC1200が駆動力では優秀で次点でP952、これはどちらもSMPS3Kモデルです。P502やNilai500は駆動面では少し弱いと感じます。ですが意外なことに200VになるとNilai500がP502より若干力強いでしょうか。
SMPS3Kの100Vでの実力低下は家庭用電源の電流スペックに上でもそうなっています。通常15Aが定格ですから100Vでは3000W取り出すことはできません。ですが200Vなら15Aで3000Wです。ですので100V環境ではWF-P952の実力は最大限には発揮できないということです。またNilai500は従来の電源と傾向が違うのか100Vより200Vで強みを見せるようです。
以上です。
今年の予定と現在の各製品の進捗について
皆様今年もよろしくお願いいたします。遅くなりましたが今年の予定について簡単にまとめます。
新型パワーアンプのPower 952
直近リリース目標は新型パワーアンプのPower 952です。年明けに量産向けケースが到着したのですが文字入れの指定に齟齬があり、黒色シルクではなく褐色のレーザー刻印になってしまいました。製品の位置づけとして高級モデルですので文字は国内で修正することを考えていますが、問題なく再シルクができるかどうか相談中です。
不可能そうなら前後パネルはすべて作り直しになります。金属加工は中国外注ですので春節明け以降の再生産となり、しばらく量産準備に時間がかかりそうな状況です。
Nilai500のグループバイ
おまたせしております。空気録音は現在準備中です。各種パワーアンプの比較用空気録音のための設備に万全の準備をと考えていますが、DAC関連が落ち着いていないため少し先延ばしになっています。一応ですが今月中には比較用の音声をアップする予定です。
Hypex社の受注再開が3月末以降ですので、2月からスタートするとしても予約受付の猶予は2ヶ月程度確保できる見込みです。最小注文数はモノアンプをペア10セット以上としています。これ以下の注文数の場合は発注自体を行いません。
ネットワーク対応のUSB-DDC
こちらは発売は今年後半以降になる可能性が高いです。現在は各機能を個別に検証している段階です。簡易インターフェース、簡易ケースでコストダウンを最大にしますが中身はできる限り力を入れます。
現在の予定ではネットワークにも対応できそうな見込みです。ネットワーク機能は現在検証中ですが、Roon以外の主要ストリーミングサービスに対応(AirPlay、非HDのAmazon music、Tidal、Qubuz、Spotify他)、UPNPも対応です。
他に光SPDIF入力(10M+内部リクロック)、USB入力、10Mクロック入力、HDMI-I2S出力、SPDIF+ワードクロック出力の予定です。RoonやDirettaへはネットワーク側では対応しませんがUSB入力がありますので外部に他社製品と組み合わせてそちらで対応することはできます。その分これらのライセンス費用を削減できますから価格は10万円台前半までに抑えられそうです。既存のDDCや低価格系のUSB-DDCやネットワーク製品よりも高品質かつ高機能を予定しています。
ネットワーク機能については基板メーカー側から詳細仕様や機能の情報提供が最低限で正直こちらもわかっていないことが多いですので万全のサポートにはかなり不安があります。そのためネットワーク対応の簡易基板を先行でキットとして手頃な価格でリリースし、ネットワーク関連の詳細な性能や機能の検証評価を皆様にご依頼するかもしれません。自作系ですと能力のある方はNUCやラズパイなどでネットワークオーディオは需要を満たしているような気もしますが、もしご興味があればテストしていただければありがたいと思っています。
注意:これらはまだ予定ですが確度の高い情報として記載しています。
DAC関連(当面AK4499EX+AK4191を予定)
現在こちらも試作検証中です。特性が安定せず音もまだ万全ではないため、リリースができる見込みはまだまだありません。最終的には万全の仕様、音質をお届けできるようにしたいと考えています。そのためには検討できるすべての可能性(AK4499EXに限らず他の構成を採用する可能性まで)を検証するつもりです。
正直なところですが最新のデジタル段をフル装備した「10Mクロック検証試作用AK4499EQ使用DAC」が現在こちらにある最高音質の仕上がりで、AK4499EXを使った全く同じコンセプトの試作品は音的にも特性的にも完成度が不足しています。まずはこれをクリアできるかどうかが製品リリースのための最低条件と考えています。
