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月別アーカイブ: 2017年8月

ハイエンドDACの構想と理念につきまして

コメント欄で177t80様よりお問い合わせを頂きました。ハイエンドDACの構想に関わる大変重要な内容ですので新規記事を作成して177t80様の回答と合わせて皆様へのご連絡とさせていただきたいと思います。

AK4497はAK4495以上との評価で、ES9038PROとES9028PROが未評価なのに、
ハイエンドDACは最新ではないDACチップを採用するとしたのは何か理由があるのでしょうか?
以前はES9038PROも最終選定はするとの話でしたが。

まず頂いておりますご質問の回答ですが、最大の理由はハイエンドにはある種のロマン、特別な何かが絶対的に必要だからです。ハイエンドでは皆様が予想する「普通の製品」を出すことには意義が無いと考えています。ES9038は既に普通の製品に使われる一般的な素子になってしまっているので今から検討するべき材料だとは考えていません。

その理由について、これから詳細にご説明いたします。

上記のご質問も結局はDACチップが何であるかに重きをおいたご質問だと思います。AK4497よりES9038が良いかもしれないからES9038も検討するべきではないかというご提案に見えました。ですがこの路線は結局どこまでいっても最新で最高スペックのDACチップという存在に運命を束縛されてしまいます。逢瀬としては、そのような音質にとって最重要ではないことに皆様が囚われてしまうような製品づくりはハイエンドでは避けたいと思っています。

考えてみてください。逢瀬が最新最高の新作としてES9038を使ったハイエンド製品を作ったとして、直後にES9048がリリースされたら結局より新しいES9048搭載機が気になるのではないでしょうか?

BlogでもDACチップが重要ではないとは何度もお伝えしていますが、結局はそれが気になるのが人情ということは世間を見てよくわかりました。最新チップがリリースするたびに以前の製品が見劣りするような、DACチップが最新であるかどうかに皆様が縛られてしまう製品は真のハイエンドとはいえません。そのような新しいチップが出たらすぐに陳腐化する製品はハイエンドとはいえないと思います。ハイエンドとして本来備わっていなければならない普遍的な価値が無いからです。

逢瀬のハイエンドDACの価格は今までのようにお安く出来ない見込みです。誰もが購入できる製品ではなくなると思います。そのような高額製品を購入していただいた後に最新チップかどうかについて皆様が気に病まなければならなくなることは当方としても本意ではありません。であれば最新、最高の既存チップをまずは絶対的に否定、超越しなければ真のハイエンドのスタートラインにすら立っていないと思いました

周りを見てみましょう。今は中国の安い製品でもAK4497やES9038を使っています。国内でも既にCrossOver DA1、Soulnote D-1、Sforzato DSP-velaこれらは全てES9038搭載機です。最新、最先端のDACチップを使った製品は既に誰でも出来る製品であって何も突出していません。後発で同じDACチップを搭載したハイエンド機材に特別感など何もないと思うのです。AK4497やES9038はいまや普及機に使われる普通のDACチップとなりました。使うことに何も特別感はありません。

これらの理由によってAK4497を使った製品はあえてミドル=Integratedとしました。Integrated 250は当方の音質評価的には十分超ハイエンドレベルなのですが上記のようなロマンを伴う象徴的なハイエンド製品ではないと考えています。最新チップをただ普通に使っている製品は逢瀬では永遠のミドルでしかありません。

Integrated 250は見た目も小さくデザインも設計も無難で突出していません。中身は常識的な設計を積み重ねた内容です。各種音質対策を隙無く積み重ねた結果、限りなく非常識な音質レベルにはなりましたが常識的な範疇の極限にある製品であり、真に非常識的な領域には到達していないと思っています。そこに到達することはハイエンドDACの条件です。

ですから逢瀬のハイエンドでAK4497やES9038を普通に使った製品を出すことは100%無いです。

少なくとも最新チップを寄せ付けないようなクオリティと結果を出すことがハイエンドの最低条件であって前提条件と設定しています。ですが実際にどういった設計になるかは未定です。構想は数パターンあって全く見込みが無いことをお話しているわけではありません。少なくとも机上の理論では勝算があります。そのための方法が複数ありますが、現時点では一つには決められないだけです。最終的にどのような設計となるのかは各種テストしてみなければわかりません。どれが最も良い結果を出せるのかで決まります。

おそらくですがハイエンドDACの正式リリースは今から1年以内に出ることは無いだろう(そんなに容易ではない)と予想しています。しばらくはイベントのたびにハイエンドDACの試作品を展示したいとは考えていますが、すぐにリリースされることは無いと思います。少なくとも現行のIntegrated 250を誰が聞いても圧倒していると思えるまではリリースしません。それまではIntegrated 250(または同等グレードの後継モデル)で十分戦えると予想しています。

