2019ヘッドフォン祭終了。ありがとうございました。

AK4499特注DACについて

はじめに。これはハイエンドDACの開発に必要なプロセスで生まれた実験作です。だから正式にラインナップもしないし継続的な販売も行いません。ハイエンドDACの最終目標はまだ遠くですが確実に近づいています。ですがこのAK4499に皆様の要望があったので一度だけ量産を行います。予めお伝えしておきます。これはただのハイエンドの寄り道DACでしかありません。

ヘッドフォン祭り当日に一部の方にご案内いたしましたが、ご要望を受けて完成品を受注することにしました。

詳しい案内は12月の上旬頃に行う予定です。早ければ12月上旬より募集を開始できればと思うところですがまだ予定でしかありません。現時点での構想はクラウドファンディングのような形で購入希望を募ろうと思います。そして重要なのが購入希望者の人数で金額が変わることです。数人しか集まらない場合はかなり高額になる可能性もありますが、逆に100人集まれば相当安くできると思います(ありえないと思いますが)。

現時点での予測なので確定情報じゃありませんが数人だと50万円前後、100人集まれば20万円を切れる可能性もあります。幸いなことにヘッドフォン祭り当日の雰囲気では5人以上は確実に集まりそうな気配なので50万円を超えることはないでしょう。お申し込みの際は嫌がらせ防止のために事前にお客様にある程度の金額を出資していただく形になると思います。もっと詳しい情報については12月に再度発表する予定です。具体的な数量単価の見積もりが間に合えば金額、手続方法など、準備を進めたいと思います。

逢瀬は音質で価格を決めません。利益は必要ですが利益至上主義でもないしブランド主義でもないからです。逢瀬はそういう人たちの趣向は重視していません。どんなに良い音質であっても適正と思われる価格で売ります。そしてハイエンドDACは本当に原価がかかる製品になるはずです。でも今のAK4499 DACは大した原価はかかっていません。だから既存のハイエンドみたいな価格にはしませんし、その必要もありません。みなさんが現実的な価格で良い音質を楽しめることのほうがずっと大事です。

しかし逢瀬の企業力ではコストダウンも限界があります。だからクラウドファンディングのような方法を選び、量産数に最適化した価格でみなさんにお届けする道を選びました。これ以上のアイデアは思いつきませんでした。それは何度もできることではありませんので量産は一度だけです。それ以降は正規製品の開発に向けて集中したいと思います。

製品の特性上とスケジュールの関係からいつものような貸し出しでの試聴機は用意できません。残念ながら今の当方にはそのための時間も猶予もありません。そのため音質については今回のヘッドフォン祭りのレビューのみとなってしまいそうです。あとは当方での試聴ですがそれではかなり対応人数がかなり限られてしまいます。理想的にはできればもう一度皆様に広く試聴いただける機会を設けたいです。例えばある程度の人数を集めることができる電気を使える会場かつアクセスのいい場所を安値で用意できれば可能性はあります。場所は今回関東だったので関西方面も良いかもしれません。いずれにせよ検討中です。

2019年11月6日追記 こちらの大阪のイベントにAK4499 DAC展示を検討中です

https://twitter.com/toyoki_9970/status/1191320070657466369?s=20

11月30日(土)13:00〜19:00
SMG貸し会議室 / 四ツ橋・近商ビル 大阪市西区北堀江1-1-24 近商ビル10階(10A)
osaka-conference.com/rental/yb-kins
四つ橋線「四ツ橋」駅3番出口より徒歩30秒
御堂筋線「心斎橋」駅北改札から徒歩7分

ヘッドフォンアダプタについて

ヘッドフォンアダプタについても同時に発表する予定です。こちらもAK4499と同時期にクラウドファンディング的な形で基板で出す予定です。逢瀬で基板を扱うのは例外ですが、今回に限っては基板単価に比べてケース単価が高すぎる為、ケース込みが皆様の利益にならないと判断しています。数量によりますが基板よりケースが3倍以上の値段となる可能性まであります。

個人活動と逢瀬の関係性

個人のHPでAK4499 DACキットを基板として提供するお話がありますが、個人と逢瀬の関係について、実は当方は最初から基本的なガイドラインに沿って行動しています。その内容をそろそろ公開しておくべきと考えましたので一度まとめておきます。