AK4499特注DACのアップデート再開
作業者さまの引っ越しに伴う一時停止を解除し再開しています。殆どの方は対応済みと思いますが、まだご希望がありましたら、こちらよりお申し込みをお願い致します。
Hypex Nilai500とPurifi 1ET7040SAのパワーアンプについて
Nilai500ですが発売日に購入手続きを行いまして、先日到着したものを組み立てました。非常によくできているキットで組み立ても簡単で使用感もなかなか良いです。
現在評価中で数時間鳴らした段階です。まだ完全にエージングも終わっていない状態ではありますが、初期よりは落ち着いてきたので一旦ファーストインプレッションを投稿します。P952(1ET7040SA)やP502Lの1ET400Aモデルと比較すると高域がだいぶ伸びる印象があります。低域よりも高域のエネルギー感が強いです。そして全体的な雰囲気は静寂感と落ち着きがあります。
ただし高域については伸びと精度はあるものの余計な音を出している印象もあります。Nilai500がこちらのシステムの細かい問題をさらけ出しているのか、それとも実装上のなにか別の問題があるのか、このあたりはエージング後でも傾向に変化がない場合は要検証となりそうです。まだ鳴らしたてですのでもう少し経過を見てから判断します。
Nilai500はおそらくNC400からならアップグレードと感じられる可能性が高いです。背景の透明感、高域のピントの細かさ、粒子の細かさなど、全体の精度は向上していると思います。1ET400Aでも同様の向上がありますのでここからは完全なアップグレードとはならない可能性が高く、比較評価も難しいところです。
Nilai500とこれら製品の比較は気になっている方も多いと思いますので、エージングが完了したと思われる段階になりましたら、空気録音で上記製品との比較ファイルをアップしてみたいと思います。
P952の試聴感想から見る、今後あるべきパワーアンプの展開
非常に残念なのですが、今の時点ではP502Lと比較して圧倒的優位と評価する方が少ない印象です。特に駆動面はP502Lでも十分と評価する方が多いようです。一部制動のし過ぎという意見もありました。高域については意見が分かれており概ねP502Lの方向性のほうが好ましい意見が多く、総合性能的にはP502Lで十分という印象を受けます。要するにP952のような過剰な駆動力を必要としておらず、高域もP502Lの傾向のほうが聞きやすいということのようです。
もちろん全員がそのような印象というわけではないのですが、現在貸出を行ったお客様のケースに限ればトータルではP502Lのバランスがよいという印象が多数派のようです。そしてP952で気になった点ですが高域側の指摘が多いとはいえ内訳はだいぶ意見が分かれているように見えましたので、お客様の好みやシステムとの相性が支配的になっている可能性が高いと現状は判断しています。(この点では一部の方はP952よりNilai500の方向性が適合しそうにも思いました)
もちろんP952のほうが圧倒的に良いという意見もありまして、これはこちらの印象は当方とかなり近いものなのですが、予想よりもこのような意見がかなり少ないのが現状です。この反響は今後のパワーアンプの展開と方向性について考えるきっかけになっています。
P952を必要とするような顧客層に製品の情報が届いていない、そもそもそのような方は少ないなど、色々要因は考えられます。今後のP952の売上次第ですが、もし今回のP952の少数生産でも売れないとなると今後は同じコンセプトのハイエンドモデルを掘り下げていく方向は縮小せざるをえないです。
もちろん少数でもこの方向性のご要望自体はあると思いますので、後継の1ET9040BAについてもご要望があれば少数生産を行うことは考えていますが、この製品の方向性はP502LからP952のさらに延長線上になりそうですので、今回ご試聴でP952が合わなかった方には不要な製品だと思います。このような製品は受注生産でかなり生産を絞る形か、Purifiのリファレンスをそのまま売る形など、リスク回避の方向での展開を検討する必要があります。
すでにClassDも成熟の域になってきていますので、もはや絶対性能の追求よりも、別の付加価値、異なる方向性へのチューニング、好みに寄り添う解釈などが求められてきているのかもしれません。現在は中華系のさらに高特性アンプもより廉価で選択肢がありますし、特性度外視で個性を出していくアンプも固定ファンがいます。同様に既存の有名ブランド品に別の魅力を感じる方もいると思います。