Integrated 250の入出力仕様

こちらにつきましてもメールでお問い合わせ頂いておりますので情報を追加いたします。背面パネルのシルクデザインデータを公開します。これで入出力仕様の大まかなところの判断材料になるかと思います。パワーアンプダイレクトのみ反転色として他とは仕様が違うことを示しています。

シルクレイアウトとしては端子をしっかり囲むラインを描く一般的な例とはちょっと異なるデザインですが、端子の配置が不規則で完全に囲むことが出来ないためちょっと変わった配線になっています。シルクデータだけを見ると理論的な配置なので、不規則な端子と合わせてもなんとか整合性が取れて見えなくもありません…。

アナログ入力

  • パワーアンプダイレクト1系統

アナログ出力

  • パワーアンプ出力 ステレオ1系統
  • DAC出力 ステレオXLR1系統
  • DAC出力 ステレオRCA1系統

デジタル入力(最大レートはチップ仕様ですが未テストです)

  • USBデジタル 標準:XMOS オプション:Amanero Combo384
  • HDMI-I2Sデジタル MAX:768kHz/nativeDSD512/DoP256
  • 同軸コアキシャルRCA MAX:768kHz/DoP256
  • 同軸コアキシャルBNC MAX:768kHz/DoP256
  • オプティカル2系統 MAX:192kHz

USBはXMOSの最大レートは調査中です。仕様では384kHz、DSD256までの対応ですがDSD256は未テストのため現在のところ確実な動作ではありません。残念ながらXMOSのドライバはthesycon製ではありません。オプションとしてCombo384を選択いただいた場合にはDSD512までの再生をサポートします。

まだ未完成ですが開発中の写真を公開します。液晶画面がグラフィック表示になりました。これによって遠くからでもボリュームが見やすく、設定画面の文字数の増加、レートや入力とモード表示も同時にできるようになりました。

ただし表示内容は仮のものなので製品版では変更になる可能性があります。

 

Integrated 250のDAC専用モデルに付きまして

本件について先日お客様よりメールでお問い合わせがありました。やはりご要望いただいておりますのはDAC専用機です。結論から言えばDAC専用モデルはいろいろな理由がありまして用意できません。

DAC専用機にすればもっと音質が良くなり価格も下がると思われるかもしれませんので、これらについての実際のところを回答したいと思います。このような複雑でわかりにくく前例のない構成であるからこそ、これらの説明責任があると感じています。

まず「どうしてもセパレートが欲しい」というニーズは理解しています。それは理論的な部分ではなく感覚的、経験的な部分です。音楽自体が感覚を扱うジャンルですから感覚的な部分を無視するべきではないと認識はしています。スイッチング電源より巨大トランス、デジタルアンプより弩級アナログアンプに対する伝統的な印象のようなものだと思います。

そして今Integratedしか用意が出来ないことは経営上の問題でありお客様にとってはまったく関係ない部分です。この点につきましてはお客様のご期待に答えるためのリソース不足にて大変申し訳ありません。

そのかわり製品としての機能を高め、音質は全く低下しないような努力をしています。現状で逢瀬が取れる選択肢の中で最もコストパフォーマンスが高く、実際の購入後にお客様にとっても利益が最も高い形態こそがIntegrated 250の形だと信じています

ですから、Integratedだから、パワーアンプとDACがくっついているから無駄にコストが高い、それによって音質が低下している、このような認識は全くの事実ではないことについて、理性的に解釈して頂ければ幸いです。

Q:Integrated 250のDAC専用モデルをリリースする予定はございますか?

DAC専用モデルの予定はありません。それにはいろいろな理由があるのですが、まず肝心の音質についてです。

DAC専用機にすることで大幅な音質向上はないと考えています。Integrated 250にはDAC専用モードが搭載されます。DAC専用モードはNcoreスイッチングアンプの動作が停止しますのでスイッチングアンプ由来の漏洩ノイズが無くなります。この設定にするとDACの音質はIntegratedモード時より良くなります。この機能があればDAC専用機は不要だと考えています。この専用モードがあることで実質DAC専用機として使用出来ます

音質向上はない根拠として、Integrated 250の初期試作時に4495特注DACとまったく同じトランス電源とリニアレギュレータの組み合わせでDAC部をテストしていました。ですがNcoreモジュール上のスイッチング電源に入れ替えた後でも音質レベルは同じでした。その後先日ご報告した新しい対策によってトランス電源で実験していた頃よりもさらに音質は向上しています。

ですので安易にDAC専用モデルにしてもIntegrated 180と4495特注DACのような大きな差は出ないでしょう。逆に現在の技術でIntegrated 180と同じPCM1795+UcDの一体型モデルを作ったら、4495特注DACより良いDACを載せることが可能です。当時はまだ現状ほどの音質対策ノウハウが無かったためです。このように一体型である制約よりも細かな技術的ブレイクスルーを積み重ねることが音質面では支配的です。

