アンケートの結果と対応と回答まとめ

アンケートにご回答頂いた方、ご協力いただきましてありがとうございました。今日になってから回答ペースが一気に落ちてきましたので最終判断をします。

結論としてパワーアンプは正規仕様(2番ホット)に修正して出荷します。ご心配をおかけしました。

基板は作り直さず全数手作業で修正します。納期につきましてはもともとアンプモジュールの大きな納期延長がありましたので最終納期への影響は僅かでしょう。もちろん予定外の事態があれば別ですが今の時点では予定通り進められる見込みです。

最初からこのような発表自体せず、手作業で修正すればよかったのではと思われるかもしれませんが、それはもちろん一番最初に考えた内容です。しかし当初の案では出荷時の信頼性を確保できる修正が不可能だと判断しておりました。要するに輸送の振動や長期的な使用で壊れる懸念がある方法です。しかし皆様からの意見を頂いて別の修正方法が無いのか、もっと踏み込んで考えた結果、信頼性を確保できるような直し方に気づきました。ある意味追い詰められてようやく気づけたのです。

ですので今回は全数修正で対応します。色々なご意見を頂いた結果、本来あるべき形に戻ることが出来ました。

最終結果

  • 気になる、購入を控える 15%
  • 気になるが、延期期間が長いので我慢する 36%
  • 気にしない、問題ない 12%
  • DAC側での対応があれば問題ない 24%
  • アダプタがあれば問題ない 12%

小数点は切り捨てしています。また所持製品に記入があってもメールを記入されていない方は重み付けを大幅に落として集計しています。

問題ないが過半数に若干届かない、問題あるが過半数を超える結果となりました。問題ないが圧倒的多数でない限りは修正すると決めておりましたので、そのように判断しました。

参考までに「気になる、購入を控える」を選択された方は絶対数が多いのにも関わらずほぼ全員メールアドレスの記入がありませんでした。その他の回答のメールアドレス記入率(100%)からするとかなりの異常値に見えますので相応に重みを減らしています。ご了承ください。

重要なご意見への回答まとめ

以下頂いたご意見の中で何らかの回答、または説明をする必要があると思われる内容について、擬似問答形式でまとめたいと思います。

ラインナップとして美しくない、揃えるのが基本

同意いたします。現在が通常時であればそれほど時間もかかりません(8月下旬には間に合う)ので全数作り直しが最も望ましい選択肢ですし、迷わずそのようにしていました。

しかし現在は御存知の通り世界的に非常事態です。納期の大幅延長の可能性が高いと判断されるとき、どちらを優先するべきか考えた結果は、先行販売分はアダプタ添付で仕様を満たす、DACでも対応する、という多角的な方法を提案した次第です。結果としてアダプタが必要であってもそれで仕様は満たせると考えました。

ラインナップとしても、アダプタを付ける姿も、美しくないし不本意ですが、納期を大幅延長することも同時に望ましくない面があるのは事実です。このより進んだ説明は次で行います。

問題ある製品を販売することは長期的な信頼に関わるのではないでしょうか?

こちらもそのとおりだと思います。押し切って販売することは今後の製品への信頼や、ブランドへの信頼に大きな影響があると思います。細かい問題を追求するのがオーディオの世界ですから、細かいことを雑に扱う製品が良い音がするわけがない、そのような考えに即結びつくことはもちろん理解しています。

それでも今回のような決定をした理由をご説明します。

アンケートの結果は実際半々でした。ということは実はどちらの選択肢をとっても逆の考えの方に我慢を強いることになります。当然ながらもともとは設計ミスが原因ですから、全面的に責任も原因も問題は当方にあるのは事実です。しかし既に起きてしまった目の前の事実は謝って終わりになりません。何らかの対応をしなければなりません。発売時期を明言してからの問題発覚です。安易な延期はその期待を裏切ったという結果そのものです。

もう少し書きますと、今から販売取りやめ再生産のために延期するということは、既に発表された納期に期待されている方全員を、製品の完璧さという少なくともアンケートの結果から、全員にとって必要ではない理想のために(その人達にとっての)不要な我慢を強いることです。これは望ましくありません。私のミスだからこそ尚更そう強く思うわけです。これは納期を優先したい方の気持ちを軽く扱うことです。

