P400のアップグレードのご案内、その他の情報
長らくお待たせいたしました。ショップに以下の項目を追加しました。
P400にP500と同等の入力フィルターを追加するものです。ただし全員に必須のアップグレードではありません。帯域外ノイズの多いDACを使っている場合にNcoreの特性劣化を防ぐ効果があるものです。例えばですが逢瀬製品との組み合わせではDAC側の帯域外ノイズが多くないため必須ではないです。ケーブルの取り回しが長いなど途中経路でノイズを拾う場合には有効かもしれません。
もう一つのアップグレード適応条件としてプリアンプの出力インピーダンスは最大600Ω以下である必要があります。これを大幅に超えるパッシブプリや一部の真空管プリを接続すると高域が想定以上に減衰し音声帯域まで影響が出てしまいます。出力インピーダンスが高いと思われる製品を使われている場合は要確認、またはアップグレードを避けるようにしてください。逢瀬のAK4499、AK4495、Integratedシリーズとの組み合わせの場合には問題ありません。現代の大半の電源を必要とする製品との組み合わせなら問題はないと思います。
なおアップグレードの往復送料は別途かかりますのでご注意ください。以下のような手順でのアップグレード作業となります。
- 購入手続き
- 入金確認
- お客様へ発送のご連絡(発払い)
- 到着後、アップグレード作業
- ご返送(着払い)
となります。
コメント欄のご質問に対応して追記します
簡単な測定条件と結果を掲載します。
C社DAC単体 帯域外成分分布
4499DAC単体 帯域外成分分布
C社DAC 無対策 WF-P400
C社DAC 対策 WF-P400
C社DAC 無対策 N社NC500パワーアンプ
C社DAC 対策 WF-P500
2021/12/16追加 P400最初期試作品の測定結果
電源断(測定限界、環境ノイズを示す)
入力オープン時
当社DACと接続しアイドル状態(オープン時と比較し帯域内ノイズは減少し65kが可視化される)
廉価パワーアンプの状況
こちらもおまたせしております。現在梱包用ダンボール製造中、製品のモジュールは先日ようやく本国出荷済みです。10月中に本格的な量産を開始できる見込みです。
AK4499用のファインメットコア
大変ありがたいことに多くのご要望をいただきましたので、ショップで取り扱うことにします。現在取寄中です。テストができましたらこちらで報告する予定です。使い方による音質傾向も簡単ですがご案内いたします。
光ブースターの販売検討
半導体不足の中で販売できるものがないか検討した結果です。
これはデジタルの光信号=オプティカルを同軸SPDIFに変換するだけのものですが、音質をある程度改善する効果があります。ただしデジリコのように本質的な改善はできません。非常に簡易的な内容ですが粗悪な光出力でもある程度音質を引き上げることができます。
ACアダプタで5Vを供給し光から同軸に変換するだけです。価格と発売までの期間を短くするため基板のまま販売しますので実質キット扱いとします。かなり小型の基板かつ部品点数も少ないので価格は手軽に買って試せる範囲に抑えられると思います。(ただしパワーアンプが落ち着いて以降となります)
P400のフィルターアップグレードについてお尋ねします。
P500、P502Lの商品ページにあるNC400のスペクトルデータはP400のものでしょうか?
4499DAC等、貴社の製品を接続する場合にはアップグレードは必須ではないとのことですが、P400に4499DACを接続するとP400のデータはどのようになるのでしょうか?
データをお見せいただけないでしょうか?
また、フィルターを付けた場合、帯域外ノイズの多いDAC接続状態でP400のデータはどのように変わるのでしょうか?
以上、よろしくお願いします。
ご質問回答いたします。
・P500、P502Lの商品ページの測定時はP400を使用していました。P500とP400の結果はほぼ同等です。コメント欄では画像を扱いにくいため記事に追記しました。
・現在手元にP400の動作品がないため、4499DACとの組み合わせのデータはすぐにご対応不可能です。ですがP502Lの結果と同等と考えていただいて大丈夫です。こちらの記事にP502Lでの4499DACの結果があります。https://ause-audio.com/?p=3366
各条件と結果を掲載しましたのでP400での結果も推測が可能かと思います。それでもP400のデータが必要な場合は対応にお時間が必要です。すみませんが直近で対応は出来ません。ご了承をお願いいたします。
ご多忙中のところ、早速のご回答ありがとうございます。
「返信」で入力したのですが、うまく入らなかったようなので、別件として入力させていただきます。
記事に追記された「C社DAC 対策 WF-P400」のデータはP502Lの商品ページの「対策後のNC500」のデータと同じように見えますが、無対策NC400と無対策NC500のデータはほぼ同じで、対策を取ってもほぼ同じということで、流用されているということですね。
https://ause-audio.com/?p=3366のページの4499DACの結果はP502Lに接続した場合のものですが、P502Lにはフィルターが内蔵されています。フィルターのないP400と4499DACを接続した場合の結果はどう推測すればよいのでしょうか?
65kHz付近のピークはどのようになると貴社では推測されますか?
P400の動作品がないとのことですが、不動作品があればそれを修理いただくか、あるいはP400のアップグレード依頼があれば、送付されたP400をアップグレード前に4499DACに接続してデータを取っていただくなどで、データを掲示いただければ大変有難く存じます。(受領されたP400はアップグレード前に当然ながら動作チェックはされると思いますので。)
時間が掛かってもかまいませんので、よろしくお願いいたします。
C社DAC 無対策 N社(英国?)NC500パワーアンプのデータをC社DAC 対策 WF-P500のデータと比較すると、WF-P500は優れていることが良く分かります。
一方、C社DAC 無対策 WF-P400と比較すると、ノイズフロアや65kHz付近のピークの高さなどで、N社の方が良いように見えるのですが、ご見解はいかがでしょうか?
https://ause-audio.com/?p=3366のページで質問者が言っているようなアースの取り方に関係があるのでしょうか?