ここから見えてくるのは、Ncore系での素直な性能追求路線やコストパフォーマンスのバランス追求の時代はそろそろ終わりということです。現状のニーズは当面P502LとP952の在庫が十分役割を果たすと予想していますので、より安くまたはより趣味性や所有欲の高いものを求められていくような気がしています。
とにかく従来路線のままでは、大手製品、既存ブランド、海外廉価製品に挟まれて勝負するのは不可能だろうという判断です。
2022/12/22 補足追記:基礎クオリティの曲がり角
書き方として誤解があるかもしれませんので補足を書きます。まずP952の音的な基礎クオリティに問題があるとは思っていません。ですがすでに基礎クオリティが問題を解決しない領域に到達したものと理解しました。
オーディオではよくあるお話だと思いますが、一線を越えた品質領域になりますとシンプルなクオリティ向上のみで問題を解決することが困難になっていくと考えています。それは多くの不完全性の存在が浮き彫りになるからです。そうなったとき必要なのはシンプルな基礎クオリティの向上ではなく、バランスの調整やチューニング的な要因が重要かつ支配的になってくるということです。この帯域での一般的な手段は、アクセサリーやケーブルやセッティング等です。機器の場合は相性の模索という非常に難しい選択肢になります。
昨今低価格帯で基礎クオリティの向上が目覚ましいです。そのため基礎クオリティの問題を抱えている方が少なくなったこと(P502Lのお客様もこのカテゴリです)、これらの要因がより高度な問題解決手段を望む今回の結果につながったと理解しています。
なので次世代のハイエンドに求められるのはおそらく基礎クオリティ向上だけでは不足で、すでに一定のクオリティ条件を満たした環境にあるお客様にとって重要な、「高度な問題解決手段の提供」が必須になると思いました。
ただの基礎クオリティの向上の提示はP952がおそらく最終モデルです。同じコンセプトの後継製品は1ET9040BAを使ったPurifiのリファレンス設計でも十分だと思います。このような製品は海外で安く売られることでしょう。そしてこのような製品はおそらくほとんどの方にとって不要ですし、当社があえて似たような製品を作る意義はもうないという判断になります。
あえて独自設計で次世代パワーアンプを作るなら今後は今までとは全く違うコンセプトで、少なくともいくつかの問題解決手段を取り入れないといけないのではと思いました。ですのでここで書いた内容は決して悲観的な将来ビジョンではなく、今後のパワーアンプ展開における重要なコンセプト変更だと捉えていただけるとありがたいです。
今後の新展開として、Nilai500 mono kitのグループバイを検討しています
上の結論を受けた新しい試みです。今後オリジナル製品以外にこのような展開が可能な場合、こういう選択肢も取り入れていく見込みです。
組み立ててみてわかりましたが、Nilai500のキットは非常によくできており多くの人にすすめられる簡単な組立製品でした。こちらでまとめて購入すれば個別でご購入いただくより安く提供できる見込みですので、次回ロットの3月末までにグループバイ企画を立ててみようと思っています。為替も今より円高になる可能性が出てきていますので、3月は時期的にもちょうどよいと思います。
目安ですが10人以上希望者が集まれば個別で買うより確実に安くできます。こちらのNilai500が落ち着きましたら他のNcore系製品との空気録音比較をアップしますので、そちらを聞いて購入の判断をしてみてください。
当社を通すメリットがあるとすれば、本国から直接個人で買うより安くできること、日本語サポートを提供できること、組み立てにコツが必要な場所の情報を予め提供できること、初期不良や故障の際の交換対応をこちらで代行できることでしょうか(もし余剰在庫があれば在庫品と交換するのでおまたせしません)。
もちろん当社を通すことに抵抗がある方は個別で本国から購入頂いても構いません。なんの制限もないし自由です。ですがその場合はサイト表示の定価+為替手数料+決済手数料+送料+関税がかかりますので表示金額より追加費用が結構かかります。
グループバイの利点は送料と送金手数料を大幅に削減できることと、こちらは法人契約なので数量割引が適用できることにあります。これを適用すれば本国で個人購入するトータル金額比で同等か安い価格でも売れます。上記サポートや手数料などもちゃんと赤字にならずペイできる見込みです。
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