ヘッドフォン祭2023秋 お礼と各種情報まとめ

当日ご試聴いただいたみなさまに感謝いたします

当日来ていただいた方へ、ありがとうございました。

今回製品ラインナップや開発計画を検討するに当たって皆様から試聴後の感想を積極的にお伺いいたしましたが、半分無理やり意見を聞くような形になってしまったかもしれず一部の方にはやや抵抗感があったかもしれません。この点はすみませんでした。

ですが基本的に全員のご意見全てが大変ありがたいもので、前向きでも批判的であっても(全てにはお答えできませんが)今後に活かしていきたいと考えております。おかげさまで現状と今後について多くの情報を得ることができました。

今回はその成果ともいえるイベント中に得られたご意見や、それを受けて一部の方に直接お伝えした今後の見通し、製品の展望、このあたりについてまとめてレポートしたいと思います。

また事前予想と異なり大分待機が発生してしまいました。沢山の魅力的な出展スペースがあるなか長らくお待ちいただいた上でご試聴ご意見を頂いたことに感謝いたします。

当日案内した内容やフィードバック総まとめ

当日の大まかな概要です。これ以降は非常に長い記事となりますので、お忙しい方はこちらのみお読みいただければ全体の雰囲気を把握できます。

  • 9割が好印象寄りで明らかに良くないという意見はほとんどありませんでした(お世辞もあると思います)
  • DACの支持率はMarlin:AK4499EX試作で約3:6で4499EX側が高い支持率でした。残り1割は違いがわからない、同等という意見
  • DAC比較の感想内訳は、指摘or好感触点ともに内容の個人差が大きく、優劣について共通意見が少ないです(実質は同等で趣向や聞き方に依存と理解)
  • ボリュームの6dB単位の調整、減衰能力の不足はかなりの方から難色を示されましたので次回以降は設備を更新します
  • ヘッドフォンアンプは駆動力、余力について、具体的な改善指摘が数件ありました
  • Roon対応について具体的かつ強い希望を数件いただきました
  • DDCの比較がしたいという意見がありましたが、当日は比較環境を用意できませんでした
  • ややノイズっぽいという指摘が数件ありました。残念ながら現地での試聴時間をほとんど確保でておらず詳細を把握できていません
  • 上記のうち厳しい意見を伝えた方のリファレンスや比較対象は概ね単体数百万円オーバーの製品群でした

以上がご感想、続いてフィードバックを踏まえた今後の製品の展望についてまとめます。

  • NU-DDCは熱設計対策中で対策完了次第量産移行です。2023Q2発売目標、価格は20万円以内を予定
  • Marlin DACは仕様確定しており、2023Q1発売予定で変更ありません。価格は50万円前後予定
  • AK4499EX-DACは2024秋のまつりで最終候補品(詳細後述)を出展予定です。発売は未定、価格は80万円前後を予定
  • ヘッドフォンアンプは予定はすべて未定ですが開発は継続、最終価格は20万円台あくまで希望であり目安ではありません

続いて各展示品の今後のことについて詳細をまとめていきます。これ以降は非常に長文となりますので、移動中など時間があるときにお読みいただければと思います。

試作ヘッドフォンアンプについて

ヘッドフォンアンプですが、現時点では初期試作もいいところで製品化の前の実験テスト段階なので内容や仕様について今の時点でお答えできることはあまり多くありません。

そもそも要望がなければ製品化も検討しないと思っていたくらいでした。ですが反響やご意見を聞いている限り少量であれば製品化も現実的だと思いましたのでこちらは前向きに開発を継続してみます。

仕様はまだ未定ですがXLR3pin、XLR4pin、可能性として4.4mmコネクタ、このあたりもバランス出力に特化した設計になると思います。アンバランス系列の出力コネクタはアンプの機能(フルバランスディスクリート構成)と互換性がなく変換を入れたり専用アンプを別に用意すると製品として中途半端になるためご希望いただいても搭載自体しない可能性が高いです。

