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貸出機売却の事件がTVで特集されていました

最近知ったのですが、このような特集が4月14日にTVで放送されていたようです。先日Integrated貸出機を売却されたという報告をBlogに書きましたがこれは間違いなく同じ犯人によるものです。各種特徴が完全に一致していますし、こちらにも弁護士から同じ文章が届きました。

実は当方はこの犯人と直接あったことがあります。一度最寄りの駅に呼び出して支払いの誓約書を書かせました。その後、金額を振り込みますと約束もさせて振り込み用紙に金額を記入した写真までもらいましたが、結局直前で弁護士が~という話でキャンセルになり支払い自体はありませんでした(言い訳は信じていませんが)。ともあれそういうことがありましたので犯人が女性であることは知っていました。しかしこちらが呼び出したときはここまで開き直った態度ではなくおとなしい態度でしたので、上の動画とはぜんぜん違う印象でしたね。

この放送よりあとになりますが、その後該当の弁護士もさすがに擁護は不可能と判断したのか、弁護士側は現在はこの案件を手放すことになりました。警察の方が言っていましたが事件性のある内容については破産は認められないそうです。本件はそれに該当すると思うので、勝ち目がないとはっきりしたので手放したのかもしれません。

本人は今頃どうしているのか不明です。警察からも追加の報告はありませんし、今どうなっているかはわかりません。上の放送で被害にあわれたオーディオメーカーの方も諦め気味でしたが、犯人はとにかく余罪が多く支払い能力もないので、当方としても今後の返済については全く期待しておりません。ですが、せめて警察に捕まってしっかりと社会的責任を果たしていただきたいとは思っています。

このようなことをして未だに罪になっていない、捕まっていないという現実がちょっと信じられないくらいです。このような行為をしても捕まらない、リスクがないとわかってしまうと、模倣犯も出るかもしれないのできちんと対応して欲しいところです。

メーカーが対策できること

今回のようなことは確率的に100%ないとは言い切れません。事故のようなもので、今後も同じようなことは起こりうると思っています。貸し出しサービスを行うメーカーは勝手に売られてしまったりする分も必要経費と割りきらなければならないのでしょうか?

私はメーカーサイドも必要な防衛策を取るべきではないかと考えています。

最も効果的な防衛策は犯人が貸出機を売ろうと思った時に貸出機に価値がなくなっていれば良いと思います。オークションの場合は虚偽申告もできますからまた難しい面がありますが、買い取りを行うのが業者ならば機器が正常かどうかの動作確認は最低限行うはずですから、店頭に並ぶ前の買い取りの時におかしいと思ってもらうことが重要だと思います。それで買い取り拒否となれば貸出オーディオ機器はこのような犯罪のターゲットから外れるでしょう。

例えば以下の様な方法を考えています。

  • 貸出機には電源投入時に貸出機であることが画面に表示される(現在採用しています)

物理的な刻印やシールですと剥がしたり加工することができますが、内部プログラムから画面に強制表示なら素人がこれを回避することはできません。プログラムを書き換えて回避することはできますが、そんな技術があるような方が貸出機の売却などをする可能性はかなり低いでしょう。そういう方はまっとうな仕事についていて普通に購入する可能性のほうが高いと思います。

  • 貸出機にタイマーを入れておき、貸出期間が過ぎたら表示が出て動作を停止する。

これは借りてすぐに売却されてしまうようなケースでは間に合わないかもしれませんが、買取業者側で異常に気づく可能性があります。当方はまだここまでの対策はしていませんが、やるとしたら次のような内容です。

まず貸出期間の開始時にお客様に貸出開始の特殊な操作を要求します。操作を行うまで機器の使用はできません。その操作から1週間など時間を内蔵しておき、それ以上が経過したら期間が終了したことを示す画面を出して動作を止める方法です。常に試用期間の残りが画面に出ていると、買い取りの時におかしいなと気づかれやすいと思います。そして期間の延長にはその都度別の特殊操作が必要になるというイメージです。

もちろん以上のアイデアは内部にマイコンがあって画面表示があるような機器にしか適応できない内容ですが、フルアナログの機器であっても超高額機器ならば、わざわざ対策のためのコストを掛けてもよいのではないかと思わせる事件でした。

