Junction DACはAK4499特注DACのアップグレード後の正式名称です。天面パネルのデザインが違うのでひと目で見分けることが可能です。

中古買い取りショップの方へ

AK4499特注DACとJunction DACについて細かい仕様の見分け方について別途まとめる予定です。特にキット由来やDAC枚数の少ない中古品は満額で買い取ると一定のリスクがありますので、当面は査定結果を確定する前にメールでお問い合わせください。

アップグレードコース、価格表

価格は現在検討中です。早ければ9月の初頭に正式価格とコースを発表し一次募集の受付を開始いたします。

一次募集のアップグレードの作業は10月から開始予定です。まとまった数量の受付はこの時点で一括対応を完了し、それ以降は順次対応の予定です。

コースは下記のとおりです。ただし基板のみ提供のキットコースはJunction DACではなくAK4499特注DACのままです。

  • Junction DAC Goldコース
  • Junction DAC Silverコース
  • キットコース(基板のみ提供。自己責任。これはJunction DACと呼びません)

いずれもDAC基板は回収枚数に応じて値下げになります。ただし現在公開の価格は回収込の価格です。これは故障している基板であっても同じ金額で値引きします。

2025年8月14日現在の予定価格表を掲載します

GoldコースSilverコースキットコース
新品完動品4枚から180,000円90,000円90,000円
新品2枚から220,000円130,000円130,000円
新品1枚から240,000円150,000円150,000円
キット、中古、故障品で4枚から200,000円110,000円90,000円
キット、中古、故障品で2枚から240,000円150,000円130,000円
キット、中古、故障品で1枚から260,000円170,000円150,000円

ご検討ありがとうございました。アンケートの回答が落ち着きはじめていますので価格表を現時点の予想見込み数から計算しました。

  • 今後の回答が月末までに全く伸びない場合はここから多少値上げになります。この価格は確定ではなくお約束もできないので予めご了承ください
  • 価格次第で検討という回答が相当数ありましたが、値下げにより最低限キットコースまたはSilverコースにお申し込みいただける前提で価格を設定しています。また全ての価格は税抜き、DAC基板の回収が前提です。
  • Silver、Goldで2倍を超えない範囲となるように設定しました。余裕がある方にGoldコースである程度のご負担をいただき、その分をSilver以下で心理的な重要ライン10万円を下回る価格となるように設定しています。
  • キット、中古、故障品と新品完動品の価格差を減らしました。これについては否定的な意見が比較的多く見られたためです。ただしキット、中古由来からのJunction DACアップグレードは原状復帰費用を見込んでいますので同価格にはできません。ご了承ください。
  • 原状復帰費用にはある程度の軽微故障の修復費用も含まれます。重大な故障がない場合は追加請求しません。
  • 完動品は電源スイッチの接触不良やポップノイズ発生(DAC基板の問題)などを含みます。故障品に該当はメイン基板のメンテナンスが前提のコネクタの損傷がある場合や入力系統が死んでいる場合などを想定しています。
  • キットコースのみコンディションによる価格差がありませんが、お客様に作業していただく関係で原状復帰費用が発生しないためです。
  • 参考情報としてご注文の90%以上が4枚仕様のため、すみませんが2枚以下の仕様は判断の主軸にはしていません。

コースそれぞれの仕様

Junction DAC 1にはGoldとSilverの2つのグレードを用意します。マルチウェイでお使いの方はGoldへのアップグレードが必須になりますのでご注意ください。EQ機能はいずれも対応します。

基本機能の大半はAK4499特注DACと同等ですが、それぞれに下記のような違いがあります。

Junction DAC Gold

  • デジタルクロスオーバー、マルチウェイモードにフル対応
  • またはDAC1枚の4出力を束ねた4サミング2chモードに対応
  • Coax同軸入力系統が1個になる代わりに10MHz入力搭載、外部クロック同期機能がつきます。
  • 内蔵DCDCの電圧を12Vから9Vに変更して熱対策を強化
  • 背面にGoldグレードとわかるシール