価格は20万円台にしたいとお伝えしていますが、目標や希望であって仕様や制約ではないことに注意してください。今の時点ではほとんどのことが決まっていないので、全てはこれからです。熱対策や出力確保で予想以上に規模が大きくなればある程度原価が上がり値段が上がることは十分ありえます。

音的にはやはり駆動面が要改良です。具体的な指摘があったのはこの駆動力や最大出力についてで、これは数人が弱いという共通意見がありました。これはこちらでも認識している内容なので改良します。むしろこちらの課題認識と同じ内容の指摘が中心だったので安心しました。単純な物量起因の音質パラメータは改善が容易であり、現状の個体の基本的音質傾向は大きく調整や変更する必要がないためです。

心配していた音の方向性や他の音質的パラメータについて、明らかにアンプ起因と思われる具体的指摘はありませんでしたので、今後は基本駆動力向上、最大出力の向上、その上での小型化、熱対策などを総合的に行って次の展示に備えたいと思います。

ボリュームレスヘッドフォンアンプの取材の話

上記製品とは別のお話です。今回ボリュームレスヘッドフォンアンプというカテゴリに予想以上の反響があって驚きました。

こちらはあまりリサーチもしていなくて偶然だったのですが、たまたま業界的な注目が集まっているカテゴリだったようです。数人の方からボリュームレスアンプというだけで注目しているとご意見をいただきました。

特に注目度が高いと感じた理由ですが、今回は一切宣伝費を払ってないうちにも評論家の方が来られまして、終始このヘッドフォンアンプに焦点を当てた取材がありました。他にも同じ理由で元有名Bloggerの方も来られていました。なのでメディアでも少しだけ紹介があるかもしれません。

なお評論家さんによると今回のヘッドフォンまつりでは同コンセプトの製品が3社から展示されているらしく、現状ではまだ非常に少ない展示数ながらも期待や注目のあるカテゴリらしいです。そのおかげで超マイナーかつ宣伝も飾り付けも何もしていない当社ブースへ、注目カテゴリを扱っているという理由だけでわざわざ来ていただけたとのことです。

当社としては元々据え置きメインでしたのでセパレートは特別な構成でもなくむしろ一般的ですし、ボリュームレスヘッドフォンアンプはそんなに特別なカテゴリだとは考えていません。

実際3-4年前の展示時点で純パワーアンプ+ヘッドフォンアダプタにて完全セパレート展示していましたし、以前のほうが特殊で面白い構成だったと思いますが、前回展示のときは特別な取材もなく大した注目はありませんでした。時代が変わり今は同様のカテゴリに注目が集まっているようでその理由や市場動向の変化はとても興味深いです。

NU-DDCについて

諸々開発検証が遅れていてすみません。現在熱対策の再設計を行っており、熱対策が完了次第量産段階になります。以前の開発基板はあまりにも小型化を狙いすぎて、常時通電時やより高めの電圧を供給した場合には長期的信頼性に問題がありそうな熱量だったので現在再設計段階です。

なお今回展示していたケースサイズと最終版はそのまま同じサイズを予定していますが上下に穴が開く予定です。あとは基板の構成を全面的に見直したため以前公開した背面レイアウトから変更となってしまいますが端子類の構成や機能は同じで変更はありません。

ドライバの対応についても同様でまずは通常版(標準ドライバのみサポート)を発売し、あとから専用ドライバを検討する流れになります。

重要なRoon対応ですがNU-DDCでの対応は今のところかなり見込み薄です。Wiimと互換があるハードウェアなのですがRoonは別途対応機能が必要だと思われますが、これはファームウェアレベルでの更新になるので、当社がファームを直接アップデートや開発が一切できない立場なのでおそらく何もできません。

NU-DDCでのRoon対応への過剰な期待が発生しないようにはっきりと今は不可能な見込みと回答しておきます。

数人の方からRoon対応の熱望を頂いているのですが実現ができるとしたらAK4191+AK4499EXのハイエンドDACの方になりそうです。NU-DDCとこのハイエンドDACの棲み分けや選び方についてはDACの項目で後述します。

