デジタルコンバータとヘッドフォンアダプタ、追加情報

ヘッドフォン祭の当日頂いたご意見とご要望を踏まえて、今後の優先順位と機能については概ね見えてきました。価格帯についてはイベントでは仮でお伝えしますがアルミ加工コストが以前より上昇しておりまして、今後の価格の上ブレに対応した内容になっています。

デジタルコンバータ

今回非常に大きな注目を集めたのがこちらの製品です。先日も内容の説明をしましたがこちらでは詳細ではなく大まかな仕様と機能についてまとめたいと思います。

この製品の目的は2つです。

  • トランスポート側の不完全性を払拭し、一定レベルの音質クオリティへ再生成
  • NOS-DACの優位性を実現するデジタルフィルター(よくあるリンギング対策ではない)

現時点での仕様は以下のとおりです。予定は変更となる可能性があります。

  • 入力 USB、同軸*2、光*2、HDMI-I2S
  • 出力 同軸*4、HDMI-I2S*2
  • 価格 税込20万円台を予定
  • 発売 2019末予定

外部クロック入力の希望もあり「採用するかもしれない」と当日お答えしましたが、色々と再検討してみたところ採用優先度は低くなりました。10Mhzの高性能クロックを当方がテスト用に導入する必要があるので開発予算が極めて厳しいです。今回は発売時期の前倒しを優先し見送る可能性が高いです。

入力はI2Sで最大768kとDSD512に対応の予定ですがDSDについてはネイティブではなくPCM変換になります。DSDは概念のようなものでDAC側の処理依存となり性能と特性が保証されない形式です。なのでDSD出力には対応しません。

出力は同軸は192kまで、HDMI-I2Sは768kまでの対応を検討していますが確定ではないです。同軸の系統も4はオーバースペックに思うので2に縮小するかもしれません。試作品はデジタルチャンデバ機能もつけられるようになっているので4系統だったのですが、事実上ほとんどの方は不要だと思いますので、発売日に間に合わせることを優先するため無駄な機能は省く方向で検討しています。(特注で対応は可能なようにはしておきますが、複雑な設定機能は搭載しません)

出力周波数ですが展示品はどちらも192kまでの対応でした。周波数が768kとなると経験的に伝送時の劣化が大きい可能性があります。デジタルコンバータは伝送の劣化を防ぐための機器ですので384kまたは768kにして192kより音質的デメリットが大きければ本末転倒です。その場合はあえて対応をやめる可能性もあります。

なお出力は強制的に176k以上になりますがアップサンプルの動作自体はデジタルフィルター特性を最終的に実現するために実行しますが、アップサンプルが目的ではなくデジタルフィルター特性の維持が目的です。

以上のように未定、未確定な部分を多く含む製品となりますが、まずはシンプルで音質と安定性が第一として早い段階の製品化を目指す方針として、次に使い勝手と柔軟性と機能性のバランス、という優先順位で進めていきたいと思います。実際に聞いていただいて大きな違いを体感されていることもあり数値的スペックは最重要課題とはしません。

ヘッドフォンアダプタ

こちらは発売を急ぐ声が多かったのでできるだけ早く出来るように努力いたします。発売時期は2019前半を目指します。価格は10万円前後ですが加工価格が上昇しておりますので税込で10万円前半を目安にお願いいたします。その分音質的にはさらに上を目指せる設計を目指します。

現時点での仕様です。

  • 入力 SP端子*2(バランス、アンバランス分離)予定
  • 出力 XLR 4ピン*1、XLR 3ピン*2、ステレオフォン*1
  • 価格 税込10万円前半を予定
  • 発売 2019前半予定

出力端子ですがバランス4.4mmコネクタはご要望もなく高い電圧がかかったときの接触安全性の懸念もありますので対応はしません。主にイヤホンニーズと思いますがイヤホンはインピーダンスと能率の関係で破損リスクが高くなりますので非対応、使用は自己責任となります。

ステレオフォンはGNDが共通になる関係でSP入力端子を最初から分ける方法を検討しています。スイッチ切り替えのほうが操作性は良いのですが音質的なデメリットがあります。配線レイアウトと接点の関係です。

音質を最重視する場合には入力端子を分けてしまうことが最も理想的です。現状のハイエンドヘッドフォンはほぼバランスコネクタを中心とした展開になっておりますし、試聴に来られた方ははほぼ全員バランスコネクタでした。

なので利便性は犠牲になりますが端子分けで音質的な最高を目指す方式も検討したいと思います。今後実際に試作をして音質的なメリットが強いならSP入力端子は分離方式を採用します。音質的メリットが薄いなら利便性を優先したスイッチで切り替える設計に戻します。

現時点での試作品アダプタの出音にはまだ違和感を感じていますので、次回の試作ではそこを払拭したいと思います。原因には目星がついています。回路的内容的には他社でも真似することがとても容易な製品ですが、上記のような出音のこだわりでは容易に真似が出来ないような仕上がりを目ざします。

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デジタルコンバータとヘッドフォンアダプタ、追加情報” に対して2件のコメントがあります。

  1. なか より:

    ご存知かもしれませんが、サイバーシャフトというメーカーのクロック、結構安価で、性能も良さそうです。

    1. ause より:

      なかさま

      情報ありがとうございます。そちらは存じております。ただしOCXOの外部クロック伝送自体は自作基板でテストしたことがありまして、10Mhzのテストだけなら自分で自作してしまうのが一番安いです。しかし以前の4495時代のDACでは音質的優位性が全くなかったのです。キツめの音で当方が求める音質ではありませんでした。

      原因はおそらく電源とGNDの関係と思いますが、まったく同じOCXO基板を内部供給にした場合は問題ありませんでしたので、外部供給で音質的メリットを出すためには特別な対策がおそらく必須です。このあたりの評価のために新規で外部クロックを購入するのもそうですが、テストと検証のほうが実は費用がかかります。ケースに起因する問題なら金属ケースの試作、基板ならOCXO関係の部品一式またはデジタルコンバータ基板の度重なる試作などです。

      それなら内部クロックを大幅アップグレードできるように設計しておいて、グレード別価格別で販売するほうが短期的に実現できて現実的、かつ外部供給より容易に良い性能に出来ますので、こういう可能性も考えています。

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