光ブースターの追加検証結果です

2021/12/17 追加情報を記入しました。

以下のように検証しましたので、ご参考までによろしくお願いいたします。製品の方はケースの量産中です。

同軸ケーブルと光ケーブルによる音質差

まず同軸ケーブルですが光ブースターの前後ともに影響はあります。ただしこれは当方の環境での印象なので、あくまで一例として参考程度でお願いいたします。またこちらでは高額なケーブル類(1m数万円の範囲を超えるもの)は所持していませんので高額ケーブルの傾向については一切不明です。光ブースターに近い価格帯のケーブルの場合のお話だとお考えください。

まず同軸ですが高周波的な正確性を重視した構造や品質重視にするか、それを確保できない場合は速度を落とす方が良い結果になるようです。色付けを行うタイプのケーブルですと、もともとの癖が光ブースターの目指す方向性とは違う方向に出やすい傾向で、ケーブル開発側の意図した音色から外れる可能性もありそうです。例えばですが滲ませた部分がやけに際立って目立つような違和感を感じる可能性があります(SPシステムにもよると思います)。

次に光ケーブルですが、こちらも高額ケーブルではありませんがプラスチックと石英のケーブル、長さの異なるケーブルを所持していますのでそれを基準にしますが、光ケーブルは同軸ケーブル比でいうと音の差はかなり小さいです。長さの影響も受けにくいです。いずれも影響が皆無とは言いませんが同軸比ではだいぶ小さい差だと思います。

個人的な予想では光の場合はケーブル自体の品質というよりコネクタの振動特性が音に影響している可能性を疑っています。コネクタ以降は電気的な動作になりますので振動の影響を受けます。ただしこれはあくまで一つの予想です。

現時点では率先してケーブルなどに投資するより下記の対策の方をおすすめします。とくに光ケーブルは余裕のある人向けです。DC電源についても低価格帯では光ケーブルと概ね同様の印象です。

DDCによる音質差

条件付きですが差があります。通常の同軸>光変換や、光>同軸変換ではDDCによる差は感じます。ですが次に紹介する方法を使うとDDCの差を圧縮できることがわかりました。

DDCの音質差を圧縮するルーティング方法

初期の設計では次の2パターンの使い方を想定していました。

これらはどちらも単一の変換です。この状態のときはDDCの影響をしっかり受けます。しかし次のようにすると影響を減らすことが可能です。ですがこの情報は以前にもBlogでお伝えしました。

今回発見したのは次の接続方法で、このように接続しますと最も良かったです。2台の役割を分離するということです。

これで改善する理由はGNDを共有しないこと、物理的に相互の影響を受けないことが理由ではないかと予想しています。直近で同じ電源コンセントから2台に接続しても違います。

2台にする差は同軸ケーブルの音質差と似ていますが、おそらく同軸ケーブルの交換では改善出来ない領域を改善することが出来ます。それがDDC、送り出し側の影響を減らすことです。デジリコ2代目試作品と無対策DDCで比較しましたが、デジリコ2との比較では無対策DDC+上記の2台構成の方が良い、デジリコ2+光ブースターと比較しても結果は無対策DDC+光ブースター2台のほうが良いです。この結果はDDCの影響をある程度以上防ぐことが出来ている結果だと考えます。

また2台による接続方法は電源系統を分離できますので、一方がノイズの多いシステムなどで使う場合に有効かつ合理的な対策法となりそうです。例えばPC+DDCから光ブースターで光に変換、そこからやや離れたオーディオシステムに光ケーブルで伝送、オーディオシステム直近で同軸に変換する、このような方法が考えられます。

このようにすれば実質激しいノイズ源となるPC関連とオーディオシステムを電気的に完全に分離することもできます。PC周辺の各種ケーブル類から出るノイズもオーディオシステムから分離することが可能です。

従来では光は最も音質的に劣る手段とされていましたが、光ブースターを使うとそれらの順列が変わるかもしれません。少なくとも当方の環境ではI2SやUSBよりこのルーティングでPC周りを物理的に分離してしまった方が最も音が良い=クリアで滲みなく音のピントが合いSN高く静かでレンジも広い前後感がよく出る方向性です。

追記:2段分離構成下での前段影響調査

検証は以下のようなパターンで行いました。2種類のDDCの音質差は単体だと絶望的なくらい格差があります。が1-4はだいぶ近い音質であったことを先にお伝えします。

  1. 高音質DDC>低音質同軸ケーブル>2段光ブースター>DAC
  2. 高音質DDC>高音質同軸ケーブル>2段光ブースター>DAC
  3. 低音質DDC>低音質同軸ケーブル>2段光ブースター>DAC
  4. 低音質DDC>高音質同軸ケーブル>2段光ブースター>DAC

この場合の原因ははよくわからないのですが、2≧4>1≧3となりました。ここで使う同軸ケーブルの差はDDCの差より大きいようです。DDCの差が出にくいのは事実のようですが、なぜかケーブルの差は出やすいようです。

理由について、今の時点ではケーブル経由で基板に伝わる振動特性の差、この可能性を考えています。これは光ケーブルの仮説と同じです。

DDCは離れた場所にあるので振動的影響はほぼ無視できる。そう考えるとこの結果をうまく説明できます。もしこの仮設が正しいとすると光ブースタやコネクタ周りの振動対策が重要となりケーブルやDDCはさほど重要ではないかもしれません。

上記比較には掲載していませんが、2段光ブースターのDC電源の影響は1段目(同軸>光変換)のほうが違いとしては支配的のようです。2段目は何故か影響が小さいです。DCケーブルにコアを巻く、そのDC電源を1-2段目で入れ替える、等を行っても傾向は共通(1段目が重要)でした。

追記:DC電源のPSE回避方法について

光ブースターとは直接関係ありませんが光ブースタ用アクセサリで電源を検討している方もいるようなので最新調査結果をお伝えしたいと思います。PSEの問題はDC/DCコンバータなら回避できることがわかりました。

こちらのリンクから引用しています。下記のとおりです。

最初に書きましたがPSEはAC入力の電気用品を対象としていますので、そもそもDC入力の製品は対象外なのです。

参考までに経産省は平成24年4月2日に「電気用品の範囲等の解釈について」の1ー(3)で以下のように通達しています。

つまり電源をPSE取得し外置きすればその後段の機器側はPSE取得する必要はなくなり、機器全体でPSE取得するための費用と時間が大幅に節約できます。そのため機器内に電源を内蔵するよりPSE取得した電源を外置きするのはそのためです。

ただ、電源を外置きするだけではダメで源と装置筐体がコネクタなどで簡単に取り外せる構造になっていることが条件です。電源が外置きされていても”簡単に外せない場合は装置一体型として扱われ、その装置名でPSEの規制対象になります。簡単に外せないとは圧着端子がかしめられていたり半田付けされている場合です。

確かにパソコン本体とACアダプターは簡単に取り外せるようになっていますのでパソコン本体にはPSEマークはありません。

要するに、PSE対応の24V-ACアダプターからクリーンな任意電圧のDCを作る、出力が汎用コネクタ形式の機器の場合はPSE不要のようです。この方法なら開発も経費も現実的ですのでICが入手できるようになったら色々と検討をしてみたいと考えています。

DC電源については構想中のため情報がたびたび変わっていてすみませんが、現時点でも同様に検討中に過ぎません。ですが今までのプランに比べるとかなり現実的になってきました。また続報がありましたらお知らせいたします。

このような有益な情報を独占しようとは思いませんので、オーディオ業界の皆様もこの情報を有効活用されてはいかがでしょうか(既知であればすみません)。

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