参考までに最近NU-DDCについてコメント欄で色々と質問を頂いており詳細な回答をしていますのでそちらも確認されるとより多くの情報を得られると思います。

ヘッドフォン祭2023秋 当日のご案内について

Marlin DACについて

試聴の結果として一部の方から熱烈な支持をいただきました。

この製品は私を含めた開発者二人と現役のマスタリングエンジニア様の協力で最終的な音質調整を行っており、また機能面もエンジニア視点で必要と思われる最低限の非常にシンプルなDACとなっています。

音の傾向としては現代的なPopsやEDMとの親和性が高く、またモニターとしての音楽的な見通しや判断のしやすさについても同様です。頂いたご感想も概ねこの方向性に近い、全く違うご意見は多くなかった印象です。またもう一つの特徴としてMarlin DACを強く支持する方は概ね方向性があっている、音質ポリシーがジャンル問わずはっきりしている方が中心のような印象でした。

発売も近いですしAK4191+AK4499EXのDACよりも高額とはいえ多少廉価になりますので、現在DACを検討中でこちらが気に入った場合は「DACとしては選びやすい製品」だと考えています。

一点懸念があるとしたら外部ボリュームまたはプリアンプの必要性です。オーディオ用で購入される場合には下記要件にあう機材が必須となります。現在お気に入りのプリアンプなどがある場合は良いのですが、デジタルボリュームなどで運用されている場合は新規導入が必要です。

Marlin DACと接続するプリアンプまたはアッテネータの選択で難しいのは最大ゲイン+20dBuの対応が必須な点です。例えばですが当社ショップで扱いのあるHypex DIY preampは+20dBuを受けられません。+20dBuは一般的なコンシューマDA出力よりもだいぶ大きいので受けられる機材が限られてきます。

この点を予めご理解頂いた上でご検討いただければと思います。

トランスアッテネータとボリューム問題について

参考までに今回試聴用に設置したトランスアッテネータはヤフオク出品のもので、福岡の出品者がよく出品しているものを購入しました。トランス自体は2-3dB単位の調整ですがこちらの実装の問題で当日は6dBになっていました。

最小2-3dB調整でも問題なく、なおかつ自作スキルがあり該当品の出品があれば同トランスは特性の問題がなく音も良く推奨できます。ただバランス仕様のものはしばらく出品されておらず現時点では購入が不可能です。

それ以外の市販完成品のトランスアッテネータでバランス対応の製品は特性やレベルに問題がないか未確認で不明です。おそらくですが良いものは決して安くないと思います。

トランスアッテネータは音の劣化も少ないのですがDAC比較において致命的な問題になりやすい出力アンプ駆動特性の影響(何らかの個性や方向性が出やすい)がありません。なのでDAC比較用として適正が高いので6dB刻みや減衰不足など機能的な問題を抱えつつ音質至上主義で今回セレクトしました。

トランスアッテネータの次に推奨できるのは低抵抗のリレー切り替え式です。

これも市販で上記定格レベルを満たしてなおかつ音が良い製品となるとほとんどなさそうで非常に難しいです。今回予備機で設置したTopping A70proはリレー切り替え式で+20dBuでも大丈夫でしたが音質はハイ上がり気味でまだまだ十分とは言えません。ボリューム本体は良いクオリティと思うのですが結局出力アンプの性能だと思います。

このように安く手軽にとなかなかならない点が難しいところです。

本当はHypex DIY preampが+20dBu受けられればボリュームもアンプも癖が控えめでクオリティも高くコンデンサ増量さえすればかなり余裕のある音も出るので第一候補にあがるのですが試したところ音割れが発生しましたので、Marlin DACとの組み合わせ推奨モデルから外れてしまいました。

実はこのお話、ボリューム一体型ヘッドフォンアンプの問題とも関係しそうです。たまたま最近になって多くの方がボリューム問題に気づいてそれぞれ役割を特化するセパレート化、ボリュームレスに注目が集まったのかもしれません。