Junction DAC Silver

  • アップグレード価格をできるだけ抑えた低価格コース
  • DAC1枚の4出力を2分割し、2サミング2chモードにのみ対応
  • デジタルクロスオーバー、マルチウェイモード非対応
  • 10M入力非対応(コネクタ交換と動作確認の工賃をカット)
  • 内蔵DCDC電圧は12Vのまま(熱問題が発生しない&工賃のカット)
  • SilverからGoldへのアップグレード権は残ります(お客様の資金不足への柔軟な対応)
  • 2chのみで外部10Mが不要であればSilverでも十分な音質です

キットコース

  • 提供されるのは基板のみ。内容はGoldと同等で非常にコスパは良いですが自己責任です
  • こちらが提供するマニュアルを見て自力でアップグレードを行っていただきます
  • 天面パネルは付属しません。初期付属パネルは放熱不足で対策が必須ですが各自でご対応お願いします
  • 初期不良は通常通り対応しますが、製品と同じ1年保証はつきません
  • ピンがズレたまま通電や工具脱落による基板破損は一切補償できません(症状から判別ができます)

共通仕様

  • ハイエンドDAC開発による技術的進歩をほぼ全ての項目において8割程度実装しました。上流無対策の環境では試作ハイエンドDACに近い実力があります。
  • チップはAK4499EQで同じ。最大枚数は減っていますが設計世代の更新により基本性能は大幅に向上しています。
  • THD特性が大幅に改善します。10kHz以下のすべての帯域で-112dB以下と水準を改めます。
  • LRの時間誤差は完全に解消します。
  • 10MHz外部クロック対応になり、内蔵クロックも0.1ppmのTCXOになります。
  • 全chディスクリートバッファになり、高精度クロックと合わせて力強い出音が得られます。低域と高域の精度感は大幅に改善しました。
  • 出力監視と保護機能を兼ねて各chの出力表示機能が付きます。8chマルチの帯域ごとの出力状況を簡単にパネルで表示します。
  • 保護回路と温度監視が標準装備され製品としての信頼性が高くなりました。
  • すべての内部動作はマルチモードが基準となりモノモード時でもEQが有効になります(Silverモデルも対応)。ユーザーから見たモノモードの動作は今までと殆ど変わりません。
  • AK4499特注DACとファームの互換性はありません。Junction DACからは専用ファームウェアになります。
  • 外観デザインの更新。Integrated 250の延長のデザインに変更。すぐにJunction DACかAK4499特注DACか判別できます。
  • アップグレード後はアップグレード前が中古購入品やキット由来であっても通常品と同じ扱いになります。(修復不可能なキット除く)
  • 新規の保証はJunction DAC更新部についてのみ1年付与されます。(電源基板、メイン基板、操作部分の故障は含みません)

参考情報

2chでしか使わない方は正直Silverで十分だと思います。Silverは明らかに価格優遇していますので価格と内容の比率が重要ならばSilver一択です。あえて現行で最高のものがほしい場合やマルチ対応にしたい場合にGoldをご検討ください。

Junction DACはSilverであってもハイエンドで実現予定だった重要な要素をほとんど実装しています。

ハイエンドDACを待つ選択肢はもちろんありますが、現状の試作品はポテンシャルは高いと感じますが細部には問題が山積みですぐにリリースができる状態ではありません。

秋のヘッドフォンまつりまでにJunction DACに対してわかりやすい優位性を感じさせるところまで持っていきたいですが今の試作品はまだそこまでではありません。

測定例

各モデルの測定結果です。GoldとSilverの測定はベスト個体ではなく量産基板から無作為に取り出した結果です。試作基板も同等なので正常品はこれに近い結果が得られると思います。

SilverとGoldは測定上クロストーク以外に大きな違いはありません。

Goldモデル

Silverモデル

AK4499特注DAC(4サミング)