  • 基本的に未完成品は逢瀬では販売しません。逢瀬は完成品のみを扱います。サポート範囲も異なります。
  • 個人では逢瀬製品の直接的な話題には触れない、言及しない、個人はメーカーと利害のない個人として行動するように努めています。
  • 個人で逢瀬製品と同等品を比較のために引用することがあったとしても具体的な製品名やリンクは明記せずに一般名称や機能名のみです。
  • 他社製品の直接的な話題は逢瀬ではしないように努めます。逢瀬は自社製品に注力します。
  • 逢瀬から個人へのリンク、紹介は行いません。個人から逢瀬の紹介も本当に推奨できる相手以外には行いません。

人間なのでもちろん不完全な部分やうっかりミスはあるのですが、個人のつながりを積極的に商売に利用したり、真実ではなく利害に基づいた他社を貶める発言をしたり、そういうことは最大限避けたいと考えています。個人としてもメーカーとしても誠実に真実を発信することに努め、個人HPで技術的なノウハウの40%程度をフリーで公開しオーディオ業界に貢献したいと考えています。

前例もなく難易度の高い試みですが以上ご理解をお願いいたします。ちなみに以前から個人とメーカーの関係そのものについては特に秘密扱いにはしていません。積極的に公開や言及をしなかっただけです。

※ヘッドフォンアダプタについてのみ例外的ですが、逢瀬からスタートした製品なのでいまのところ唯一の例外となります。今後はこのようなことがないようにします。

頂いたご感想

2019年11月04日 逢瀬の開発途中で生まれたAK4499DAC

http://www.bergamotflavor.com/article/471331510.html

万策堂さんへの私信

個人へメーカーとして発信することは極めて異例ですが、連絡先が不明なことと有力ブロガーは公人としての側面を持つと判断し、ここに書かせていただきたいと思います。直感的にもうお会いすることはないのかなと感じました為。

ご存知でない方のために万策堂さんのリンク先はこちらです。

https://pansaku.exblog.jp/

まずはヘッドフォン祭で逢瀬ブースにご来訪いただきありがとうございました。当日満足なご返答が出来ませんでしたのでこちらで補足を書きたいと思います。

逢瀬の目標

逢瀬はハイエンドの最高峰が目標ではありません。地位も、名誉も、お金も、必要ですが目的ではなくただの手段です。ハイエンドの最高峰も通過点でしかありません。「誰も手に入れられない最高」に意味はないと考えています。もちろん最高を知っていること、そしてそれを作る技術は大事ですが、それが大量生産が困難で高額で誰も手に入れられない製品では当方にとって意味がありません。それは世界的に見て、人類に対して、ほんとうの意味で貢献しているとは言えません。それでは多くの人を動かすことは出来ないし、人々の価値観に何の影響も与えません。どんなにすごくても普通の人から見ればわけのわからない高額なオーディオで終わりです。

逢瀬の現在到達しているクオリティはまだ完全とは言えません。まだまだ基礎クオリティを伸ばし、まだ見ぬ領域に向けて改善を続けていきます。多くのハイエンドメーカーは基礎クオリティではなく個性や音楽性に行きますが、逢瀬はそれは最後にすることにしています。基礎クオリティは本質的な要素であり、高くなるほど間口が広がり多様性を内包します。究極的な概念でいえば頂点はすべての人を満足させます。本来のピュアオーディオはそこに近づくために徹底追及するところにあったはずです。だから逢瀬もまずはそこに忠実であり続けたいです。

では基礎クオリティを実現した後は何が待っているのか。最近個人的に感じている最終目標は人類の聴覚の進化です。誰もが手に入れられる最高のデバイス。それによって人々は今まで気づかなかったことに気づき、新しい価値観が生まれる。それを実現するのは私ではなくて構いません。オーディオ業界は最終的にここに到達するべきだということです。しかしそれは強制的な啓蒙や洗脳であってはならないし、自発的自然的イノベーションでなければなりません。

