最近の状況についてご報告します

光ブースターの生産

まず光ブースターについてですが、基板類については仕入れと実装は問題なく順調です。昨今の半導体問題については詳しく後述しますが、光ブースターは仕入れがまだ致命的でないタイミングだったので大丈夫です。ご安心ください。

現在はケースの量産中です。色々と発注先の問題があり生産が遅れています。いつ到着になるのかはまだわかっていませんが少なくとも到着後に梱包出荷準備になりますので早くても3月下旬以降ではないかと予想しています。

光ブースターの音質についての案内予定

あれからいろいろな検証を行いました。結論としてはミドル以下の価格帯のお客様向けの使いこなし推奨内容と、ハイエンド向けのお客様の案内を完全に分けます。これらの内容は大幅に異なる内容になる見込みです。

簡単に該当だけご説明しますと、ミドルロー帯については最大のコストパフォーマンス効率を出すための方法論の案内が中心になります。それは先日お伝えした1-2台で完結し簡単な外部対策で終わらせるプランとほぼ同様です。これならこの価格帯のお客様にとって最も現実的かつ満足の行く結果は十分得られると考えています。この結論や案内はほぼ従来の内容と同等です。追加になりそうなのは2台の使い分けの方法論です。

もう一つのハイエンド向けの案内ですが、こちらは上記とは全く異なる内容になります。このあたりの検証を年明けに当方の場所以外のかなり高精度なハイエンド環境にてテストを行いました。その結果ですがハイエンド向けでは不完全性のカバーのために予想よりも多岐にわたる多くの対策が必要という内容です。このあたりの詳細は今後発売までに製品ページにすべて記載する予定です。

ここで簡単に概要をお伝えしますと、光ブースターだけでなく大本のトランスポートのクロック品位、電源品位、ケーブルの完備が必須という内容になりそうです。向上幅は全体的に見れば僅かですがその差は極まったシステムほど重要な最後の差になります。ですのでハイエンド向けは予算度外視の方法論になります。ただもともとハイエンドの方は予算度外視の方しかいないと思いますので特に問題はないかと思います。

補足追記 2022/02/28

ただ光ブースター+デジリコと組み合わせて100%完璧になるかどうかで言えばそれは絶対にありえません。ですがミドルローの方法論でもただ高額なだけのハイエンドよりいい部分は作れると思います。でも上に上がればまた上があります。ある程度上に行ったら終わりではなく結局ハイエンドの方法論とは永久に終わりのない追求です。色々やってよくわかりましたが変化要因を完璧に0にすることは不可能です

ハイエンド志向のお客様はそれを理解した上でどこまでやりたいのか、現実的なラインを各自見極めていただきたいと思います。逆にミドルローの方法論は安値で簡単に効率的に上に上がるための方法論です。ここまでが従来の逢瀬がお伝えしてきた方法論ですし現実的な価格で収まると思います。

ですがそれで満足ができないならハイエンドの方法論しかありませんがこちらは予算度外視とお伝えしています。大半の方にはおすすめしません。ハイエンド方法論とは従来の逢瀬では可能な限り排除してきた思想です。今までの文法とは違いますのでご注意ください。

正直ハイエンドとミドルローの到達地点の差はかかる手間と費用に対して非常に小さい、とても効率が悪くほとんどは不要な対策だと個人的に思っています。でもそれが本当に必要かどうかについては各自でよく考えていただきたいです。ほんの僅かでも変わるなら少しでも上に行きたいと考えてしまうなら最後は永遠に終わりのない旅が待っています。その道をあえて行くならあらゆる対策が必要です。後半の対策は当社が解決することはもはや不可能な領域です。

例えばですがファイル再生であればファイルの保存コンディションや再生環境要因も含まれます。ネットワーク再生でも同様です。極端な一例として郊外にシールドルームを作って完璧に近い電源ノイズ対策をして個別の部屋に究極のトランスポートと再生システムを分けて設置する必要がある、このような事例は相当究極かもしれませんがお伝えしても誰もできないと思います(このようなことは本番では書きませんが一例です)。ですが最後はそこまでやればまた違いがあるだろうという結論が見えてきています。なので最後は各自でどこまで出来るかを選んで頂くしかありません。