少なくとも当方のハイエンド機には上記のような仕組みを組み込むことを検討しています。

貸出機の反応と今後の展望について

貸出の結果公開は一般的にポジティブな意見のみを記述するというのがオーディオメーカーのやり方ですが、ここでは自社に有利なものだけではなく全 体的な印象について書きたいと思います。ただしプライバシーの問題もありますので詳細な内容までは踏み込まず、「このような反応が多かった」とい う範囲で具体的な機種名などはできるだけ避けて公開します。

WATERFALL Integrated

貸出の数は現時点で数十件です。初期から反響が良く、貸出数は伸びていますがそれに対して販売はそれほど伸びていません。その最大の要因は貸出をリクエストされるお客様の既存システムのレベルが非常に高いことです。

もともとこの製品のターゲットは現行システム総額で100万円以内のユーザーを想定していました。同価格帯の大半のプリメイン機を超える性能をより低価格でというのがコンセプトです。そしてその帯域の方ならばほとんどの方にとって有効なアップグレードになる可能性が高い製品という位置づけです。しかし実際に貸出をされたお客様は総額数百万円のシステムをお持ちの方が多く、さらにシステムのいずれかに著名なハイエンド級の製品を一台は持っ ている方が多かった印象です。これは当方の想定よりかなり高いレベルという結果です。

そして完全に想定外なのは当初考えていたようなターゲットの方は、貸し出しサービスでは全くと言っていいほどいないということがわかりました。 そもそも貸出を希望されるお客様というのが最高のものを求めるハイエンド志向の方ばかりということのようです。その結果IntegratedはDAC部、プリ部、パワー部のいずれかで既存システムを上回れるものの、一部分のためだけにプリメインアンプへと買い換える選択肢とはならないという結果です。

しかしそうであっても30万円のプリメインとしてはかなり優秀であり価格破壊であるという意見も大変ありがたいことに多数いただいております。そしてコンパクトで熱が出ないので夏向けのシステムに良さそうという話もありました。結果と して想定よりかなりのハイレベル、大規模な本格システムと比較をされつつも相応以上の評価を頂いているのが実情です。

ですがそのような評価であってもシステムの一部に食い込めるだけでは、トータルで上回らないと、なかなか購買にはつながらないというのが事実です。プリメインはそういう意味では非常に難しい製品だと 感じました。

WATERFALL Power

こちらは概ね好評のように思いますがまだサンプル数が少ないのである程度集まった時点で公開としたいところです。ですがパワーアンプに絞った単一 コンポーネントなので、そういう意味ではIntegratedよりも選びやすい製品のようです。

特注依頼について

話は変わりますが、実はBlogを全く更新出来ていない間にいくつか特注の依頼がありました。

まずはDACの特注です。この方は遠方からわざわざ埼玉県の試聴室まで来ていただき直接最新の開発機を視聴してもらいました。直感でうちだけしか候補には上がっていなかったそうです(大変有難うございます)。そして正規の製品ではありませんが当時出来る最高のDACを制作する流れとなりました。特注なので相応の費用を頂きましたがこの世に一台のみのDACとなりました。外観や操作はIntegratedのケースをそのまま流用しているので実質背面パネルと内部の構成だけが新規という形です。どうしてもケース加工の費用が大きいのでこの方法であれば比較的安値で対応ができるのです。

もう一件の特注依頼はIntegratedのブラックパネルです。こちらは国内加工なので相応の費用がかかりますが快く費用だしていただきましたので、特注での対応ができました。まだ完成しておらず納品はもう少し先になりますがこのような相談にも小さい会社なので対応が可能です。

今後の展望について

貸出機からの反響を受けてから次世代ハイエンドプリDACの構想は少し揺らぎました。特にプリの難しさから複合機は中途半端になるリスクが有るからです。Integratedのように中途半端な部分が一つでもあるとそれが原因で購買対象から外れてしまいます。やるなら確実に突出できる最高のものでなければなりません。