例えば、PC、スマホ、インターネットがない時代に人々はどうだったのか。そして今はどう変わったのか。人は生まれ持った器官ではないデバイスを持ち、多様すぎる機能と情報ツールを得て、強制的な進化を体験しているとも言えないでしょうか。生まれ持ったポテンシャルを超えるようなアウトプットが様々なツールによって可能になった時代です。それらは偉大な成果の積み重ねの結果です。一人の成果ではなく、偉大な天才達の偶然と必然によってそれらが生まれ現在があるのです。

現在、音質だけでいえば人間に寄り添った研究が十分に進んでいるとは思えません。未だに人間の聴覚と一致しない測定値を重視し、お金に囚われた人々が本質を無視したことを行い、思い込みや偏見やオカルトが満ちているのが現在のオーディオでしょう。とにかく、まだまだわからないことがたくさんあり、メーカーも答えを見つけていません。そして良いものは必然的に高いので、残念ながら現在は殆どの大衆が劣悪な音を聞いてそれが普通だと思っている。それを変革しなければなりません。オーディオは時が止まったかのようです。

もちろん逢瀬が上記を実現できるとは考えていません。そこまで驕っていません。そして逢瀬がそれを実現する必要もありません。世界の誰かがそれをすればよいのです。そのために私はあまりにも無力であり、手段もリソースも限られています。ただの一庶民でしかありません。しかしそれでも理想と目標を掲げ、目の前のできることに集中していくことで少しでもそこに近づく僅かな貢献ができたら良いという思いです。私は例えばですが100億円の宝くじがあたったら最高のAD、DAのICを開発したいです。特にADが大事です。そして誰もが手に入れられる価格でありながら最高の製品を作りたいです。

目先のお金が目標であってはならないのは、そのために道から外れ戻ってこれなくなることを避けたいからです。お金で狂った人を何人も見てきています。人間の器は決まっているのか、器を超えるお金を手に入れた瞬間その人は腐りはじめるのです。某映画のダークサイドのように一度落ちると別人になりもう帰ってきません。それはお金だけではなく地位、名誉であっても同じです。器を超えた成功を手にした瞬間、心にある悪いものに支配されてしまうのです。

今後のオーディオ機器に求められる機能性について

多機能性は重要です。しかしその多機能性は顧客至上主義に陥るべきではないと考えています。それは家電業界と同じ未来が待っています。どのような人でも満足できる幅広い機能と接続性。顧客ニーズをどこまでも掘り下げて媚びていく企業姿勢。顧客にとって一見理想的ですがそれはオーディオの未来ではありません。

顧客がメーカーを支配できるようになったら衰退です。影響力の高い個人がメーカーを突き思い通りに動かしていくこと。そのようなことはメーカーの本当に作りたい純粋な情熱を削ぎます。音楽は精神性がダイレクトに結果に出ます。オーディオも同じです。製品の音質は、空気を読んだ、他者を伺うような音になり、音から自信という気配を失います。そのようなオーディオばかりになります。自己主張のない抑圧的な音楽だけが残る世界は豊かだと言えるでしょうか。私はそう思いません。

顧客は当然ながらメーカーに好きなように意見を言う権利はありますがメーカーがそれを聞く必要はありません(もちろん商売として成立する範囲で)。メーカーは自信を持って良いと判断できる意見のみ採用し、そうでない明らかなポリシーに違反する意見は無視をするべきです。大手メーカーであればそれは異なるでしょう。大手による大衆のための製品は顧客至上主義でもよいです。必要です。しかしガレージのような小さいメーカーがそうすることは大手と競合することを意味します。それでは生き残れません。最終的に小さな個性的なメーカーが消え、大手が大衆を支配し大衆もまた大手にいろいろなものを求め業界全体での多様性は失われ一様な姿勢から生まれる一様な音質傾向が残るでしょう。

音楽、オーディオは趣味性が高く、一様であってはならないと考えます。逢瀬は顧客ニーズも考慮しますし、他社にない多機能性を意識した製品を作り続けたいと考えますが、決して大衆的ではなく常に尖った製品でありたいとも同時に考えています。そのバランスのあり方もメーカーとしての姿勢が現れる部分です。