Junction DACの19k+20kHz IMDは現代でも特に優秀な結果です。このIMDとマルチトーンは新しい指標でJunction DACでは1kHzのTHD+Nの瞬間最大スペックではなく、全帯域全振幅でのTHDとIMDがフラットかつ安定していることがよりハイエンドのために重要と判断しそのような設計を行いました。

現代において1kHzのTHD+Nが優秀な機器は廉価帯にいくらでもありますが19k+20kHzのIMDは追求している機器はまだ少数です。ASRでは指標がないことが理由だと思われますが、手持ちの中華高特性機器はこのIMD性能に大きな劣化が見られます。

特にAK4499ではこの特性を改善することが非常に難しく多角的な対策を行わない限り改善ができませんでした(しかし実現しました)

一方StereoPhileの過去記事では多くのハイエンド機器の19k+20kHz IMDデータを見ることができます。現在この指標で最高峰と思われるのはdCSで、これが力強さや速度の均一性の一つのパラメータだと予想しました。

https://www.stereophile.com/content/dcs-vivaldi-apex-da-processor-measurements

dCS Vivaldi DACの結果のみ参照します。

オンライン試聴(2025年8月15日更新)

以前の音源は違いがわかりにくかったため、ライン録音はやめて空気録音とし使用音源と接続環境も高品質なものに変更しました。

比較条件下記のとおりです。

  • Taiko Extreme>NU-DDC>光ブースタ2試作>同軸>それぞれのDACへ(44.1kHz)
  • DAC>他社製プリアンプ>WF-P952 115V>スピーカ>Earthworks QTC50>NEVE系マイクプリ>UA2192 ADC(96kHz)
  • DAWでゲインとタイミングを揃え、適度にリミッターをかけて出力(48kHz)

空気録音では以前の音源より違いがよりわかりやすくなっていると思います。Goldとシングルの中間がSilverとなります。

Junction DAC Goldモデル

AK4499特注DAC(4サミング、最終アップグレード適用)

Junction DAC シングル出力(サミングなし)

使用音源はこちらです。(音源は個人サイト側にリンクしています)

iZme Raise

アップグレードを検討される方への追加情報(2025年8月13日記載)

アンケートにご協力いただいた方へ。ご協力、また率直なご意見、ありがとうございました。できる対応は行いますが限界もありますので、必要と思われる内容についてはこちらで一部回答いたします。

価格について

今のところ最もご意見が多いのが価格についてです。残念ながら音質面よりも価格が最大の関心事項になってしまっていますので背景をご説明します。

隠すことでもないので公開しますが今回のアップグレード基板一式の製造原価はトータル530万円以上かかっています。過去実績から申し込みは最大90人想定なので単純に割ると1台あたり原価約6万円です。

ここが重要で、今までのアップグレードは工賃メインで部材原価は低かったですが今回は全く違う、ということです。

しかもこの金額は開発費、送料、交換工賃を除外した純粋な製造費用のみの金額です。頑張って原価削りましたがDACとディスクリートバッファと実装費用が高く合計でこれくらいかかっています。そもそもAK4499EQが単体で1万円近いのです。

原価50%とすると12万円が販売価格になりますので今回は12万円が底値です。この残り50%から送料、工賃、開発費を当社が負担しますから実質は50%を割ります

それでも申込みが多ければ問題ありません。しかし問題はもし12万円で受付を行って申し込みが半分だと原価ベースで赤字になってしまうので今回は事前にアンケートを取って注文数と価格のバランスを取ることにしました。

このあたりが従来のアップグレードとは背景事情が違う理由です。

今までもアップグレードで利益を上げてきているではないかと思われるかもしれませんが、それは開発費に回っていてハイエンド製品のリサーチや度重なる試作品になっています。開発費を入れると今の価格でも見合わないのでそれは除外した価格にしています。