>65kHz付近のピークはどのようになると貴社では推測されますか?
4499DACと接続した場合はフィルターがない場合でも対策後とほぼ同様の結果になります。ちなみに追加フィルターは抵抗があるため抵抗由来のノイズ源でもあります。DAC側が理想スペックであるほどこのフィルターはないほうが有利(測定上というより音質上)です。あとはXLRケーブル由来のノイズの量次第です。外来ノイズの多い設置状況ならDACがローノイズでも途中でノイズが乗りますからそれを除去できるフィルターが有効になる場合もあります。
ここからお伝えできることは当方の環境での測定例はあくまで一例でしかないことです。即お客様の環境で同じになることを保証するものではないので、そこはご注意お願いします。4499DACのノイズが少ないことは測定例で示していますが、同じデータを異なる環境で保証は出来ません。なぜなら空中に飛び交うノイズの量は環境によって千差万別ですし、ケーブルの品質によっても影響を受けることがわかっているからです。以前アンテナを持って測定したことがありますが東京向きの山の斜面で見晴らしの良い場所はかなりノイズが多いです。逆に都市部と隔離された盆地は空中のノイズ量は少ないです。これらのノイズを防げるケーブルかどうかは構造で決まります。
>一方、C社DAC 無対策 WF-P400と比較すると、ノイズフロアや65kHz付近のピークの高さなどで、N社の方が良いように見えるのですが、ご見解はいかがでしょうか?
単純に帯域レンジ(1Mと5M)とFFTの粒度(65535と52万)が異なるため見え方が違うだけでノイズ量自体は大きくは変わりません。詳しい理由はこのあたりにありますがわかりにくいです。
https://dsp.stackexchange.com/questions/16330/fft-processing-gain
https://www.analog.com/jp/technical-articles/noise-spectral-density.html
簡単にご説明するなら、帯域がどちらも1Mhzのとき6万サンプルより52万サンプルのほうがノイズフロアは低く見えますし、同じ52万サンプルでも5Mより1Mのほうが低く見えます。わかりにくくてすみませんが単純にグラフの位置だけでは判断できないです。
P400とP500は測定の時期が異なるので、細かい条件を揃えていなかったためです。平均化していないため撮影タイミングによっては微妙なノイズの大小の見え方の違いも起きています。あとは外来ノイズもケーブルや外来ノイズ依存のものがあり日時によってノイズの成分や量が違うこともあります。なので厳密な同一条件の結果と判断せず、あくまで大まかな指標として使っていただくようにお願いします。
なお以前測定した限りはですが手持ち測定器ではNC400、NC500のノイズフロアは正確には測れないです。どちらもアンプの残留ノイズが少ないので真のノイズフロアは評価が難しいです。D級はキャリア周波数の影響があるので帯域レンジを狭くしても折り返し成分がありノイズフロアは変動してしまうためです。そのため現状で示せる結果はあくまでC社DACのような帯域外ノイズがおおい製品を接続した場合に劣化した状態を可視化が出来るというものです。
より信頼できるデータとしてはNC400とNC500のHypex社のデータシートがあります。モジュール単体のスペックを比較すればNC400が25uVでNC500が10uVです。一見NC500が良いですがNC500はゲインが12dBとNC400の約1/4の振幅のときのデータです。ゲインを揃えますとNC500もNC400と似たような結果になります。この事例の実例としてNC1200のデータシートがありますが、ゲイン12dBのときは8uVでゲイン28dBのとき28uVです。このようにNC500でも同様のゲインに設定した場合は同様のノイズに近づく(まともな設計なら大差ない領域に落ち着く)と予想されます。
お時間がかかっても良いとのことですので今後機会があれば測定します。P400については手元は修理用部材として未使用モジュール単体しかありません。検証のために新品のモジュールを使うことは行いませんので、上記の通りこちらでP400をお預かりする機会がなければ測定は出来ない状況です。
以上です。よろしくお願いいたします。
P400最初期の試作品をユーザー様から測定用にご提供いただきましたので結果を掲載しました。P500比とほぼ変化はなくノイズの問題はありませんのでご安心ください。C社DACはすでに手元にはありませんので追加データの掲載は不可能です。ご了承ください。
データの掲載有難うございます。
ただ、今回掲載のデータはサンプル数52万ですが、すでに掲載されている無対策および対策のP400のデータでは13万です。先にご説明があったように、サンプル数の違いでノイズフロアやピークの高さは違って見えるよう(サンプル数が多いと低く見える)ですので、以前のデータとの比較が難しくなってしまいます。C社DAC接続で今回と同じ条件のデータを掲載いただけるなら、比較はできるのですが、そのデータは取れないとのことなので、そうであれば、13万サンプルのデータを掲示していただいていればと思いました。
すみませんが、これにて本件はクローズとさせてください。ご期待に答えること出来ず申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
どちらにせよC社DACは手元になく完全な同じ条件での測定は不可能です。数値的な測定条件を整えましても引っ越しをしているため電源環境、設置環境、空中の外来ノイズ、すべてが異なります。これらの影響の出方が異なりますので細かい差異については疑問を挟む余地があります。