究極回答が現れるまでの不完全な間は世界に多様性が必要です。しかし人間側が完璧になることはないでしょうから多様性はやはり必要でしょう。

逢瀬が考えるアナログ

アナログの音は認めていますが逢瀬がアナログを手掛ける可能性は極めて低いです。ここでいうアナログというのはレコードのことです。だからフォノを考慮した設計は今後も消極的です。

アナログが唯一無二のものでありつづけることより、デジタルが進化しもっとアナログの優位性に近づかなければなりません。アナログは現代のライフスタイルとの相性が非常に悪く今後もニッチで有り続けると予測しています。いくら音が良くても儀式的なレコード盤の交換、盤による個体差、良質盤の入手性、盤を保存するための場所、再生するたびに劣化するコンディション。このように問題がたくさんあります。ここに将来があるとは思えません。その趣味性の高さは尊重しますが、少なくとも逢瀬が投資すべきメディアではないという判断です。

デジタルの不完全性を払拭し、アナログからデジタルによって失われる情報を減らすまたは補間していくこと、これこそが大きな価値のある試みだと考えています。アナログは超えられないと諦める姿勢はメーカーとしては望ましくありません。逆に不可能にチャレンジしていくことが望ましく、それこそが非常にやりがいのあることです。

逢瀬はADCを将来的に手掛けます。マスターテープからCD化によって失われている情報があります。それはデジタル的に再生することは困難です。しかしADCがほんとうの意味で進化すれば残存するアナログマスターからもっと忠実なデジタルソースを作り出すことが出来ます。ADCを使った最新の生録音も進化します。ADCの進化こそが業界に本当に求められるものです。ですが現在の業界はDACのほうが商売になるので真面目にADCを作るメーカーはほとんどありません。現在では旭化成くらいしか従来の限界を超えるADCを手掛けていません。あとは産業用途のADCだけです。

DACよりADCがもっと進化しなければなりません。商売にならないからやらないではいつまでも録音が良くなりません。だからアナログが良いといまでも言われていてそこで停滞しています。誰もやらないやれないなら私がやるしかありません。微力ですが業界と将来に貢献したいといつも考えています。しかしそのためにはあまりにも微力すぎる、力不足なのが実情です。

マス工房さんに感謝

朝ヘッドフォンアダプタが断線しまして、通りがかったマス工房さんに直していただきました。ありがとうございます! このリペアはうちのことです。

Follow me!

2019ヘッドフォン祭終了。ありがとうございました。” に対して5件のコメントがあります。

  1. 坂崎 より:

    WF250はak4499DACへのアップグレードは対応していますか?
    その際の費用やWF250との音の違い等が気になります。

    1. ause より:

      坂崎さま

      250のアップグレードはハイエンドDACの開発目処がついた後を予定しています。現時点でAK4499がベストかどうかは判断できないので、かなりおまたせする形になると思います。例えばですがハイエンドDACの開発段階でAK4499より良い選択肢が見つかればアップグレードもそちらを採用する予定です。そのような状況ですので費用についてもまだお答えできるような情報はありません。
      以上よろしくお願いいたします。

  2. ふぃ~きぃぃぃぃぃ より:

    今後発売される製品において、消費電力の高い機器を除いてバッテリーを搭載する可能性はありますか?
    個人的には、それによって音質がAC電源の質に左右されなくなれば多少高くなってもその方がいいのですが、どのようにお考えでしょうか。

    1. ause より:

      ふぃ~きぃぃぃぃぃ さま

      今の所バッテリー搭載は考えていません。以下のような理由です。
      取り扱いが危険なレベルのバッテリーを扱わなければならないため、安全な製品化は専門的知識が必須となり難しいと思われます。また低価格で提供することも開発や安全性の面で難しいでしょう。AC電源の質に影響を受けなくすることは極めて困難です。たしかにデジリコのような発想でACも同じ様に設計すれば良くなると思いますがAC関係は上記のようなリスク、超えなければならない高い壁があります。

      よろしくお願いいたします。

      1. ふぃ~きぃぃぃぃぃ より:

        ご回答ありがとうございます。
        安全面にかなり気を遣わないといけないのですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

eighteen − 8 =