半導体、部品類の危機的な現状と今後の見通し

最近ライン駆動のミステリーを解決するために実験用のプリアンプで各種テストを進めていますが、とにかく最近の仕入れ状況が急速に相当に悪化しています。正直去年の年末くらいまでは世間で半導体やコネクタがないと言ってても、今から比べればまだ大したことなかったです。去年末はまだ汎用のIC類は大抵ありました。一部特殊部品は在庫がないですが代替品を探せばなんとかなるような状況でした。

ただここ数週間わずかの期間で、去年ならなんの問題なく買えたような普通の汎用部品すら軒並み在庫ぎれが始まっていてどれも納入予定が2023年以降となりつつあります。現在はとにかくコネクタない、汎用品ない、特殊品やCPU関係はもちろんほとんど無い、このような状況です。

最近はそのような状況の中でも数年先の分の半導体も在庫しておけるようにかなり情報収集をしており、先週は今年後半納入予定の半導体、コネクタ類について数十万円分発注を済ませました。これでハイエンドパワーアンプの生産やDAC製品を少量ですが作ることが出来る見込みです。

この状況を踏まえて今後のロードマップついて現在お伝えできる内容のみお伝えしたいと思います。

  1. 在庫している廉価版パワーアンプは今の販売ペースなら当面在庫切れの問題はありません。ただし現在の即納品が一旦切れますとしばらく再生産にお時間をいただく見込みです。部材はまだありますのでご安心ください。
  2. 光ブースターは順調に生産を進めています。初期ロット100台予定ですが一旦完売してしまうと再生産が可能かどうか不透明です。ギリギリで売り切れる状況の場合、再生産しても売れる見込みがないので再生産は行いません。万が一すぐに売り切れる場合のみ再生産を検討しますが、再設計含め相当時間がかかると思われます。
  3. ハイエンドパワーアンプはPurifi 7040SAを使う予定です。モノバイアンプでも使えるように標準で2ch仕様です。モジュールと電源は仕入れ予約が完了していますので生産はほぼ可能です。ただし少数生産しかできないので高付加価値の製品です。設計はP500までの従来の音質限界をあらゆる意味で超える内容を目指します。さらなる絶大なパワーと透明感と精密描写の両立となる見込みです。さらに多少の音質調整機能も設けるかもしれません。当然ながらただ組み立てただけの海外廉価ブランドのような中途半端な製品は作りません。
  4. ラインナップに最新仕様のDACがなくなってしまっているので当面の主力となるDACを再設計する予定です。AK4499を使える見込みが復活したためES9038ではなくAK4499を再び使った製品になると思います。設計自体ハイエンドパワーアンプ以降になりますが今できる全力を尽くした内容になる見込みです。ただし部品入手に限りがあるのでどこまで出来るかは不明です。前回のAK4499-DACからは買い換える必要のない製品とする予定ですが諸々のコンセプトは変更する予定です。こちらも少量生産です。
  5. Integrated 250 version.2は必要なパーツの安定的な入手の見込みが1年以上ありませんので当面延期します。250V2より上記AK4499の新作を優先する理由ですが250V1の出荷台数を満たす十分な半導体を入手できる見込みがないためが理由1、次に付加価値の問題です。後者は要するに将来の仕入れ資金をしっかり集めておく必要があることが理由とお考えください。アップグレードはどうしても高付加価値にはできません。ある程度資金の余裕もなければ(今後の状況次第ですが}仕入れが難しいからです。ですが生産ができる状況になりましたら進めたいと思います。
  6. デジリコについては光ブースターの状況を見て判断します。光ブースターの不足分を補うための必要条件は概ねわかりましたが、以前よりハードルが上がってしまったためベストな製品を出すための設計難易度が上昇してしまいました。現在のデジリコのままでは光ブースターと組み合わせても大幅なメリットがありませんので組み合わせて意味のある製品を出す必要があると考えています。ですのでデジリコという製品プランは残りますが内容については再検討が必要です。

以上です。

今後1-2年は冬の時代。生き残る判断が重要

いくつか倒産や生産停止となる事態が見受けられますが当社は大丈夫です。固定費はかなり安く抑えていますのでほとんど売上がなくても数年程度なら問題なく経営を続けることは可能です。特に重要な必須部品の多くは去年以前から予め多めに確保しておりますので上記予定までの生産はなんとかできる見込みです。

上記の通り、光ブースター以降の当面は高付加価値と書いたとおり高額ハイエンド志向の製品が中心の展開となります。以前と同じ価格の製品を出すには部材入手難易度があまりにも高すぎることが原因です。不必要な再設計の上に針の穴を縫うような部品入手状況、手に入る部品の組み合わせの中で音質を追求しなければならない、このような多大な制約があるので低価格&大量生産の優れた製品を作れる見込みがありません。非常に難しい時代です。