完璧さを重視される方、納期を優先したい方、きっとどちらの方もいると思っていましたが、アンケートもそのままの結果でした。今回は幸いもっと良い修正策が見つかりましたが、見つからなかった場合は双方にとって望ましい選択肢を両立するしかありません。どちらにとって多少不本意な部分があってもです。

その結果、当社としては柔軟な選択肢の提供、どちらも取ることを当初選んだのです。

  • 完璧な製品を選びたい方は修正版の生産に時間がかかりますが、それを待っていただく。納期はほとんど同じだと思われます。
  • いますぐ現状の仕様でも欲しい方だけに絞り、現状の型番で提供する。

これで両者望ましい製品を入手できます。そのためなら逢瀬のブランドやラインナップの整合性は捧げても良いと思いました。これが今回の発表の理由です。

ちなみにDAC側で対応と書きましたが、パワーアンプの型番を選ぶ項目を追加し自動で位相をあわせる仕様を考えました。型番で位相が合うなら直感的でわかりやすいしどの製品がどういう仕様かお客様が理解する必要がありません。理想は接続したら自動認識ですが認識方法がないのでこれができる最善と考えています。こういう対応で少なくとも自社製品で組み合わせる場合はストレス少なく使えそうです。しかし今回は修正を行うのでこの対応は行いません。

クロスケーブルはどうでしょうか

ケーブルは考えていませんでした。良いアイデアだと思います。問題はケーブルにこだわる方の既存の良いケーブルが使えなくなることです。作るとしたら音質に問題ないケーブルを作ることになりますが、安くは出来ないでしょう。それが本当に許容できるかです。価格の問題なく音質の問題もないケーブルを用意できれば、その選択肢自体はとても良いものだと思います。

アダプタへの音質的懸念があります

お気持ちはよくわかります。ケーブルは振動要因がありますので余計なものが挟まることでの劣化は0ではないと思います。だからアダプタ自身の劣化は問題です。アダプタはどうしても必要な方向けの対応です。特にマルチやバイアンプで使うときは位相が必ず問題になりますのでアダプタが必要なシーンもあります。

基本は上記のようにDAC側で対応するほうが現状、逢瀬製品のみを使っている方にとっては良い選択肢だと思います。しかしDAC側で対応だと他社製品を使う場合にうまく行かないという問題が残ります。もちろん他社製品が3番ホットの可能性もあります。3番ホットの他社製DACや他社製プリが混ざるかもしれません。こういうときはアダプタやクロスケーブルの選択肢は有力です。

しかし結局のところ、アダプタ、クロスケーブル、どちらも問題はあります。選択肢の提供はできますが、ややこしくなりラインナップとしても使い勝手としても美しくない。さらにアダプタだと音質的メリットなく、各自に位相管理の負担を強いるだけです。これらの理由からアダプタがあまり支持されなかったのだと考えています。

AK4499DACのときも同様の問題がありましたが、どうなっているのでしょうか

もともと当方が不注意でLRや位相管理が苦手なのは紛れもない事実です。すみません。

お客様からしたら、全く同じ問題が発生したように見えるのは理解しています。ですが実際には原因が全く違うので、できるだけ簡単にご説明します。言い訳のように聞こえてしまうかもしれませんが、結果として起きてしまったことですから、そう捉えられてしまうことは仕方ありません。もちろんそう捉えていただくのは自由ですが、事実以外のことを伝達するのはできる限り避けてください。ここに書いた事実をもとに意見を言う、批判するのはもちろん自由です。

今だから言いますが、AK4499DACのときは厳密管理は正直言いますと放棄していました。だからマニュアルにLRも位相の記述もありません。自分の適性も踏まえて、あとから治せる問題と捉え、そう予め設計しておきました。だから背面にもLRの表示がないのです。本体裏にほとんど表示がないのは偶然ではなく意図的です。万が一を考えて最初からそのように設計しました。すべてはソフトウェアでDSPでコントロールする仕様なので、開発とリリースを最優先して、上記苦手分野はすべて後回しです。最低限まともに普通に動く使えることが最優先の開発でした。