そうすると最も研究に時間を費やしており完成度も高いDAC部をまずは単体の製品として出すことが望ましいというのが現状の判断です。そのかわりプリDACは当面延期としプリ部の根本的な改良が必要という判断です。現行ではプリ部はDACの音質を劣化させる要因でしかないのでそのようなものを出すことは今までの実績から不適切と思います。もし劣化するとしても音楽的に説得力のある確信的なサウンドでなければなりません。現状では残念ながらその部分はまだ突出できるレベルではないです。

ということで、特注依頼から発想をもらいまして、ハイエンドDACはまずはじめに数量限定としてIntegratedケースを流用した特注モデルとして短期でリリースする予定です。そのかわりこのケース流用モデルは相応にお安く出せる見込です。この限定モデルは正式な型番ではなく、あくまで特注仕様のハイエンド同等仕様のDACという扱いです。その後正式なモデルとしてケースをデザインしなおしたハイエンドDACになります。

このDACですが中身はES9018を超える最高のDAC素子を採用します。本来それほど特性に優れるICではありませんが使いこなし次第ではデータシート以上の測定値を出せ、そして最終的に全く同等の設計での比較でES9018を超える音質を発揮させることが出来ます。スペックだけならES9018のほうが若干上ではありますが、そこは決してスペックだけではない音質再優先のための構成とします。もちろん問題のある劣悪な特性ではなくきちんと公開できる上質と呼べるレベルの測定特性は持っています。

そして周辺回路の設計でも今までの音質のためのノウハウを全て投入した最高のものになります。入出力もバランスアウト、アンバランスアウト、2系統の光、2系統の同軸、AES/EBU、USB等の多系統デジタル入力、そしてDSDへの対応など最新フォーマットに対する柔軟性ももたせます。

これから少しずつ情報を出していきます。どうぞご期待ください。

近況報告

Blogは長いことお休みを頂いておりましたが、貸出などはありがたいことにほぼ常時ご依頼を頂いている状況です。

そのなかで1件だけ困ったトラブルが有りました。まだ未解決なのですがIntegratedを貸し出してそれを買取屋に勝手に売ってしまい、オークションに出品されてしまったという問題です。現在本人とは連絡をとって解決に向けて動いているところですが今後の回収には相当手間と時間が掛かりそうな雰囲気です。

オーディオの業界では貸出機というのは一般的ですがやはりこういう被害にあってしまうと制度自体の脆弱性、このようなときの強い解決方法がないことがよくわかります。たとえば売却先の質屋さんが確定していて時期も品物も確定していたとしても、その業者は個人情報保護がありますので誰が売ったのかこちらでほとんど目星がついていてもそれに関係する情報はこちらには一切教えてくれません。名前も住所もわかっている○○さんが売ったはずという質問への回答もできないみたいです。この場合は警察の許可が必要と言われますが、今度警察に相談しても本人と連絡が取れ支払う意志があれば事件にはならないため、結局確実な証拠を掴むことが出来ないのです。これでは鍵の入った箱に同じ鍵がかかっている状態です。

このようなときは個人で集められる状況証拠を集めて直接本人に対応していくしかありませんが、もしこのとき確実な証拠がなく本人が違う知らないと言い張っている場合はここから先取れる手段があるのかわかりません。しかし今回幸運だったのがオークションに出品された貸出機は明らかに量産機と違う外観的特徴があり、それがハッキリと写真に写っていたこと。そして貸し出しとオークション出品のタイミング、買い取りやの住所、写真の証拠を元に本人に確認をとったところ売却を認めたことです。しかしその後の代金の支払いについては極めて消極的かつ前向きな意志を見せてはいるもののそこから先は非常に難しそうだというのが現状です。

こういうケースの場合少額訴訟などの手段もありますが調べてみると相手方の出方次第では通常裁判となり相当の手間と費用になりますし、それを乗り越えて裁判で勝訴したとしても相手方に資金も資産もなければ結局回収はできません。うちはこのような専門でないので全力で逃げられてしまうと個人で対応できる限界もあります。

