新しいパワーアンプとその他の開発状況について

AK4499のプロジェクトはまだ第2ロットを控え完全に完了したわけではありませんが、サポート含め一旦落ち着きを見せている状況となりましたので、最近はパワーアンプの開発を進めております。

以下の内容を並行で進めていますのでご報告です。

1.廉価パワーアンプの内容

デザインはInterated 180からの文法を継承しています。文字入れのみ正面が中央寄せではなく左寄せになっているが異なる点です。とはいえ基本コンセプトは変えていないので印象も大幅には変わっていないかと思います。表示型番は仮ですがこのままになる可能性もあります。製品仕様としてはHypex NC500を2つ搭載したステレオパワーアンプとなります。XLR入力のみとなりますが変換ケーブルを用意しますのでRCAからの接続が必要な方は付属の専用変換ケーブルで接続していただくことになります。

1ET400Aに先駆けて採用された、P500と同様の独自対策回路を含めた入力段構成となり、内容としてはほとんどP500と同じです。異なるのは2つのアンプモジュールに割り当てられた電源基板が2400Wから1200Wと半減することです。ですが理論上はNC500を2つ駆動するのに十分な電源容量は確保しています。

実はP500では出力に要改善点(聴感の力感が落ちてしまう設計上の問題)がありましたが、今回の作品ではその課題をはじめからクリアした設計としました。なので最終的な出音ではP500比で劣らないかもしれません。これは実際にテストをしてみないとなんとも言えません。結果がわかりましたら報告をします。

価格は税込みで20万円前後を目指しています。昨今はヨーロッパから廉価なNcore搭載パワーアンプを輸入できるようになりましたので、国内でも同等の選択肢を確保することが目標です。そのためケースはAK4499特注DAC同様の廉価仕様となりますが、この部分はコストダウンをしないと勝負ができないのでご了承ください。国内で求められる品質をあらゆる側面で満たそうとすると価格はどうしても上がりますが、落とせるところは落として誰でも手にすることが出来る価格に設定したいと思います。

競合となるヨーロッパ製のものは他社製のディスクリートオペアンプやディスクリート電源回路を自由に選べるタイプが中心ですが、当方はそのようなオプションを用意することは行いません。あくまでベストな設計を提供することにこだわります。当然ながらこちらで採用している構成は厳密に音質設計を進めていますので決して彼らの最高のオプションに劣るものではないです。

(上は参考画像。NC500にはこのような外部基板が必要、公式であるHypex社製は無難な設計)

彼らの設計の大半について開発者目線ではっきり言ってしまえば技術力がないです。アンプと電源、オプション基板を全部買ってきて組み立てているだけ、だからまともな設計力があるメーカーは殆どないと考えています。D級アンプ基板を自力で設計するノウハウは無いでしょう。それは彼らが自前で作成したオプション基板のパターンを見れば明らかです。

NC500はD級アンプに求められる特性を理解していないとなかなか良い音が出せません。1ET400AはNC500と比べるとモジュールが優秀で外部基板の設計難易度が下がっています。NC500に比べて1ET400Aが圧倒的に良いという評判が生じた本当の理由は、単に彼らのNC500が悪すぎただけかもしれません。NC500を適当に組み立てると高域がきつい、神経質で荒い音になります。これを味付けでごまかしていくとせっかくのNcoreの優位性は皆無です。海外製のNC500を購入した方が従来の色付け系のアンプと同じ印象を感じたのはこれが理由だと思われます。

当方の検証ではNC500と1ET400Aの違いは事前の評判ほどの差異はありませんでしたから、廉価パワーアンプではNC500で十分だと判断しています。1ET400Aを搭載すると+5万円以上の定価になることは避けられませんのでこの価格帯では死活問題になる価格差です。この価格帯の使命は出来るだけ低価格で十分な音質を提供するバランス感覚です。最高のものを提供するためには完全に価格帯を分け、別のモデルを用意するべきでしょう。

すでに内部基板の設計、ケースの設計は完了しています。試作品やパーツ類はすでに発注済みなので到着次第組み立て、動作検証、修正、量産、と進めていきます。廉価パワーアンプはできるだけ早めにリリースしたいところです。

2.NC1200モジュールの検証

メールでご連絡を頂いたのですが、NC1200の音が良いという感想をいただきました。そこでNC1200についても同時に実験を行います。以前のロードマップでは1ET400Aを複数使用したハイエンドパワーアンプを用意するという内容でしたが、NC1200についても検証を行い独自の優位性があった場合にはこれも何らかの形で提案ができる選択肢を用意してみたいと思います。パワーと駆動力を追求するため3000Wの電源で駆動します。実験結果がわかりましたら報告します。これによってハイエンドパワーアンプの内容に影響を与える可能性もあります。

パワーアンプについては以上です。

3.ヘッドフォンアダプタ

設計はほとんど完了していますので廉価パワーアンプの量産と同時に量産します。アクリルとスペーサで各自が組み立てる簡易キットという形態を予定しています。Integrated 250と組み合わせれば1台でヘッドフォンアンプとして使える想定ですが、他のパワーアンプでも使えると思います。注意点はBTLパワーアンプをアンバランス接続しないことです。これをすると-側がショートになります。基板上には過電流保護を入れますがパワーアンプ側の定格が保護電流より小さい場合は故障の原因になるかもしれません。

大した内容ではないので価格は1-2万円程度を目標にしています。価格のほとんどはサポート、保証料、維持費になる予定です。これらが一切不要なら多分数千円で売っても良い内容でしょう。あまりに安くして大量に売れるとサポートが不可能になるので一人の会社としてはなかなか難しいのが現状です。ですが会社を長く続けることが一番大事なので経営的な無理は絶対にしません。