あのときはリリースが出来なければ会社が倒産する危機でしたので、少なくとも普通に使えない状態でのリリースはできないし、そうなったら0点です。細かい点数より0点を取らないこと。要するに即クレームレベルの動作不良や故障の原因になるような致命的誤動作をなくすことを優先しました。だから発売後にちょっとありえないような不具合も出て、あとから修正することになりました。でもごめんなさい。小さい不具合が残っていそうなのはわかっていてリリースを優先しました。そうするしかありませんでした。

でもその判断がなければ今こうやって次の機種のお話をすることが出来ていなかったかもしれない、それだけご理解いただければ幸いです。今後はあのようなプロジェクトはやりません。やるとしても身の丈にあった範囲までに限定します(総額に上限を決める)。

そして今回はただのミスです。非常事態でなければ黙って作り直す内容です。このような状況下だからこそ公開しご相談した次第です。

逆相の音への影響について

これについてもご意見というよりお叱りを頂いたのですが、今回のパワーアンプのお話とは直接関係ない、より一般的なトピックになりますので項目を分けました。

まず以下に正相逆相のソースを試聴できるように用意しました。このうちいくつかが逆相になっています。個数と場所と正相か逆相か。これに完全に正解できますでしょうか。まずはこの違いがわかることが前提のお話になります。(音声は当方の作成物なので著作権の問題はありません)

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殆どの方はわからないとおもうのですが、これで違いが生じうる理由を分かる範囲でご説明したいと思います。もしかしたらあまり望ましくないシステムの問題に触れる可能性があります。ですが事実をご説明します。

もしLRが相互に逆相であれば誰でもすぐに分かります。定位が異常になります。今回の問題はこれではありません。LR同相条件の逆相で音が変わると主張されていると思います。ですが恐れながら大抵その原因は機器やスピーカの設計の問題、不完全性が理由ではないかと思います。

まずスピーカ側からですが、ユニットが前に動くときと後ろに動くときで非対称の動作をする製品があります。この非対称性はフォースファクター、ダンピング特性などから確認が出来ます。これが原因で信号の位相が逆転したとき、スピーカーの波形が変わる可能性があります。さらに信号波形自体が非対称な場合があるので、こうなると最終出力波形の歪みかたが正相逆相で変わります。これを音色の変化として感じる可能性があります。

次のケースは電気的な原因です。出力側が片側バランスまたは非対称バランスかつ、受け側も擬似バランスだと、影響があります。例えば一つのアンプを擬似バランスで受ける方法ですが、この場合の問題はホットとコールドのインピーダンスが厳密には一致しない、受け回路の-側のほうが電流を多く消費する、少しだけインピーダンスが低いことが多いです。これが原因で入れ替わると影響の出方が変化する可能性があります。

これらの条件が重なったとき、逆相で音が変化すると思います。この中で最も聞き取りやすいのはスピーカと元信号の非対称性だと思います。ですから逆相の違いがはっきりわかるシステムというのはどこかに非対称性があるシステムの可能性があります。この場合どちらの位相が良い音かはケースバイケースです。逆相だと劣化するではなく音源との相性によって正相逆相で良し悪しが逆転すると思います。

ちなみにですが当社のパワーアンプの受け側回路は完全なバランスで入力インピーダンスも同じ設計です。DACも同様に完全にバランス出力です。なのでここで紹介したような問題はおきません。またNcoreアンプ自体もホットコールドの完全性を重視した設計となっており、この設計思想は逢瀬ではDAC以降一貫した設計になっています。だから逆相であっても当社の製品の組み合わせなら設計上の劣化はありません。少なくとも劣化が起きる根拠がありません。当方も違いが判別できたことはありません。これが当方の認識する事実です。

さいごに違いがわかると発言していた方でも、実際にテストしたらわからなかったという事例を紹介します。

http://www38.tok2.com/home/shigaarch/OldBBS/33porality.html

色々書きましたが万が一これらの要因と一切関係なく、完全に正相逆相を当てられる方がいた場合は、今後の認識を改めます。

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