DAC専用機にして一次電源をちょっと強化する程度の対策ではIntegrated 250の内蔵DACを大幅に超えることは不可能です。基本的な構成自体から見直して作り直さなければなりません。ですから同じ仕様のままでDAC専用機を出すことによる音質的メリットはないと判断しています。このIntegrated 250のDAC部を超える使命は一切の制約をなくしてベストを尽くしたハイエンドDACに譲られます。

次にコスト面からみて、実際の所DAC専用モデルによってコストダウンが可能なのか、同じ価格で音を良くすることができるのかについて解説します。

Q:Integrated 250をDAC専用モデルにすることでコストダウン、その分のコストをDACに回せるのでは?

似たようなご質問として「ヘッドフォンアンプを外してDACの物量を増やして欲しい」という要望も頂いたことがあります。

実は製品のコスト要因のうち基板と部品自体は大した比重ではありません。最大のコスト比重は部品ではなくケース加工、組立、実装、開発、会社維持、これらの費用です。

このうちヘッドフォンアンプのコストは感覚的に0.1%程度です。つけてもつけなくても価格は変わりません。Integrated 250のヘッドフォンアンプ部は差動合成&RCA出力駆動用回路に使っているデュアルオペアンプの未使用チャンネルを使っています。ですのでこの部分を外してシングルオペアンプに変更しても性能、基板レイアウトどちらもほぼ同じです。しかもデュアルとシングルの差額がほとんどありませんので実質コストダウンは0に限りなく近いです。外したほうが圧倒的に音がいいなら外しますが、音は同じで末端価格も同じなら付いていたほうが良いと思うのです。

次にNcoreモジュールのコストはどうなのかといえば、Integrated 250で採用しているNcoreモジュールにはコストダウンのための優位性がいくつかあります。それらの要因によってNcoreを外しても価格には支配的な影響はないと考えます。決して5万10万安くできるわけではないということです。おそらくですが安くできるとしても2-3万円程度です。30万円台でこの程度の差額では割安感は皆無でしょう。

ではNcoreモジュールを使った設計の優位性について説明します。

まずひとつめは電源一体型であることです。DAC用の正負電源とデジタル回路用の5V電源が全て一体型になっています。しかもこの電源のスペックが意外と良いので、このモジュールを使うことでDAC用電源は何も用意する必要がありません。もしDAC専用モデルを用意する場合には代わりの電源が別途必要になります。

ふたつめは配線の手間を大幅に減らせることです。Integrated 250で採用しているNcoreモジュールを使うと組み立てをかなり省力化出来ます。工数が減る=コストダウンにつながります。DAC専用モデルになると組み立て工数が大きくなるのでモジュール分の差額を埋めてしまう可能性があります。ですからヘッドフォンアンプ同様、音はほとんど同じで価格もさほど変わらないならNcoreが付いていたほうが良いと判断します。

そして最後のコスト要因なのですが、DAC専用モデルとIntegratedモデルを分けることは種別ごとの量産数を減らすことと同じですから、実はこれが最大のコストアップ要因です。品種を増やし品目当たりの生産数を減らすと量産単価の上昇を招きます。なのでもう少し数がでないとこれ以上品種を増やすことは出来ません。品種を増やすためには相応の開発費と工数がかかります。これもコストアップ要因です。数が出ないほど開発費の割合は非常に高くなります。

これ以上品種を増やして生産数を減らしたら今と同じ価格では到底無理で今より価格を上げざるを得ません。種別を分けることによってステレオNcoreパワーアンプモデルとDAC専用モデルが、それぞれIntegratedよりも多くの数がでない限り価格は下げられません。

Integrated 250最大の価格上昇要因

Integrated 250ではIntegrated 180よりも価格が上昇しますが、最大の要因はNcoreではなくケースです。ケースを100%の国内加工に切り替えていますので量産費用は大幅に上がりました。それでも質感と品位の確保のために大幅なコストアップを受け入れています。実際のケースを見て頂ければわかると思います。中国でもない限り30万円台の製品でこのようなケースは用意出来ないと思います。

アルミノブは写真では既製品をつけていますが最終版では専用加工品となります。左右の厚さは1cm、フロントも8mm厚のものを使っています。是非同価格帯の国産製品のケースと比較してみてください。

もちろん中国産のケースに切り替えればより安く出来ますが、それは皆様の望むところではないと思いますので初期の量産はこの仕様で行います。万が一予想外に沢山売れるようなことがあれば工場のキャパシティの問題でもっと量産しやすい仕様へ変更になるかもしれません。その際にはマイナーチェンジモデルとして価格を改定いたします。

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