製品ラインナップが増えてきて安定した売上をバックにサポートや維持費を今よりも楽にまかなえるようになれば価格ももっと下げられると思います。値上げばかりの高級オーディオ界ですが、そればっかりだと業界の裾野は全部中華にやられてしまうかもしれませんので、目が黒いうちは負けないように頑張っていきたいところです。

#最近は国産メーカー大手は競争力がある製品を内容の割に低価格で出して頑張ってると思います。こちらも彼らの直接の競合となるような製品は避けて頑張っていきたいです

4.AK4499特注DAC用の追加オプション

これもパワーアンプとは関係がないのですがES9038proを載せた差し替え用ボードを試作してみようと思います。現状のAK4499基板と交換可能です。

AK4499特注DACはロームのDACも発売されたら差し替えで載せられるように実験してみようという構想がありますので、せっかくなら現行ハイエンドのDACチップをすべて網羅できるような準備をしてみます。ESSに独自の優位性があるというお話を見たので試してみます。ただ販売を行うかどうかは未定です。とりあえず実験を行って何らかの優位性を感じたら検討します。その結果はすべて報告します。伝聞したESSの優位性がただの伝説に過ぎない場合は基板販売は行いません。音的に採用する意味がなければ販売する意義はありません。

ちなみにファームウェアをアップデートすれば、AKM、ESS、ROHMすべてのDACチップは基板差し替え後に自動認識で対応することは理論上可能です。以前に4社のDACチップを基板差し替え時に自動認識するプラットフォームを開発したことがあるので多分出来ます。

5.10万円以内の尖ったAK4499採用DAC兼HPA

追記:この製品はWATERFALLシリーズには含みません。特性重視ではない色付けも否定しないモデルで、Integrated 250やAK4499特注DACとは全く別の音質設計製品です。

ロードマップにないプロジェクトなのですが現在構想中です。

実はAK4499プロジェクトで問題になったIC仕入れ関係の終着点としてAK4499チップをかなり大量に在庫することになりそうなので、AK4499を使った別のプロジェクトを考えています。価格目標は10万円以内で某DAC(中華ではない)の対抗という位置づけです。すでにハイエンド的アプローチは特注DACでやりきりましたので、廉価方向で全く別の尖った製品をつくってみようという試みです。

音的にもハイエンド方向じゃなくてちょっと違う方向で尖ってみたいところです。特注DACと同じ方向性にはしません。現状の低価格帯のDACに一石を投じる方向性で尖りたいです。DACというよりはヘッドフォンアンプとしての何らかの特徴を売りにします。現時点の構想だと主軸がヘッドフォンアンプ、おまけとしてAK4499も乗る的な方向性です。

ただ従来ロードマップを優先しますのでこれは片手間のプロジェクトになる予定です。

Follow me!

新しいパワーアンプとその他の開発状況について” に対して6件のコメントがあります。

  1. Toshio より:

    ES9038基板、I2S入力でマスタークロック注入が不要になるのではと、期待しています。

    1. ause より:

      現状のAK4499DACのI2S入力のことでしょうか?実は内部結線をしないと対応は出来ないのは現状と変わりません。あくまで外部からはDIR>DSP>DACというルーティングは変わらないからです。これはベース基板側の制約なので変更はベース基板ごと変更しなければ不可能です。また現状もAK4137を使っていますので、そこに直接入力すればMCLKは不要にはなっています。

  2. 坂崎 より:

    ヘッドホンアンプについてDACをスルーする機能を希望します。
    既にWF250を所有しているのでDAC部に余り魅力を感じません。
    その場合、10万の単体ヘッドホンアンプとしてはDAC部を経由することによって音質劣化が起こるのではと懸念しています。
    文章の書き方的にDAC部はおまけ、ほとんど単体ヘッドホンアンプとして使える製品と思いますが、もしデジタル入力のみを検討しているのであれば、RCA入力及びXLR入力の実装も検討していただきたいです。

  3. ause より:

    坂崎さま

    ご意見ありがとうございます。現在の構想では記述通りHPAがメインなのでアナログボリュームを持たない純粋なHPAとしての機能を考えています。いずれにせよ構想段階でしかなくすぐに着手するプロジェクトではないのでまだ未定事項は多いです。ご意見いただければ反映が可能なものは検討します。

    ただし先日のAKMの工場火災でAK4499の動向はわからなくなりました。余剰チップが市場で大量に必要とされるならこちらには回ってこなくなるかもしれません。そうなると構想自体が立ち消えになる可能性もあります。目標とする競合製品もこの事故で販売停止になる可能性もあり、だからといって単純なボリュームなしHPAのような中途半端なものを出しても需要に疑問があります。

    1. 坂崎 より:

      増幅のみボリュームの無いHPAを見たことが無いので一定の需要はありそうです。
      従来のHPAはPC側で100%送り出しアナログボリュームで音量調整出来るのがメリットのひとつと思います。
      WF250であれば電子ボリュームが優秀なので問題ないですが、PCと組み合わせた場合、音量調整をPC側でやるのは音質劣化が発生するのでは無いでしょうか?

      1. ause より:

        坂崎さま

        >PCと組み合わせた場合、音量調整をPC側でやるのは音質劣化が発生するのでは無いでしょうか?
        >従来のHPAはPC側で100%送り出しアナログボリュームで音量調整出来るのがメリットのひとつと思います。
        そのためのAK4499です。大半のDACを不要にする程度のクオリティのDACを乗せればVolはAK4499で行いHPAに直結、PC側はフルボリュームのデジタル送信で問題ありません。ボリューム調整できるDAC+パワーアンプのような直結HPAで、ちょうどWF250のHPA版のような位置づけです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です