ということで貸し出しには当然ながら業者側のリスクが有り、その上で行っているサービスという話です。なので貸し出しサービス自体も有償に踏み切るというのは実際にやってみるとその気持も分からなくもないというところです。業者側の紛失や被害の保険としてそれをある程度お客様に負担してもらうという形ですね。でも実際にはオーディオのお客様はマナーも対応も良い方が多く、むしろそういう悪意のない方にその分の金銭負担をお願いする判断は出来ればしたくないものです。善人がそれを負担をするっていうことが目に見える形になってしまうからです。

ですので今後についても無償貸し出しサービス自体は継続します。ただし買取屋やオークション出品はしにくいように対応を考えます。

philipsのゴールデンイヤーにチャレンジ

フィリップス社ではゴールデンイヤー制度というものがあるそうで、社内で厳しい音響テストに合格した者に資格を与えて、製品開発の試聴に参加してもらうというものだそうです。客観的に音質を調査して良い製品を創りだそうという姿勢は大変素晴らしいものだと思います。詳しくはこちらに記載がありましたのでリンクをしておきたいと思います。

http://wired.jp/2013/05/16/interview-philips-golden-ear/

これは最近知ったのですが、今はオンラインでこのテストを受けることができるそうです。面白そうなのでチャレンジしてみました。

https://www.goldenears.philips.com/en/challenge.html

テストは思ったより無茶振りではなくて人間がちゃんと聴き比べできる程度の数字に設定されています。でも中には難しいものもありましたが一つの項目を除いてほとんどミスもなく1時間ほどでゴールドを取得出来ました。普段エンジニアリングで使うような内容ばかりなのでほとんどは聞き慣れた音の違いです。

一つだけ苦労したところはゴールドの試験項目のEQ聴き比べです。これは感覚と数字のリンクに苦労しました。プラチナイヤーだとこのEQが27バンドにもなるそうで、こうなると相当訓練しないと通る気はしませんね。でもそんな厳しい資格を持つ社員もいるそうで凄いものです。う~ん、私はゴールドなら頑張って何とかなりそうかなというくらいのようです。

撮影スタジオで製品写真を取ってきました

本日新宿にある撮影スタジオにてWATERFALL Integratedの写真撮影をしてまいりました。撮影していただいたものを簡単に出力した写真をこちらにて先に掲載いたします。撮影の専門スタジオでの仕上がりは、個人で撮影するのとは格が違います!(当然ですが)

近いうちに製品情報の写真もこちらのものに差し替えたいとおもいます。

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近況報告

更新が滞っておりまして大変申し訳ございません。据え置きハードの開発の方はIntegratedの量産準備中(パーツの取り寄せやケースの加工などです)につき、余りご報告できるようなことが少ないのが実状です。構想中のハードもあるのですがいかんせんまだ発表できるような段階ではありません。

スピーカについてですが完成はまだまだ見えてきません。ケースの共振が原因で低周波域のTHDが若干悪化していることがわかっておりますので現在そのための対策を行っているところです。売ることが可能なレベルまで完成度を高めるにはまだ掛かりそうな状況です。

EAR V12

逢瀬では、先日ご紹介したオリジナルスピーカFuji(仮)との組み合わせとして、表題のアンプの用意もあります。準備がしっかりできてきたら逢瀬の試聴室として使えるようにすることも検討しております。今のところWATERFALL Integrated、未発表パワーアンプ、オリジナルスピーカFuji(仮)、そしてこのEAR V12です。

EAR社は個人的に一つの道を極めた凄さを感じるメーカーだと思っていて、私自身も開発者のひとりではありますが、芸術性を感じる音に非常に感銘を受けております。

ほとんど全てのオーディオメーカーにとって、目指す究極の目的は同じ(無色透明、色付けのないサウンド)かもしれませんが、開発者の経験と感性によってその目的へ至るまでの道のりが全く異なることはよくあることだと感じています。

EARの音は透明でありながらコクがある音で、アンプはまるで音楽の旨味を知っているようです。クラシックをシビアに聞くと、逢瀬のアンプのほうが弱音は綺麗で切れもあり、対してEARでは聞こえにくい音もあるのですが、それ以上にEARによる「音楽のエッセンスの選別」は見事だとしか言いようがありません。