AK4191+AK4499EX DACについて

注意:アナログボリュームは入れる場合はリレー切替式でありトランスアッテネータは内蔵しません

今回の出展品はハイエンドDAC構想のうちDAC心臓部を抜き出したものになります。音質的に問題なければ現在の構成をほぼそのままハイエンドDACの心臓部に搭載し、最終製品では様々な付加価値的機能を載せていく見込みです。

幸いなことに音質的な評価は従来の延長線で評判も良かったので展示物と同じ方向で行きます。Marlin DACより好みという方も多く安心しました。懸念していたのはMarlin DAC比でこちらの支持が少なく音質設計の大幅なやり直しになってしまう結果でした。しかし今回の反響を見る限り心配は不要でした。むしろ現状維持でMarlin DACとは個性の違うラインナップとするほうがより面白い展開になりそうなのでこのまま進めます。

この製品の更新の次の発表は来年の秋ヘッドフォンまつりを予定しています。そこで最終仕様候補を展示予定です。だいぶ時間がかかりますが、その前にNU-DDCや旧AK4499DACのアップグレードもありますので一人で開発をやっている関係上おそらくそれくらいの時期になってしまうと思います。そのタイミングで再度評価をいただければと思います。

最終的なハイエンドDACと今回の展示物の違いは色々ありますが次のとおりです。

  • ケースデザインの世代更新 厚みや物量のアップ(次世代共通プラットフォーム)
  • 画面インターフェースやレイアウトの一新、操作の一新(次世代共通プラットフォーム)
  • よりマニアックな内部設定や音質オプションをアナログ・デジタル両面から搭載しいつでも変更可能に
  • 2つのアナログ出力、DACダイレクト、プリアンプ出力を分離
  • DACダイレクトは限りなくロスなく最小限の回路構成、固定またはデジタルボリューム出力のみ対応
  • プリアンプ出力は内部リレー式アナログボリュームや出力駆動調整が可能で多様なシステムへの最適化を可能にします
  • Roon対応の検討、対応の場合Roon用とネットワークオーディオ用の2つのLAN入力
  • 従来のSPDIF系、USB、HDMI-I2S入力なども搭載
  • NU-DDCより高精度な内蔵クロック(今回の展示品も同様)
  • 外部10Mクロックも対応

今の時点では上記のとおりです。おそらく同様の基板設計であってもケースなどが変更になれば相応の音質的な変化があります。これにより今より安定感と余裕のある音になると予想しています。

これらを盛り込むために今までの製品より価格は上昇する見込みです。今のところ80万円前後を予定しています。なお価格上昇の理由は物量型高額製品の方法論の一部を取り入れるからであって、世間のインフレとはあまり関係がありません。

次回ヘッドフォンまつり2024冬miniについて

お客様の一部から指摘があったのでこちらについて追記します。

開場で来年に発表があると一部の方にお答えしたのですが、これはMarlin DACの正式発売の告知がおそらくあるという意味で、上記イベントへの出展を意味しておりませんでした。ですが上記イベントへ出展確定していると勘違いがあったようです。現状はまだ未定だと明確に回答しておきます。

しかしながら今回のイベントで、確認できなかった内容がある、予定が合わなくて行けなかった、並んでいて試聴断念してしまったなど、冬のイベント再出展への期待値が高い場合は出展検討しますので、ご意見があれば直接コメントなどでお寄せください。

https://www.fujiya-avic.co.jp/shop/pg/1a-evschedule/

開場やスケジュールはこちらに掲載あります。

2月なので全く新しい展示物が用意できるとは限りませんが、今回と同じ展示物品でも展示方法やシステム構成を大幅に変えることは可能ですのでそういう方向性のご提案なら対応が可能です。ほかにも具体的な出展内容要望は可能な範囲で対応します。

すみませんが春のイベント(2024.04.27)は私が花粉症のため出展は予定していません。なので実質冬以降だと最短でも夏か秋のイベントになります。以上を踏まえてご検討お願いいたします。