昨今のオーディオ業界の値上げラッシュの理由はこれらも理由だと思います。少なくとも当社の場合はこれが理由です。もちろんその分価格以上に価値のある内容にしたいと思っています。外観のクオリティについては諸々限界があるので従来どおりのままですがデザインはもう少し頑張りたいところです。

また状況が大きく変われば予定も変更になってしまうかもしれませんが、ハイエンドパワーまでは以前から告知している予定通りに進めたいです。

ですが部品入手状況の悪化はある程度の影響を受けてしまいます(予想外の部品が枯渇など)。上記のロードマップのうち生産可能分まではともかく、デジリコ以降はどうなるか全くわからない状況です。

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最近の状況についてご報告します” に対して8件のコメントがあります。

  1. hdo より:

    ハイエンドパワーアンプですが、価格はP500 2台よりかなり上がってしまいますか?
    すくなくともひと桁上にはならなければよいのですが。

    1. ause より:

      お問い合わせありがとうございます。

      現状の予定しかお伝えできませんがいずれの製品も3桁にはなりません。そこはご安心ください。パワーアンプについては基本的に2桁中盤~後半の範囲で予めお考えいただければ幸いです。本文に書きました値上げになるのはパワーアンプというよりDAC製品です。今まで一度もこの価格帯でリリースをしておりませんが今後当面の間はこの価格帯がターゲットになると思います。

      ただしステレオバイアンプ=4chにしたい場合は2台で3桁になってしまうかもしれません。

  2. 黒虎 より:

    記事の内容と直接は無関係ですが、ハイエンドDACの開発は進行しているんでしょうか?

    1. ause より:

      すみませんが以前の構想のDACは現在の状況では今後の展開は絶望的です。事実上かなり以前に予定していたハイエンドDACはキャンセルになったものとお考えください。具体的に言えばインターフェースの一新、DACアーキテクチャの一新(ディスクリートを組み合わせたDAC構想)については各試作やテスト止まりの状況です。今後出せるとはお約束できないので今の時点では中止になっているとお答えするしかないです。試作品の音質は良好ですが製品としてはいくつか問題があります。

      現在はAK4499を使用したDACの構想段階です。幸いなことにAK4499自体は従来のIC-DACの問題点をほぼクリアしていると思われますのでかなり良いものにはできる見込みです。詳細はまだ確定していませんが目標はボリュームを絞ったときの性能を大幅に向上すること(実使用時SNの向上)、同時に最大出力電圧レンジを拡大すること、出力駆動能力の強化と最適化、さらなるローノイズ化、デジリコ開発のノウハウを活かしたデジタル信号入力の対策、そして特性面で問題ないようにすることと音質の両立。これらを組み合わせ従来の限界を超えたリニューアルを考えています。

      これが当面はハイエンドDAC相当の位置づけとなる見込みです。いずれにしても他社が簡単に真似のできない独自性の高い製品にはします。

      1. 黒虎 より:

        お返事ありがとうございます。
        一番興味あるのは「DACアーキテクチャの一新(ディスクリートを組み合わせたDAC構想)」ですが、現在の状況ではしかたないですね。ディスクリートを組み合わせたDAC構想が具体化する頃にはAK4498後継(AK4499相当)も発売されてるかも知れませんね。

  3. don より:

    光ブースターの電源についてですが、より大容量の電源や高品位な電源へ交換する際に必要なDCジャックの口径。
    また、電圧については既に記載されていましたが、その他に最低限必要なアンペアか付属品ではどの程度のアンペアなのかを教えていただければと思います。(今回の製品としては電圧が上限ギリギリで非効率にはなりそうですが市販品で12Vを使う予定でいます。)

    1. ause より:

      donさま

      製品ページにACアダプターの詳細情報を追記しましたのでご確認ください。
      https://ause-audio.com/?page_id=3639
      なお12Vは非推奨の領域となります。特に12Vより少し高い電圧になるなど個体差による誤差があると異常発熱の原因やACアダプター側の保護が働く可能性がありますので、自己責任でおつかいただくようにお願いいたします。その場合のアダプターの破損などは保証外になります。予め宜しくお願いいたします。

      1. don より:

        発熱の件了解しました。
        よく検討した上で決めたいと思います。
        ありがとうございます。

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