途中で10万円とご案内した時点ではIC駆動だったのですが、それ以降に伝説的製品と出会いIC駆動の限界を痛感し、それからディスクリートバッファへ変更となり、そこでもう10万円での提供は現実的ではなくなりました。価格重視なら絶対に採用しない選択肢ですが、良いものを届けたいと思って最高の選択をしました。

オーディオにおいて手抜きをしたら会社としても先はありませんからこれは当然の選択肢だとは思っていますが原価がかかるものはどうしようもありません。

このご時世なので仕方ないと思っていますが当社は中国企業ではないので値引きにも限度があることはご理解ください。赤字で事業継続しても倒産ルートでしかないし、まだやるべきことがあると考えていますので今は自殺行為的値下げのタイミングではありません。

今後も質の良い製品を作り、事業を継続するためには最低限の収入がなければできません。そのためのご協力をお願いしています。すみませんがご理解をよろしくお願いいたします。

(補足:回収したDAC基板はさらに予算がない方のための超格安製品の開発に使います。これで高級品は作りません)

AK4499特注DACとの音質基準の違いについて

従来のアップグレードが数%の改良としたら、Junction DACは数割の改良と考えています。ただしこれは音質的な話ではなく技術的蓄積の総量の違いのお話です。

キット由来かつ突貫作業だった初期型のAK4499特注DACと比較して、Junction DACは数年間吟味を重ねた熟成の設計がベースとなっています。信頼性にも比重をおいており出力監視や発熱と性能のバランスを取りつつ重要かつ必須要素に絞って音質の最大化を狙っています。

その結果さらに上位グレードの製品と比較ができるような評価ベースの上に成立するよう再設計したのがJunction DACとなります。

具体的には次のような違いです。

  • SN主義から安定THD主義へ(SN性能は最重要課題ではなくなった)
  • 出力駆動にICを使う限界を理解し出力駆動はディスクリートへ(現代では失われた伝説的名機の共通点)
  • 低位相雑音クロックではなく高精度クロック主義へ(ハイエンドの共通点、原因特定と対策の実装)

そのためアップグレードによるパフォーマンス向上は従来とは全く比較にならないというのが当社の見解です。

とはいえ安易にハイエンド超えと主張するつもりもありません。あくまで接合点でありハイエンドの入口に案内できる程度の製品だと主張するまでにとどめたいと思います。

これでもアップグレードが高いと言われるのはかなり厳しいです(説明不足が理由かもしれませんが)。おそらく単純に定価ベースでみてアップグレードの価格比率が高いという相対的な話でしかないように思います。

現状はいつもお伝えしているように原価ベースで価格を決めているので費用がかかっているものは高くなったというだけです。

このJunction DAC(新型)とAK4499特注DAC(旧型)との音質比較の機会ですが、秋のヘッドフォンまつりで比較ができる設備を用意する予定です。もしアップグレードに迷っている方でイベントに来られる方はここで直接確認をお願いいたします。

  • 旧型は大げさでやや脚色があり高域にまだ滲みがありますので量感や迫力のような要素は旧型のほうが強く感じるかもしれません。
  • 4サミングであれば透明感は問題がないと考えていますが、従来型には柔らかさと透明感があり環境によって旧型のほうが聞きやすい音の可能性があります。
  • 新型は高性能の割に音がきつくならないように心がけていますがそれでも上流が貧弱だったりデジタルケーブルにクセがあったりすると厳しい音が出る可能性があります。寛容さは旧型のほうがありますが悪く言えば全てが曖昧です。
  • 最低域のレンジはどちらもしっかり伸びますが、わかりやすい重さを感じるのは旧型で新型は軽やかに音が出ます。エネルギー総量が大きく速度が早くタイミングが揃っていて余裕があるのは新型ですが、その分味気ないと感じる可能性はあります。
  • 音の焦点は新型で大幅に改善しておりアタックの点がよく見えるようになっています。これが場合によっては音源やシステムの問題点を浮き彫りにします。

違いを録音できたら録音もアップ予定です。