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ヘッドフォン祭2023秋 お礼と各種情報まとめ” に対して8件のコメントがあります。

  1. 黒虎 より:

    >NU-DDCとこのハイエンドDACの棲み分けや選び方について

    このあたりがいまひとつわからなかったのですが、AK4499EX DACの購入を考えている層にとってNU-DDCを購入する意味はありそうですか?
    NU-DDCにあってAK4499EX DACに無い機能はストリーマー機能のほかにもありますか?
    AK4499EX DACにストリーマー機能が搭載されれば、NU-DDCの機能は全てAK4499EX DACにも搭載されるように思います。

    1. ause より:

      黒虎さま

      今の時点でお答えできるのはNU-DDCは旧AK4499DACのお客様にとって理想的なオプションになるということです。最後のアップグレードでは旧AK4499DACも同じリクロック機能がつきますが自身が基準で信号を生成する機能がありません(具体的にはUSB接続時のクロックが弱い)。しかしNU-DDC側はUSB使用時に高精度なリファレンスクロックで信号送出ができるためNU-DDCを入れるメリットがあります。

      この組み合わせは明確に意識して設計しています。NU-DDCの内蔵クロックの性能も旧AK4499DACのHDMI-I2S接続の性能も活かせますし、ネットワーク対応も可能になりますので製品の音質面と機能面の両面での拡張になります。

      ではAK4499EX DACとの組み合わせは?となりますが、今の時点ではNU-DDCは一旦様子見で問題ないと思います。重要なクロッキング能力は同等です。USB使用時の高精度リファレンスクロック動作もAK4499EX DAC世代からは標準になります。

      ただ仕様はあくまで予定であって確定ではありません。例えばですがストリーマはNU-DDCでのフィードバック次第でAK4499EXで同じものを搭載するとは限りません。状況次第では他のものになるかRoon対応を優先してその他のネットワーク機能は削除することもありえます。ネットワークについてはRoon対応を優先で今は検討、現状のままではRoonは対応できないのでNU-DDCと違うものが入ります。並列でNU-DDCと同じモジュールは入れる予定はありますが未定、です。

      いずれも現時点での予定なのでもう少し開発が進んでから随時状況はご報告したいと考えています。

      1. Man Ray より:

        何よりもNU-DDCの使用を第一に前提とした今回の試聴システムのようにDAC心臓部のみ抜き出しNU-DDCと組み合わせれるようなシンプルなDACをハイエンドDACとは別で開発される可能性は今後御座いますでしょうか?

        1. ause より:

          実は同じ構想があり、初期試作ではハイエンドDACはデジタル部とアナログ部を筐体分離する思想でした。なので試作段階ですが分離したフルサイズ筐体のものがあります。

          これはデジタル部でネットワークやUSBやリクロックやクロック処理をすべて行う内容で、両者はHDMI-I2Sで接続しアナログ筐体側はDA処理に特化した内容になっています。しかし音的には最高ではなく雑味がありとてもベストとは言いにくい結果でした。おそらく低周波ゆらぎではなくジッター的な要素が外部にデジタル信号をクロックと取り回すことで発生したものと思います。

          なので現在の思想ではDAC処理の直近にクロック処理部を配置することが必要という結論です。低周波ゆらぎはトラポ側がより重要なのでトラポ側にもクロックは必要ですが、受け側でも別の理由でジッター対策が必要ということです。ハイエンドDACで採用する機能構成とクロック管理手法なら両方の理想追求が同時に可能なので、結論としては単一筐体でDAC直近に配置する予定になっています。

          このように現在の結論までに大規模な試作を行い、妥当と思われる内容になりました。このようなテストは多大な労力と時間がかかりますので開発が諸々遅れていますが、その分完成度の高いものをご提供できると考えています。

          追記:各ハイエンドメーカーで方法論が定まっていませんが、設計思想や影響度の順位によって結果が変わる部分なので、最適化手法やその追求レベルの問題と考えています。逢瀬の物量や設計思想であれば一体型がより合理的ですが、さらなる高度かつ複雑な対策を徹底した場合には既存のハイエンドメーカーのような分離型優位の結論に変わる可能性は否定しません。