まるでコンプレッサーをうまくかけたような音、ビンテージエフェクタのような、必要な音が前に出てくる、うるさい音が引っ込む、このような特徴があります。大変音楽的だと思います。腕の良いマスタリングエンジニアにマスタリングを依頼したような音だと思っています。EARが音楽制作現場で認められるのはこのようなところだと思います。

EAR社のパラヴィチーニ氏は真空管+トランスという方法論を使っています。逢瀬は現在のところクラスDアンプや特性重視の方向性なのでそのアプローチはまさに対極と言ってもよいかもしれません。それでも出てくる音については共感が出来、良さについて認めざるを得ません。

このように全く違う方法論であっても、それが究極の高みに達していればその音にはハッキリとした説得力があります。それは音楽に絶対の答えがないということと無関係ではないはずです。綺麗なだけではない、汚すことも時には音楽のニュアンスを助けることは制作現場の人間にとっては何ら不思議なことではありません。

逢瀬のアンプはEARとは全く方向性が違いますので得意な音のイメージも異なります。EARは前に出てくる音、弱音をうるさくなく強調し明瞭にしてくれます。やわらかくやさしい音なので雰囲気に浸る楽曲に向いていると思います。古い録音との相性も良いです。

対して逢瀬のアンプはレンジが広く低音のスピードやキレがあり、音の前後が明瞭です。EARより音が遠く感じる方もいるかもしれませんが、メリハリがその分あり弱音は弱音、強音は強音として聞こえます。なのでこのような傾向を重視する方や現代的録音に向いているかと思います。

弩級試作スピーカFuji(仮)

少し間が開いてしまいましたが、今日は試作スピーカの話です。これは妥協抜きのスピーカをコンセプトに作成したものです。まずは写真を貼ります。フルアルミエンクロージャの上に38cmウーハーなので非常にサイズが大きく片チャンネルで重量160kgもあります。38cmユニット+オールアルミ、ホーンではない現代的なユニット構成となっています。Waterfallのロゴもちゃんと入っています。

形が富士山のようなので開発ネームFujiです(正式名称は変わる、と思いますが…)上部は密閉、クロスオーバーは3Wayです。下部は200リットルほどの容量がありバスレフです。こちらは概ね100Hz以下のみを担当しています。

まだ鳴らしたてですので、音は部屋含めて調整が必要だと思っておりますが、現時点でも投入した物量分のポテンシャルは十分に感じさせられます。やはり低音の迫力、勢いのようなものを非常に感じられます。高域も含めて分厚いアルミケースなので安定感はかなり高いと言えそうです。もちろん鳴らしたての上ネットワークの調整が完全ではないのですべての実力はまだ出ていないはずなので、最終的にどこまでの音を出してくれるのか楽しみです。

スピーカの基本コンセプトはYGアコースティックの影響を受けていますが、同社のようにユニットまで削り出しで作る気合はありませんので市販品(Scanspeak等)を使っています。影響がわかりやすい部分は、分厚いアルミ素材を使っていること、平行面を減らし共振による悪影響を防ぐ形状、ユニットの配置が似ている等でしょうか。しかし音の出方は本家と大分違うと感じます。本家は静かな迫力でどこまでも精密な印象ですが、Fujiは精密さも持ち合わせているもののもっと勢いを感じる前のめりのサウンドだと思います。

接続のアンプは未公開の逢瀬のハイエンドモデルとして投入を検討しているクラスDパワーアンプです。こちらもすこしずつ情報を出して行きたいと思っております。

測定環境のアップデート(Integrated開発機の特性を測定)

以前の測定ではノイズフロアや歪率について正確かどうかはっきりしなかったので、測定環境をアップデートしました。とはいえ本格的な測定器は非常に高額なので、現実的な価格帯でありながら史上最高峰の測定特性と噂されるLynx Hiloを導入しました。

早速ですがWATERFALL Integratedの試作品で測定データをとってみましたのでアップします。測定機材のアップグレードによりノイズフロアが大幅に下がり、DACの真のS/Nがある程度見えてくるだけでも価値がありました。

J-testの結果です。ピークは-6dBに合わせてあります。特別目立つノイズもなく素直な応答ですのでジッターは殆ど無いと推測出来ます。特にノイズフロアが-150dBを下回っているのでS/Nは非常に良好と思われます(これでも既に測定器の限界です)。特にS/Nとジッターによる音質差は音の濁りや分離の悪さに直結しやすいため歪率よりも重要と感じています。

続いて歪率ですが、100Hz以降に乗っている微細なリップルノイズは接続ケーブル起因によるものであることがわかっています。もっとケーブル長を短くするかシールドを強化しなければ除去は困難ですが、現状では間に合わせのため申し訳ないですがこのようなところが限界です。(もちろん将来的に改善したいです)

また歪率そのものについては特別悪くはありませんが現代においてはこのレベルなら特別優れているというわけでは無いでしょう。それよりも個体差、ばらつき等が結構あるので安定した数字を達成するには部品の精度を更に上げるしかないでしょうか。しかも微妙な歪率の差による音質劣化はほとんど感じられないので、機材としてはこのあたりの数字を達成していれば特別問題はないと考えています。

19kHz+20kHz、IMD混変調歪です。

最後にこれは16bitと24bitの-90dBレベルの信号をそれぞれWATERFALL Integrated 内蔵DACにデジタル入力し、アナログの出力波形を観測したものです。上が24bit、下が16bitの1kサイン波形(-90dB)です。これも海外のオーディオサイトの測定でよく使用されているデータですので掲載してみました。

矛盾する「音を良くする方法」が存在する理由

オーディオでは音を良くするための方法というのはネットを調べるととてもたくさんあります。たとえばアナログの回路方式一つとっても「これは矛盾するのではないか?」というような事例も存在します。例えば次のようなものです。(あくまで例なので、おおまかなグループ分けとさせて頂きました。)

  1. 非安定化電源、無帰還アンプが良いという話
  2. LED電源、電流帰還アンプが良いという話
  3. 帰還電源、帰還電圧アンプが良いという話

特に1と3はもっとも相反する設計方針だと思われます。単なる歪率等の測定データだけで言うならば3>2>1になるはずですが、最近では3.の高帰還型が良いという謳い文句は大手メーカーではほとんど見かけなくなった気もします。しかし測定重視のメーカーであれば3の設計を採用しているはずです。

1は理詰めでいうともっとも高音質から遠いように思えるのですが、現在でもこのような設計方針を貫いているメーカーがあると思います。そのようなメーカーが現実として生き残っている、そして音質面で評価されているとしたら、少なくとも「品質に問題のあるものは作っていない」と考えるのが妥当です。そこには良さを感じられる何かがあると誰かが認めた結果だと思うのです。

では疑問となるのは「音質として本当に優れているのどちらか?」ということですが、これは机上の理論ではなかなか決着は付きそうにありません。音質そのものの優劣を電子回路の技術やノウハウで解明するのはなかなか難しい課題ではないかと思います。(真空管とトランジスタの話でも似たようなものでしょうか。)

素材はあくまで素材

このような理由は、感覚に基づく評価だからこそ結論が出ないものだと考えています。しかし、これだけだとありふれた結論かもしれません。

それでは技術者ではなく音楽制作者からの意見を言うならば、これは何ら特別ではない非常に一般的な話に感じます。事実レコーディングに求められる音質というのはジャンルや楽器、編成によっても全く異なるのが一般的です。同一楽器でも求めるイメージによって作られる音は全く別物といってもいいでしょう。

制作現場ではレコーディングした音を積極的にいじります。そもそものレコーディングに使う機材(マイクやコンプレッサーなど)には強いキャラクターを持つものも多く、それをエンジニアがイメージする音を作るために適宜使い分けます。録音された音には既にこのような個性が付加され、さらに編集によってエンジニアの求める音を作り出していきます。ここでは音自体を変えることが表現手法そのものです。制作現場とはそのような世界です。

CDに収録された原音は大抵はこのような人によって創りだされた仮想現実です。なにも手を加えられていない音は音自体としては純粋かもしれませんが表現、メッセージというものも同様に含まれていないものです。

しかしそれならば「ルール無用のなんでもあり」なのかといわれれば、そういうことではありません。表現したいイメージがどれだけ明確か、表現を実現するための技術レベル、その結果人々の共感を生むことができるかどうか、ぱっと思いつく範囲だとこのような条件はあります。