          1. Man Ray より:

            大変詳細なご回答本当に有難う御座います
            逢瀬様に於ける一体型のメリットが判りました

            これは単なる一購入希望者の戯言ですがプリアンプはどうか無しの方向でもご検討戴けますと光栄です(そもそもハイエンドDAC購買層は既に何かしらのプリ愛機が稼働中でしょうし価格も抑えれる上明らかに音質向上のメリットしかないと思われるので)
            プリこそがオーディオの最難関と痛感してます

          2. ause より:

            ご意見ありがとうございます。

            今の時点の構想ですが実質的に単体プリアンプと同等と言えるようなものは搭載されません。またDACダイレクト出力は別途用意され、アナログボリュームを経由するパスとは完全別系統で搭載しますので、もしプリアンプを完全外部運用で希望の方は問題なくそういう運用をすることが可能です。

            しかしこちらの設計思想としてですが現代のDACにはアナログでのゲインコントロールは必須になる資質だと考えているため今回の製品には内蔵します。専用のプリアンプのようなゲインを上げる能力はなくまた細かいボリューム調整用途ではありません。全体構成の中の機能としてはプリアンプではなく可変式半固定アッテネータのようなものです。

            現代の多様化したコンシューマでの機器同士のゲインマッチングを考えたとき、DACは高いSNを維持して幅広い出力ゲインを持つ必要があります。絶対性能を重視するのであれば高いゲインがSNの観点では有利です。なので内部設計的にはかなり高いゲインで設計することになります。

            しかしコンシューマプリアンプがそういったDACの持つ高いゲインをそのまま受けられる保証はないですし、パワーアンプ直結の場合も同様に制限があります。少し絞る場合はデジタルが優秀ですが絞る量が増えてくると少しずつSNは悪化しますし、デジタル比で高いSNを維持できるように設計されたアッテネータと比較して若干欠損が生じます。これをDAC側で防ぐことが目的です。低いゲインを要求する機器と接続する場合や、低めの音量で試聴される方が実用SNを維持する仕組みがDACに内蔵されていると考えてください。

            例えばですがDAC内蔵のアナログ調整機能がない場合、プリアンプで音割れが発生する場合にはデジタルで絞るしかありません。-6dB程度で済めばよいですが-12dBを要求された場合にどう思われるでしょうか。プリアンプを買い替えるか、デジタルで絞るか、外部アッテネータを挟むかです。これが高いゲインをDAC側でもつ弊害です。しかし高いゲインを受けられる機器と接続した場合にはより高い性能を維持できますのでその選択肢も捨てがたいはずです。

            この選択肢を両方を確保するには内蔵で調整機能が必須という理由です。

            なおそういう要素が全て不要であればMarlin DACという選択肢もあります。業務用は概ねゲインが固定で規格化されているためそういう配慮は不要です。しかしコンシューマでは従来のRCAで2Vrms基準は現在ではかなりあいまいになっていて、事実上ハイエンドでは業務用と同等の高いレベルを出せる製品が普通になっています。それでもプリアンプはまだ受けられるレベルの低い機器もありそういう機器との接続性は考慮しなければなりません。

            なので将来性含めた幅広い機材との接続性を考えた場合にゲインマッチング機能は必須と考えています。それもDACとしての能力だと考えます。

            以上ご参考までによろしくお願いいたします。

  2. より:

    AK4191+AK4499EXのハイエンドDACの情報嬉しく思います
    今PCにDACを接続して(スペックさんの1世代前の個体(旭化成のチップ搭載))を使っています
    そこからバランス接続してアンプに繋いでスピーカーで鳴らしています。
    前回の逢瀬さんのDAC気が付いた時には売り切れていて買えなかったので
    凄く期待しています発売が決まりましたら告知宜しくお願いします。

    1. ause より:

      ご期待ありがとうございます。大きな進捗がありましたら随時こちらで報告しますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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