表現したいものが明確でない状態というのはどういうことか料理でたとえるならば、和洋中世界中の高価な材料と調味料をあつめて混ぜ合わせただけの料理(甘みも辛みも珍味も全部ただ混ぜる!)を作っても、おそらくそれは料理とは呼べないものになってしまうでしょう。

要するに素材だけで勝負が決まるものではなく、磨き上げられた感性をもつ職人によって選別、組み合わせ、処理され、磨き上げられたものだからこそ、価値があるものといえるのではないでしょうか。

方向性は人が定める

少し話がそれましたが回路方式の話に戻ります。この話を踏まえて考えますと、オーディオの設計で矛盾する設計方針が同時に存在する理由も想像がつくのではないかと思います。

それはイメージする「理想の音」の違いです。

それぞれの設計者が思い描く理想は全く異なっていて当然です。であればそれに近づく方法が全く異なっていてもおかしくはありません。最初に上げた3つの方法論も思い描く理想の違いによって、全てが正解となりうることでしょう。ある人にとっては1であり、ある人にとっては3ということです。最も重要なのは1-3のうちどれが一番音が良いのかという単純なものではなく「1-3のうち、自分の求める理想に近いものはどれか」ということをしっかり判断することでしょう。その判断が明確であり近づけるための手段として多くの方法論を実行しているほど、その機材は高みにあるといえるのではないかと思います。

もしオーディオが測定値やスペックだけで勝負が決まる世界ならば、ずっと昔にオーディオ業界はスペックの高さ一辺倒になり、スペックの低いものは生き残れないというようなことになっているのではないかと思います。しかし現実はそうなっていません。この現実にはある種の真実が含まれているはずだと思います。それは答えのはっきりしていない表現の世界であると考えます。

表現とは設計者の理想とする音世界です。その世界を実現する方法は多岐にわたっており、あらゆる要素が音を変化させます。そしてその方法論は常に矛盾をはらみます。しかしその矛盾は設計者の理想とするイメージによっていずれかの方向へと強く方向性が定められます。その方向性が全てにおいて同じ方向を向いた時、それは強いメッセージをもった音質、機材となるはずです。

逢瀬の方向性

もちろん逢瀬も考えられる限りの手段で選別を行なって音決めをしていますが、例えば上記の1-3については逢瀬はどうしているか書きます。

基本的には現代の流行ではない3の帰還型を中心に採用していますが話はこれだけでは終わりません。1-3のどれか一つを選ぶという以外の回答もあります。3の帰還型は特定の使い方において1と比較してある部分の音質が劣化してしまうことがわかっています。この劣化した状態では1のほうが確実に良い部分があります。もしかしたら1が良いと言われている事例はこのような劣化する使い方で比較したからかもしれません。しかし単純に1にしてしまうと3の良さもまた失われてしまいます。

そこで逢瀬は3の良さと1の良さを同時に実現する解決方法を発見しました。1の良さと3の良さは音として異なるところにありますので、両方同時に実現するには新しい発見が必要でした。この発見のためには3の良さと1の良さ、それぞれが別個に存在することを認識し劣化の原因を特定して同時に実現する方法を探すというプロセスが必要です。1-3の選別だけでも設計者の方向性が必要ですが、3をベースにすることを選択してそこから良さを両立するための試行錯誤の世界です。

このようなノウハウが公開はされることはないと思いますが、ハイエンドの世界ではこのような積み重ねは普通に行われているのかもしれません。もちろんまだ見ぬ音質の実現手段は幾多にもあると思いますが、少なくともこのように現時点でわかっている範囲の理想を現実的な価格で表現するための試行錯誤は全力で行なっています。

そして逢瀬の売りは音楽制作者出身の設計者ということですから、音質傾向を選別する感性は一人の音楽制作者としての観点です。(音質基準について詳しくはこちらのページに記載があります)

逢瀬がどのような音質の方向性を目指すのであれ、お客様の好みに合う合わないは必然的に出てくるものと思いますが、できるだけ多くのお客様に価値があると思っていただける音質を提供できることを願っています。

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